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先日のアー

先日、脚本協力で参加させてもらった舞台「明日のアーvol.10『整理と整頓と』」を観てきた。「ユーモアとは何か」という考察を軸に短いコントを乱れ打つ構成になっていて、そのコント部分のアイデア出しの会議に参加したのだ。だから事前に内容はある程度知っていたし台本も見ていたのだが、実際に目の前で演じられると「あれがこうなったのか!」と感動した。

やはり「実際にそこにある」というのはすごい。例えば、僕が出した「スキニージーンズを穿いているので正座ができないスキニージーンズ和尚」という案がある。それが実際に舞台で演じられたのだが、実物を前にすると頭で考えたり字面で見るより数段上の「なんでだよ!」という感覚を得ることができた。実際に和尚がスキニージーンズを穿いているからこそ、「なんで和尚がスキニージーンズを穿くんだよ!」と強く思えるのだ。周囲の人々の「嫌だ!」というリアクションも含めて、「だからなんなんだ!」という気持ちで胸がいっぱいになってとてもよかった。やはり僕は「なんなんだよ!」と思える冗談が好きだ。

あと、演者の皆さんの演技が上手くて、くだらないもののくだらなさがより際立っていてすごかった。それどころか、とあるコントのフリの部分のドラマチックな展開が、普通に「いい話」としてちょっとグッときてしまった。発信側のいい話でしょ?的意識が透けて見える「いい話」に対しては反射的に身構えてしまうが、くだらない事象に付随する「いい話」は、それが目的ではない分イオンサプライが如くスッと入ってくる。そして、起こっていることがくだらないからこそ、キャラクターの思いとか優しさとかがより尊いものに思えてきたりして、結果的に「いい話だな!」という感想に至ってしまったのだ。くだらないし、笑ったんだけど。

主宰の大北さんによるユーモアに関する考察はけっこう難しくて、正直なところ全部は理解できていない。わかったような、わからないような感じだ。ただ、大北さんが10年間こんなことを考え続けてきたという凄みは伝わってきて、変な人だなあと思うと同時に、その変な取り組みに少しでも関われたのはすごく嬉しいなあとも思った。変な取り組みはなかなかやろうと思ってやれるものではない。わざわざ変な取り組みをするにはけっこうなエネルギーがいるし、損得で考えていたらまずできないことだと思う。それをやっているんだから、尊敬するし羨ましい。

終演後、大北さんに飲みに連れて行ってもらい、鶯谷にある西村賢太が通っていたという居酒屋に行った。たしか文化人枠で我らがワタナベエンターテインメントに入っていたなあ、とか思いながら、西村賢太からはほど遠い地に足のついた飲み方をしたら、お会計が4人で4400円とかで驚いた。や、安い!そんなに料理を頼んでいないとはいえ、九州人から見ても安すぎる!東京って全てのものの値段が高いんじゃないの?東京に対するあらゆるコンプレックスを「安くて美味しい店が多い」という一点のみを武器になんとか押さえつけている地方民の身にもなってほしい。勘弁してくれよ。

東京にもぉ〜あったんだ〜

それはわかって〜るぅ〜

風にそっと歌〜うよぉ〜

いつかお父〜さんみたいに大きな〜背中でぇ〜

いろんな福山雅治ソングのフレーズが脳内でシャッフルされ、シャボン玉のように浮かんでは消えた…などということはなく、普通に挨拶して解散した。とても楽しい夜だった。また皆さんに会いたいし、何かしらご一緒できたら最高だ。こういうのを言うと相手方としてはめんどくさいかもな、と思わなくもないが、どうせいずれ死ぬし世の中どうなるかもわからないので言っておこうと思う。

アーの皆様!すごく楽しかったので、また何か関われたら嬉しいです!アーの皆様〜!

インバウンドの影響か、部屋に嫌な冊子が置いてあるビジネスホテルでさえも3万とかしたので、その夜は後輩の家に泊めてもらった。寝かせてもらったソファが小さくて、一晩中ベストの体勢が全然見つからず体がバキバキになったが、泊めてもらっておいて言うことではないので黙っていた。家賃を聞くと10万だそうだ。やっぱり東京価格だな、と思った。

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