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アイヌを知るため二風谷とウポポイへ ②二風谷編 | 大人の学び
2024年10月中旬、日本の少数民族アイヌについて深めるため、北海道の平取町にある二風谷と白老町にあるウポポイに行ってきました。
①概要編はこちら↓
この記事では、二風谷(にぶたに)で見聞きしたこと、感じたことをお話しします。
下の資料(2008年)によると、平取町二風谷は、「人口約500人、そのうちアイヌ系の人は約350人であり、北海道ではアイヌの人口密度が一番高いところ」とされています。
※現在の二風谷ダム湖の下には二風谷の人たちが耕していた約100haの畑があったといった問題点を指摘する内容の資料です。
◾️まずは二風谷の位置から。
北海道のこの↓あたり、新千歳空港から車で1時間強のところにあります。
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車の場合、空港から交通量の多い道を南下したあと、海沿いの道路をしばらく走り、馬のいる牧草地や門別競馬場を過ぎた所で、内陸の方に4kmほど入っていきます。この道は沙流川沿いで、両側には畑が広がります。
平取(びらとり)町に入ると、名産であるトマトの看板やバス停に作られた黄色い小屋が点在します。山がちになって二風谷ダムの看板が見えたらそのすぐ先です。
二風谷コタンという縦型の大きな看板と駐車スペース、それに復元されたアイヌのチセ(家)が左手に見えたら、そこが二風谷コタンです。
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◾️二風谷コタンにあるもの
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https://www.biratori-ainu-culture.com/wp/wp-content/uploads/2024/07/nibutani-map-20240701.jpg
上の地図にあるように、アイヌ文化関連施設が集積しています。
各施設の詳しい説明は次のリンクから。動画のページもあります。
このうち私は、
アリキキカフェ
平取町立二風谷アイヌ文化博物館
復元されたチセ(家)
にぶたに湖
萱野茂 二風谷アイヌ資料館
を訪れました。
① アリキキカフェ
昼前に着いたのでこちらで昼ごはんを食べました。チセの並ぶ、緑の豊かな中にあります。上の地図の拡大された範囲で食事ができるのはここだけのようです。
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ごはんとしてはビーフカレーとトマトカレーが提供されていました。牛肉もトマトも地元の名産品です。
室内には、STVラジオのアイヌ語講座のポスターが貼られていました。
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食後のコーヒーはテラス席に移動していただきました。
戸外にしばらく身を置くと、景観を身体が感じる気がします。
② 平取町立二風谷アイヌ文化博物館
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チセ群と同じ敷地内ですが、ほんの少し距離を置いて建てられた近代的な建物です。中に入るとタッチ式(最新式!?)のチケット販売機があります。私は、「萱野茂 二風谷アイヌ資料館」とのセット券を購入しました。
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照明や解説など、とても現代的で洗練された形で展示されていました。
町立の博物館ですが、収蔵品は二風谷在住の民俗文化研究家であった萱野茂氏(1926-2006)が1950年代から半世紀にわたって収集された民具や、自ら復元製作されたものが基礎になっているとのことでした。
③ 復元されたチセ(家)
チセではアイヌ工芸作家の方が木彫りや刺繍、織物などの作業を輪番で行っておられるのを見学できます。何の工芸かを確かめてチセの扉を開けて入っていくと作業の様子を間近で見ることができます。
私は、刺繍と木彫りの作業を見学しました。お二人とも音楽をかけながら作品を製作されていました。刺繍をされている方からはお話も伺うことができました。以前作られたものと同じ柄の物を依頼されたので写真を見ながら下絵を描いている。チャコペンでは消えてしまうのでしつけ糸でなぞっている。2ヶ月でできればなぁと考えている。…といったことを教えていただきました。
④ にぶたに湖
地図で言うと上の方、道路から離れる方向に進んで行くとダム湖であるにぶたに湖の岸辺に出ます。
手前側には公園が作られていますが、対岸は人の手が入っている様子がなく、中洲から向こう岸にかけて数種類の水鳥の鳴き声が響いていました。
Wildlife!という感じでした。
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アイヌの村は川に沿って点在していたそうです。
昔のアイヌの集落を取り巻く景観が想像されました。
⑤ 萱野茂 二風谷アイヌ資料館
チセ群のある場所から国道を渡った反対側の地区に「萱野茂 二風谷アイヌ資料館」があります。
町立博物館とは違い、萱野茂氏による私設の博物館です。
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2002年に文化庁が重要有形民俗文化財と指定した、萱野茂氏による「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」1121点のうち、919点が町立博物館に、202点がこの資料館に所蔵されています。(町立博物館パンフレットによる)
町立博物館に移されなかったものがこちらにある、と考えていいようです。
建物に入ると、昔ながらの受付の窓口があり、チケットを見せます。展示方法も手作り感のある旧式のものです。しかし、それゆえに個人の思いが感じられる展示でした。
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また、萱野氏が集めた世界の少数民族に関する資料のコーナーも設けられていました。
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同じ敷地内にある私立二風谷子ども図書館では、月に1回地域FM放送が行われ、インターネット上から音源を聴くことができます。↓
帰りに、受付で販売されていたアイヌ模様のステッカーを買いました。
その時、受付をしていた若者に聞いたところ、伝統的な模様を生かしたTシャツなどを製作している自分たちのグループが作っている、とのことでした。
自分たちの文化を消滅させないぞという、個人の、住民の、生(なま)の意思が色濃く感じられる物が残っている、今も存在しているのが、次の日に訪れたウポポイにはない特長でした。
国立アイヌ民族博物館を含むウポポイ民族共生象徴空間についての記事に続きます。
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