秋本

剣道部に入っている。僕を虐げた一番の罪人。例えばコンパスの針を仕込んだペンケースを僕に向かって投げて、それを掴み取った僕は指をコンパスの針で刺されて怪我をした。例えば中学2年生になってから僕らは出会い、僕は日常的に虐げられていく。グルーミングに違いない。僕は暴行を受けながらも笑い馴染んでいた。弱者である自分は笑うしか無かった。殴られ続けていたと思う。蹴られ続けていたと思う。シャツはいつも汚れていた。彼らによって僕は暴行の被害にあっていた。秋本は親指を潰されている。親から罰として潰されたのか、詳しいことは知らない。いつも興奮していて何を考えているのかも見当がつかない。暴力を振るうだけの価値のない人間だ。僕は虐げられる。この哀れな罪人によって僕の日々は簡単に汚された。僕のことをえいりあんと呼んだのも彼が最初だ。いや、一番初めにそう呼んだのは他の男の子だった。それを面白がって彼らは僕を月に追放した。一年生の頃はまだよかった。僕は変人扱いされていたが暴行を受けることはなかった。始まってすぐの学校生活環境においては暴行など発生しなかったのかもしれない。僕は静かに過ごしていた。家ではゲームばかりしていた。学校では友達もいなかった。いや、レンとよく遊んでいたか。レンの家でゲームをよくしていた。小学生からの知り合いで他に遊ぶ子はいなかったから。レンの家でゲームをしていた。中学の同級生たちとボーリング場にも行った気がする。学習塾に入って初めて学校の外で集団で授業を受けていた。社会科の体験授業の時に後ろの席に座っていた宮島が僕のフードで遊んでいた。僕らはその頃から意識しあっていた。そうか一年生の頃か。
秋本に関する記憶は殆どない。

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