見出し画像

asylum seeker=亡命希望者 | 教科書に出てこないニュース英語 《イギリスの新聞から》

イギリスのオンライン新聞INDEPENDENTで2024年8月5日に配信された記事の見出しで使われていました。

Starmer issues guarantee far-right thugs will regret mob violence after they besiege asylum seeker hotels
スターマー首相、極右暴徒が亡命希望者のホテルを襲撃した後、「暴徒たちは後悔することになる」と保証


asylum seeker の前に、thugとbesiegeの意味を見ておきましょう。
両方とも高校の教科書では目にしたことがありません。

thug [θʌ́ɡ]  社会人必須レベル
[名]C
1凶悪犯,暴漢,殺し屋
2〔時にT-〕《歴史》タグ(◇もとインドの狂信的暗殺教団の一員)

goo辞書

besiege [bisíːdʒ]  大学入試レベル
[動]
1〈軍隊が〉〈場所を〉包囲する;…に押し寄せる
1a〔通例受身形で〕〈人を〉取り囲む
2…を(要求・依頼などで)攻めたてる;〈人に〉(質問などを)浴びせる

goo辞書

おっと、besiegeは大学入試レベルに分類されていました。

この語、ChatGPTが作った訳では「襲う」とされていました。
語に忠実に訳すと「押し寄せ、包囲する」ですが、
記事の状況は「襲う」と表現しても良いかと思います。

このあたり、ChatGPTの優秀なところで、融通を効かせます。
人間のチェックが必要なところでもあります。

◾️'asylum'を辞書で引くと


asylum 音節a • sy • lum [əsáiləm] 大学入試レベル
[名]
1《国際法》政治犯庇護,亡命
   seek political asylum 政治的保護[亡命]を求める
2(一般に)保護
2a((やや古))(精神疾患を持つ者・孤児などの)保護[収容]施設;((古))(犯罪[負債]者の)避難所,聖域
語源[原義は「捕らえる権利のない場所」]

goo辞書

発音注意で、アサイラムという音です。
今回取り上げた記事で出てきた意味は、1番の
「《国際法》政治犯庇護(ひご),亡命」です。

そして、「庇護を求める」の「求める」には、普通、'seek'が使われます。

それで、sylum seeker =「亡命希望者」となります。

高3対象の模擬国連を行う授業で、毎年難民の話題を扱う時に出会う表現でした。

◾️今回の暴徒(thugs)とは? その背景は?

記事の内容を要約すると

リード文:
サー・キーア・スターマー首相は、イギリスの町や都市で暴動を起こしている人種差別的な極右暴徒に対し、迅速な司法と「法の最大限の力」を必ず受けさせると厳しく警告した。

事件の内容:
・この声明は、ハル、ハリファックス、リバプール、ロンドン、サウスポート、ロザムでの暴動を起こした人々に対してのもので、土曜日の暴力行為を受けて、100人以上が逮捕された。

・首相の強力な声明は、ロザムで亡命申請への回答を待っていた難民が宿泊していたホテルを暴徒が襲撃し、ホテルに人がいることを知りながら火をつけるという事件が発生したのを受けて発表された。

・そのホテルは、サウスヨークシャー、ロザム郊外にあるマンヴァーズにあるホリデイ・イン・エクスプレス。日曜の午後のことだった。

・ロザムでは、その日、抗議者がホテルの外に集まり、「難民歓迎」と叫ぶ反人種差別抗議者たちと対峙していた。反移民抗議者たちがホテルに対して物を投げ、木片や椅子で警察官を攻撃したことで事態は制御不能に陥った。

・反移民の暴徒たちは、セント・ジョージの旗(=イングランドの国旗)を身にまとい、椅子を投げたり消火器を使って警察に対抗した。「やつらを追い出せ」「お前たちはもう歓迎されていない」「ヨークシャー」といった掛け声を上げながらホテルへの攻撃を互いに煽り合った。

・別の若者のグループは「ボートを止めることは刺し傷を止めること」と書かれたバナーを掲げ、ムスリムや移民をターゲットにした侮辱的な掛け声も聞かた。グループはホテルに侵入するために窓を破壊し、ゴミ箱や家具に火をつけた。

前掲記事から

つまり、今回の暴徒は、移民への反感を持ち、暴力的な行為に及んだということでした。

記事は、続いて事件の背景を説明しています。

・暴力は、イギリス全土の町や都市で発生している。これは、サウスポートで3人の少女が殺害され、7人が襲撃された事件を受けて、誤った情報が緊張を煽ったためだ。

・「容疑者が監視リストに載っておりムスリムである」という虚偽の情報が、極右の暴徒たちを煽り立てるのに使われ、先週、彼らはメルサイドの悲しみに暮れる海辺の町に押し寄せ、地元のモスクを包囲し、警察車両に放火し、警察官に対して石を投げた。

同上

記事は最後に、「この国の人々には安全でいる権利がある」との首相の言葉と、政府がモスクとムスリムの学校の安全を守るための施策をすでに発動させたことを伝えています。

          *******

たしか先週だったと思いますが、
NHKの朝ドラ『虎に翼』の中で、《関東大震災後の日本人による朝鮮人の虐殺》について触れる部分がありました。

恐怖→デマの拡散→集団暴走→異集団への攻撃という流れ、
この記事の暴動と共通点が非常に多いように思います。

こういう流れを止めるための「知恵」は何でしょうか?

          *******

関東大震災後の朝鮮人に対する虐殺については、クローズアップ現代のサイトに詳しく書かれていました。

デマが伝わる様子や虐殺の現場について書かれた小学生の作文が紹介されています。

歴史の時間に習った「朝鮮人虐殺」という文字だけの知識とは違い、衝撃的でした。↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?