#07 「問い力を鍛える」 <~後編:実践編2/2~>
■ <最終章 正しい問いとは?>
(この号は、約3分で読めます)
ドラッカー氏の名言中の名言ですね。
「間違った問いに対する正しい答え...」
深い言葉です。
我々にとって最も重要なことは、「正しい問いを立てること」。
一方、正しい問いにたどりつくのは、とても難しい...
そもそも、なにが「正しい問い」なのかも、分からないですよね...
それだけに、正しい問いにたどりつくため、常日頃から「良い問い」を発する訓練が必要です。
「問いの千本ノック」や「問いの習慣化」で、問い力を鍛える環境作りです。
そして、「正しい問い」は、いくつもの「良い問い」を問い続けることで到達できる「本質的な問い」。
「良い問い」を作る技術がスタートラインです。
それでは、どのようにしたら「良い問い」を作れるのでしょうか?
そもそも、「良い問い」「悪い問い」とはなんなのでしょうか?
問いの作り方に関しては、数多くの本が出ています。
私も何冊か読みましたが、古今東西問わず、「良い問い」に関する基本原則や勘どころについては、どの本も源流は同じでした。
英語の慣用句に、"Think outside the box"という表現があります。
直訳すると、「箱の外で考えろ」。
意訳すると、「既成概念に囚われずに考えろ」「柔軟に考えろ」。
この意識を持つことが、「良い問い」を生み出すうえでの基本原則。
一丁目一番地の姿勢のようです。
■ 箱の外で考えよう!
では、どのようにしたら「既成概念に囚われない問い」を生み出すことができるのか?
色々と技法はありますが、比較的簡単で効果の高い方法は、「規格の外へ飛び出す」や「想定外の制約をつける」、「五感を刺激する」問い。
そのような「思わず二度聞きする問い」は、先生を箱の外に連れ出してくれる可能性が高そうです。
たとえば、以下の問いを投げかけられたら、先生はどう感じますか?
そして、なんと答えますか?
「目の前の患者の状態を最も”悪化”させる可能性の高い治療とは、どんな治療だろうか?」
「もしも与えられた診療時間が一人5分だとしたら、或いは120分だとしたら、どのような診療をするだろうか?」
「もし利き腕を骨折し、半年間利き腕が使えないとしたら、どのような治療をするだろうか?」
もし上記の問いが先生の五感を刺激し、なにか違った視点で新たな問いが生まれていたら、それが先生にとって「良い問い」です。
■ 答えを敢えて出さないという選択
そして最後に、今回の本質的なテーマである「新たな問題を見つけるための、正しい問いとは何か?」について。
結論から言うと、そして身も蓋もない結論なのですが、私自身はそれを導き出すのに有効な方法論がわかりませんでした。
問題の所在が明確な「問題解決型」に対する問いは、導き出すべき答えに対する具体性も高いため、そのための正しい問いも比較的見つけやすい気がしています。
対して、問題がまだ顕在化していない、抽象度の高い問題については、何が正しい答えかすら、誰にもわかりません。
抽象度が高ければ高いほど、正解と非正解がグラデーションのようにつながっていて、そもそも一つだけの正しい答えもなさそうです。
最近よく「ネガティブ ケイパビリティ―」という言葉を耳にします。
「答えの出ない状況に対して、答えを出さないままに耐える力」を指す言葉です。
情報化社会に生きる私たち現代人。
スマホで容易に検索できるので、すぐに白黒はっきりした答えを出したくなってしまいます。
仕事にしても、学習にしても、それに取り組む”目的”の大半は、「答えを出すこと」。
「正解」が目的である以上、「問い」を含めた活動全て、そのための”手段・道具”という位置付けです。
そこを敢えて、「問いの深淵を探る」ことを”目的”としたらどうでしょう?
「問いを立て続ける」ことは、前述同様、そのための”手段”。
しかし同じ手段でも、目的が異なれば、違った世界が拡がりそうです。
そして、そこでは「正解」を出すことが無用な世界。
むしろ、出してしまったら、そこで「ゲームオーバー」です。
「先生は、なんのために治療院経営をしていますか?」
この問いの深淵を探り続けるのも、なんか面白そうですね。
今回は全4回に渡り、「問いを創る力」について一緒に考えてみました。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。
もし何か考えるヒントがありましたら、ぜひ第一部~第三部までを再度全編読み返してみてください。
更なる気付きや、思考の深まりになると思います。
<<問い力を鍛える3部作>>
第一部: なぜ「問う力」は希少価値なのか?
第二部: 問いの深淵を覗き込む
第三部: 問い力を鍛える 実践編1/2 (前号)
: 問い力を鍛える 実践編2/2 (今号)