Debut 25th anniversary interview❸家族を得たことでの変化
Interview&Text by Yurie Kimura
❸〜家族を得たことでの変化〜
――結婚し、父親になってどんなことが変わりましたか。
視野が広がったと思います。まだまだ広げている最中ですけどね。ずいぶん前から飲み仲間だったフジコさんとは2016年にちゃんと出会って、そこから毎日のようにいろんなことを指摘されて、生きるのに必要なことを教えてもらっているんですよ(苦笑)。マジでありがたいと思っています。
――どんなことを指摘されたり、教えられたりしているんですか。
例えば俺の中に凝り固まっている男性優位の考え方とか、自己中心的なところとか。指摘されないと気づきもしない、「だって俺、今までそうやって生きてきたもん」みたいなことですね。
俺は自分の“家族”を信じているつもりでいたけど「全然信じてないんじゃないの?」って言われたりもしたんですよ。「そんなことないんだけどな」と思って掘り込んでいくと、俺が育った大森家は3人家族だったけど、“ひとり”みたいな人ばっかりだったなと気づくわけです。
両親ともに、それぞれが自立してカッコよくいればいい、みたいな考えだったから、“家族”と呼ぶにはあまりに繋がりが弱かった。
だから自分は人を信じることや人とどう関わればいいかがよくわかってないんだなって。どうしても“俺はこう感じる”が中心になってしまうんですよね〜。
あと「君は人に対して興味が持てないから歌詞に出てくるのは海とか空とか花とか大きなものばかりで“人”が出てこないんだね」って言われて、なるほどな〜って(苦笑)。
『僕らの街』にはちゃんと“人”が出てきている気がするし、だからあのアルバムは好きなんですよ。
それから、ひとつ気に入らないと全部がイヤ、みたいになる4歳の娘を見てて、自分と似てるな、なんだ俺、4歳から成長してないのか?と愕然としたりすることもある。3人で生活する中で、ずいぶんいろんなことが見えるようになったし変わったと思います。
――以前のインタビューで、“大事な彼女と歌があればそれだけで十分幸せ”と話してました。今は“大事な家族と歌があれば”ということでしょうか。
そうですね。ただ、意味合いはあの頃とは全然違いますね。あの時はまだ“ずっと”とか“永遠”みたいなことが全然信じられない人間だったけど、今は“ずっと一緒にいたい”、“ずっと一緒にいるんだな”と確信が持てているので。
まだ時々揺らいだりすることもありますけどね(苦笑)。
(❹につづきます)
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