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ドアを開けて【君に贈るランキング】(毎週ショートショートnote)
部屋に帰ったらどこかおかしい。
いつも置いてある彼女の化粧品が消えている。
靴もない。
クローゼットの中には数枚の服だけ。
嘘だろ。
今朝は変わりなかったはず。
笑顔で見送ってくれたのに。
悪いところはいくつもあった。
どれがダメだったのだろう。
冷静に考えてみる。
あれか。
食器をすぐに片付けなかったこと。
ゴミくらいまとめてよといつも文句言っていたっけ。
靴下をいつも裏返しにして洗濯機に放り投げていたこと。
畳む時に面倒だと怒っていた。
水を出しっぱなしで歯磨きをしていたことか。
節約がモットーだったもんな。
これで4つか…
君に贈る俺のワーストランキング。
こんなもの要らないよな。
ごめんな。
君にフラれた最大の理由は未だにわからすじまい。
ドアを開ける音がした。
振り返ると彼女が立っていた。
靴を蹴り脱ぎ、俺の腕の中に飛び込んできた。
全然ぎゅーしてくれないんだもん!
今度だけ許してあげる。
荷物運ぶの手伝って。
俺は笑ってOKした。