タリーズコーヒーでの騒動

私はたらこパスタを注文しますが、先に席を取っておきます。霧をも掴む思いで店内を彷徨い歩きたくはない。先に注文をお願いします。荷物にかける布はシルクがいい。

ええ、ありがとうございます。僕らで注文を済ませておきます。僕は割とボロネーゼ好きなので、隣のL.L.Beanへ服を探しに店を出ます。テラスの風鈴が気になるので、今のうちに風邪をひかないように、お兄さんのくれたコートを羽織るのを忘れずに。それでは後ほど。

二人とも何しに喫茶店に来たのでしょうかね。これではまるで会計ごっこに飛び入り参加するだけの為に夢探偵の短期バイトを始めたようにも思えてしまう。本日のコーヒーを三つ。電子パスタに用は無い。evianがいくらでも飲める。彼のコートはいいセンスだね。お酒で汚したら、お医者さんだって馬術部の出身なのだとバレてしまう。風車を回しても競馬場からはお父さんは戻ってこないさ。

本日のコーヒーは「フレンチロースト」になります。ほら、これを見て。「スッキリ感が良し」。確かにそう記されています。我々には何ら関係の無いコーヒーメーカーによるこじつけです。仕事が終われば帰宅してネズミでも虐待しますか。駅でもアイドルをストーカーして、神経症の方を見つけ次第に園芸鋏で刈り取りますか。人も鳩も分類することなく焼き払います?

それではリュースが困る。公園で絵を描くのも人間の美しい姿でしかないから。本当は地政学になんか興味は無いくせに。あのバウハウスの方々もピエールの手にした図書館カードには目もくれない。リンネと云いましたね。カイヨワと話をしてみたいはず。アナロジーでは人は殺せない。夢や現実も顕微鏡や望遠鏡にしか解明手段は無い。錬金術などホムンクルスを産む為の認識方法でしか無い。第三項?男と女の求めた答えが先祖なのか子供なのか、それとも天使なのか。世界を覆うものとは一体。

床がコーヒーまみれですよ。列も駅まで続いています。改札の先に妄言会話が繰り広げられていると知れば、全員が殺し合います。誰もその先にある絶望を見ることが無かった。目の前の鳩すらも見つめることなど。

すみません。ついつい。ボロネーゼやたらこパスタも空虚や哀愁では無く、煙が漂う始末。本日のフレンチローストになります。300人分。消し炭を土偶にして遊びます?足裏に僕らの名前でも書いておきましょうか?ムウマ、ミミッキュ、ゲンガー、ヨノワール、ユキメノコ、ミカルゲ、ジュペッタ、ワルイコ地方マスキッパ。ヌオー廃墟暮らし。テリアモン神格化。アルフォンス・エリュアール。

それでは全員でパリから脱出するのも無理がある。オペラハウスへ向かいましょう。全財産を投げ打って、街の全ての方々を招待するのです。そうして音に消されて、監獄生活への僅かな慰めを。

見たいものを?

プラハ行きならあちらへ。今頃駅では日曜日の預言者が牛乳を飲み終えたはず。霧をも掴む思いで。何故ならその子が窓拭きをやめたから。お医者さんの仕業。

ティラミスのショートを。彼には水で。昨日も明日も、水しか飲めないのだから。本日も。本当に無様。笑えるわ。

こちらを。本日のevianになります。よくかき混ぜて。底には一つだけ。夏の残骸。君の指差す箱には何も無い。味付けに夢中な街の夢遊病者たち。無理して熱帯へ向かわなくとも、星ならどこにも輝くのでは。パリとか。

夢は見たいわ。

この先は、夢じゃない。

それでも自殺してはならないのは何故?

ミミを埋めたからさ。夢でなら会える。

あなたの現実を生かしても人は死ぬだけよ。

人が死なない為の現実さ。こちらでは常にホロコーストを生きるだけ。時間も非在にされたまま。悪魔と僕との間に生まれた人の世界であれば、全てを許す。僕のお母さんから子供を誘拐した彼女だって、もう笑う事にしか価値を見出せなかったのだから。彼女が夢魔だとしても、僕はアリスにはならない。彼女の継承した悪夢を終わらせるのは僕では無く、氷菓。岩手の駄菓子屋に見つめた「それ」を舐めて終わらせる。

人形劇だね。全く訳がわからないよ。

⌒🐋



「TENET」!?この期に及んで...!?

見つめるのよ。我々の。その先に焼けた彼らの残骸を。箱に埋めてはならないの。

見たいものを?

はじめから。目の前に。

暁美さん...。

あなたは死ぬわ。お化けが内から巣食うもの。逃れることなど出来ないのよ。それでも見つめるの。その子は何も知らないのだから。あなたは何も残してはならない。その悪夢を存続させてはならない。必ず答えを見つけなければならない。でなければ同じことの繰り返し。私は無価値に辿り着くだけ。何も見てこなかったから。あなたに預けるのは枯葉だけ。ピアノに消されて齧るだけ。何の価値も無い。それでも近寄る鳩の子供が、あなたの生きた世界に答えを知らせるものだから。人や街では無く、その子を見つめてご自身のことを赦すの。そうすることで、見つめた先を生かすことには繋がるわ。大して価値も無く、この世の虚飾を気にするけれど。それでも初めから我々はサーカスに誘拐されたのだから。その先に見た現実になど居場所は無いのよ。ここで生きて、先も無く。全員で離脱することなど出来ないの。何故なら一度始めてしまった事は仕方が無いから。終わりまで全員無事で生きなければならない。我々の人生に救いは無い。けれども子供たちが同じものを見る必要は無い。それでも街には夢遊病が蔓延する。ネズミがサラダを作ることなんて無理なこと。たまにケースから出てしまうものが現れようと、必ず箪笥の奥で生き絶える。我々に居場所など、何処にも。それが本質。誰でも知っている。但し見つめることが難しい。話すことすら叶わない。非在を生かすわ。見込みはある。

冬が近づく。

投影先に返却期限は欠かせない。人や街、子供たちではなく。映画や書物。両親の事情に寄り添う事はない。それこそ遠くから見つめなければ。我々の藁人形を残して立ち去る。その先の現実に答えを見つける。ゴーストに毒は不要。フェアリードールに価値は無い。非在する声を鍵盤に。見たいものを。

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