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占い師【涙鉛筆】(毎週ショートショートnote)

そのひとは不思議な力を持っているという。
どんな悩みや辛さを抱えていたとしても、そのひとのところに行けばそれらが無くなってしまうのだと。
それが本当なら奇跡だ。


ごく普通の戸建ての家の住所を訪ねると、出てきたのはショートカットの小柄な女性だった。
通された部屋にはありがちな怪しげな小道具などは無く、机と椅子だけのさっぱりとしたもの。
どうぞ掛けてと言われて座った。


これになんでも良いからあなたの頭に浮かんだ言葉を書いて。
そう差し出された色鉛筆は白。
白い紙に白で書いてどうするつもりなの。


どうせ見えやしないなら、なんでも書いてやれ。
無いと思っていた感情が次から次へと溢れて止まらなくなる。
気がついたら涙も止められなくなって、ポタポタと紙に落ちる。
すると見えなかった白い文字が水色に淡く浮かび上がってきた。浮かんだ言葉を読むと声を上げて泣いた。


涙は最大の浄化。
わたしはそれを助けてあげるだけ。
これからは幸せになるのよ。

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