ボンタンアメの紙
久々にボンタンアメを食べたら美味かった。ボンタンアメは柑橘類ボンタンの果汁をもち米などに練り込んだキャラメルみたいな形状のお菓子で、くっつき防止のために一個一個がオブラートで包まれているのが特徴である。
子供の頃は、このオブラートが衝撃的だった。なんせ見た目は包み紙なのに、剥がさずそのまま食べられるというのだ。信じられない。紙ごとボンタンアメを口に放り込むと、やってはいけないことをやっているような特別感に胸が高鳴った。
僕は!今!包み紙を!食べている!
そのあと敢えてオブラートを剥がして別々に食べてみたり、噛まずにオブラートを舐めて溶かしてみたりと様々な食べ方のアレンジを試みるが、結局普通に食べるのが一番美味しいという結論に行き着くのだった。
後日僕は、風邪をひいて苦い粉薬を飲む時にオブラートと再会を果たすことになる。単体で現れたオブラートは、ボンタンアメを包んでいるときと違ってなんだか素気なく、きっちりとオンオフのあるタイプの芸能人のプライベートのようだった。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートって、嬉しいものですね!