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2023/9/22 27周年ワンマンに向けて②

Interview&Text by Yurie Kimura

*自然に、すべてを超越できるような感覚で歌えている時が一番気持ちいい

――弾き語りは楽曲が裸になるし、歌い手の力量も露わになる。そのことに怖さを感じることはないですか。

 全然ないですね。歌は得意だから、対バン相手が誰であろうと、音響設備が整ってなかろうと、どんな過酷な状況でもちゃんとみんなに自分の歌を聴かせる自信があります。

それは昔から全然変わらない。しかも今は、タバコをやめたおかげだと思うけど、以前は浮き沈みがあった喉の調子も安定してるし、相変わらずお酒は飲んでますけど、飲み始めが早くなって夜の10時半には寝ちゃってるから体力もバッチリですからね。

いざとなったらアカペラで歌ってもいい。“歌になりたい”と思ってる人間なので、アカペラで喜んでくれるなら、一番嬉しいかもしれない(笑)。

――歌っている時はどんな感覚になっているんですか。

 一番いい時は、自分がエネルギーになっているような感じですね。自然に、すべてを超越できるような感覚で歌えてる時が一番気持ちいい気がする。

視線はみんなに送っているけどフワーっとした感覚でいるから何かを見ているというわけではなく、でもみんなの心の動きや表情の変化は肌で感じられているというか。
そういう時はみんなにちゃんと歌が届けられていると実感できるし、自分でも嬉しいし、みんなを特別な空間に連れて行けてる時だと思います。

――確認ですが、あくまで歌がメインで、ギターは伴奏の楽器ということですね。

 僕の中ではそうですね。前にも話したかもしれないけど、人生最初のオリジナルは、テーブルをペンで叩いてリズムを取りながらアカペラで歌って、それをカセットに録音したものだったんですよ。14歳くらいだったのかな。「すげえのできた!」と思って自信満々で友達に聴かせたら「何やってんの!?」って爆笑されて。傷つきもしたけど、逆に「こいつ、バカだなー、アカペラだと曲のよさが理解できないんだ。しょうがないなあ」と思って、そこから1年くらいかけてギターを弾けるようにしたんです。

俺は歌いたい人間だから、メンバーに弾いてもらうためにバンドも組んだし。今はだいぶギターを弾けるようになっていますけど、ギタリストに憧れて歌うようになった人たちとは全然違うと思う。

――ちなみに初めて弾き語りのライブをやったのはいつですか。

 高校2年の夏くらいですね。バンドのメンバーが受験準備を始めてライブ活動が止まった時に、「じゃあ一人でライブをやろう!」って。
――そのライブを録音したテープが、デビューのきっかけになってもいるんですね、

 そうです。地元のライブハウスの今は亡き店長が勝手にそれを録音して、俺の知らないところで音楽業界の知り合いたちに送ったんです。そしたら予想以上にオファーが来たという。

――そのテープで洋平くんはどんなギターを弾いて、どんな歌を歌ってたんですか。

 聴いたことありますけど、ギターは酷かったです(苦笑)。ジャーン、ジャーン、ジャーンみたいな。ただ歌は、圧倒的に自信がある、みたいな歌い方でしたよ(笑)。

*2026年のデビュー30周年に向けて

――9月22日は吉祥寺ROCH JOINT GBで今年2本目の弾き語りワンマンライブです。

6月2日のライブの後にGBの野村さんに「どうします? これ一発だけにしますか?」と訊かれたんですよ。その時に「今日のライブはすごくよかったし、弾き語りワンマンを定期的に続けることで観てくれる人が増えていったら、理想的ですよね」と。なのでしばらくはいろんな形で弾き語りのライブを続けていこうと思っています。

8月4日にGBでやる中尾諭介君との“Yohei Ohmori Presents Twoman live Series Y’s meeting~vol.1”も、野村さんに背中を押してもらって珍しく自分で企画したライブなんですよ。
不定期ですけど、自分の好きな人、気になる人を呼んで二人で弾き語りのライブをやっていこうと思って。地方でも弾き語りのライブをいろいろやらせてもらって、スキルをあげて行けたらいいなと思ってます。

弾き語りは一番歌が伝わる形だし、それがよければどんな形で演奏するとしても自信を持ってやれますからね。

――弾き語りワンマンのタイトル“HIKIDASHI”に込められた想いは?

 2000年前後、バンド編成じゃなくなって、初めて一人で弾き語りのツアーを回った時と同じタイトルです。

“自分の中のいろんな引き出しを開けよう”という想いで俺が考えたら、スタッフもみんな「いいタイトルだ」とすごく喜んでくれた。あの時はまだ、観てくれる人がたくさんいたんですよね。

今回、6月のワンマンライブが決まった時に、ふとそのタイトルを思い出して、「あの頃は若かったから引き出しは2個くらいしかなかったし、中身もスカスカでほとんど開けることはできなかったけど、今なら引き出しはいっぱいあるし、中身も詰まってる。

今度こそちゃんと引き出しを開けて、みんなにいろんな歌を聴いてもらいたい」という気持ちになったんです。弾き語りのライブはしばらく、このタイトルでやっていこうと思っています。

――口ぶりから今の洋平さんの落ち着きと自信が伝わってくるようです。

やっと計画を立てて先へ進んでいけるようになりました(笑)。20周年の時は前もって考えることができなくて、2016年になって慌てて「何をやろうか」と考え始めていたんですよ。

それで本来20周年の2016年に出すはずだったアルバム『強烈なハッピーエンド』が2年遅れの2018年になってしまったという(苦笑)。

でも今は2026年の30周年に向けて、少しずついろいろ考え始めています。8月から始める不定期の2マンの弾き語りライブも、うまい具合に発展して30周年の2026年にはみんながびっくりするような人とやれたらいいな、どうしたらそれは実現できるかなと考えていたりもするし。

以前はハナから「無理だ」と諦めていたことだけど、言ったり考えたりするのはタダだし、言葉にすることで実現できることもあるんだから、自分にできることをやっていこうと思ってます。

あと30周年には集大成となるアルバムも出したいなと思ってもいるし。弾き語りのワンマンライブは、ちょうどいいタイミング始められた気がします。

――9月22日の弾き語りワンマンにも、是非足を運んでほしいですね。

 そうですね。その前の8月26日にある”THE まっすぐ“というユニットでのライブも、ぜひ(笑)。

思いかげず染谷俊さんとドラマーの野崎真助くんと3人で始まったユニットだし、不思議な組み合わせだから、この先どうなるかまだ全然わからないんですけどね。新しい形のバンドなので、自分でもちょっと楽しみです。

――ライブの本数も今年から一気に増えています。動き出した、始まったという実感も、大きいのでは?

 旅も始まりましたからね。6月2日に「ここから始まりです」と言ったのは、新しい人たちにこれから働きかけていきたいという意味でもあったと思います。

「まだ一度も大森洋平を聴いたことがない人たちも味方だ!」と今の俺は思えているので、その人たちにたくさんの歌を届けたい。
あと、離れていった人たちにも、戻ってきてもらえたら嬉しいなあ、と。いろんな意味で、今からじゃなかろうか、と思ってますね。


Debut 27th Anniversary Live “HIKIDASHI 1996〜2023″★弾き語りワンマン

2023.9.22(金)吉祥寺 ROCK JOINT GB
開場/開演=19:00/19:30

入場チケット=前売/当日:3,500円/4,000円(税込/1ドリンク(¥600)別)
予約=当HPメール(予約受付中!)、各SNSのDM等でも可、GBメール(予約受付中!)

問い合わせ=GB 0422-23-3091

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