雑文
三匹の白っぽいコリーの三つ子が、お揃いのサングラスをかけて、横に並んだ列を崩さないようにと、ハラハラしながら、蛍光色の眩しい上着の目立つ、白髪の男性のあとを追う。向こうを向いたまま足早に歩き去る男性の表情を窺い知ることはできないが、三匹とも安心しきって彼のあとに続くので、きっと白色のマスクの下には、飢えに苦しむ少年の姿は不在だろう。
およそ八頭ばかしの兄弟姉妹たちと共に、綿の中に包まれて沈み込む日々を過ごしたはずだが、残りの家族の歩く姿を見たことはあるのだろうか。たとえ日陰の中に見失おうとも、隣に自分と瓜二つの二頭を捉えることは、おそらく埋めた歯ブラシを見つけることよりも容易いことだろう。そのさらに隣には、彼らにしか認めることの難しい、影に埋もれた弟たちの吐き鳴らす、海の渇くほどに抜けきったかのような、空気の霞む音が一緒について回ることなどあるのだろうか。他のものたちには聞こえぬ程に、静かに囁きかけるかのような、蟹たちにしか聞こえぬ声で。