Debut 25th anniversary interview❹“スパイス越境”で取り戻している感覚
Interview&Text by Yurie Kimura
❹〜“スパイス越境”で取り戻している感覚〜
――お店を始めて音楽との向き合い方も変化したそうですね。
サブスクに感謝だなと思っているんですけど、音楽を延々流しながら仕込みをする時間ができたことで、BGとして音楽を聴く感覚や自分が普通のリスナーであることを思い出しました。
仕込みしながらよくThe Birthdayを聴いてた時には、「やっぱりチバ(ユウスケ)さんの声は気合が入るな、音楽が人の力になるってこういうことだよな」と改めて感じたりもしたし。
あと玉ねぎを延々刻んでいる時に頭の中にメロディが浮かんでくることが増えて、ああ、デビュー前の高校時代も、授業中によく頭の中に音楽が流れてきてたなと思い出したり。
さっきの話と重なるけど、音楽には音楽以外のものも必要なんだなってすごく感じます。以前話していた“生みの苦しみ”は、音楽一本に絞っていたから感じていたものなのかもしれない。メロディとか言葉とか、せかさずに自然に出てくるのを待っていればいいし、そのために店がやれているならすごくいいなと思っています。
――そういういろんな変化が、今後どんな形で現れてくるでしょうね。
25周年のライブは以前よりお客さんが増えていたし、顔ぶれもずいぶん変わっていたんですよ。カレーを食べに来てくれてCDも買ってくれたお客さんが、ライブにも来てくれていた。そういう変化もおもしろいし、音楽に対して肩の力を抜いて向き合えるようになったことで、以前とは違う歌が歌えたり、曲が書けたりしてくるんだろうなと自分でも楽しみです。
(❺につづきます)
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