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【対談】「レゾン・デートル」大久保友博×外池大亮監督
① はじめに
今回の記事はア式蹴球部監督・外池大亮さんとの対談をまとめたものである。今年の2月、ア式蹴球部の熱狂を盗むために外池監督とご飯に行き、色々と話を伺った。その後も度々Zoomで相談に乗っていただいた。僕の組織運営には、外池監督から頂いた価値観が色濃く反映されている。
1年間追い続けたア式という熱狂に溢れた組織。
その熱狂に1年間の締めくくりとして大久保が対談に臨みます。
本記事のタイトルには、初めて外池監督にお会いして以来ずっとその意味を考え続けている「レゾン・デートル(存在意義)」という言葉を当てた。
大学スポーツの存在意義と応援の存在意義を追いかけた2人の男の対談に、是非ご注目あれ。
②大久保の第一印象
大久保
「僕の第一印象どんなでした?」
外池監督
「よく言われると思うけど、目力強いよね。」
大久保
「めっちゃ言われます(笑)」
外池監督
「それと、面構えがいい。サッカーの現役を引退した時に電通に行ったんだけど、採用の時にお世話になった人がいて。その時に言われたことがあって。人を採用する時に3つのポイントがあると。」
「その1つ目が『この会社好き、絶対に入りたい』という好きの度合い。それは、能力関係なくね。2つ目が単純に『能力の高さ』。コイツどこいっても通用するなーってのを見ると。」
「で、3つ目が『面構えの良さ』。採用された時には『お前面構えの良さでしかないよな』って言われたな(笑)別に電通好きでもないし、サッカー以外の能力がある訳もなかったし。ってことをサラっと言われた時以来『面構え』に対して敏感になった。表情だったり、顔から出てくるエネルギーだったり。で、大久保はそこがあるなと。」
大久保
「ありがとうございます(笑)『男は20歳で自分の顔に責任を持て』って信念を持ってて。リンカーンは『40歳』って言ってましたが、正直、大学生の段階で出るなと。何かに本気で取り組む奴って顔が違うんで。そういう考え方持ってるんで、面構えが良いって言われるのは嬉しいですね。」
外池監督
「『面構え』といったら抽象的だけど、「何かと闘ってる」とか『何かに抗っている』っていうのが顔に出るんだろうね。」
③外へー。
大久保
「『外に出る』というのを深堀りたいです。サッカーの現役時代からインターンを毎年受けられてたとか。何か気づいたことはありますか?」
外池監督
「マリノス(横浜F・マリノス)を戦力外通告になって、トライアウトでも全然声が掛からない。2月くらいになって各チームが始動しても『スケジュールに載ってない自分』に気付いたのね。」
「その時に初めて色んなことに気付かされた。サッカー以外にやりたいこともない。でもサッカーをやれる場所もない。結局自分は守られてたんだなと。で、何故かJリーグに相談しに行った。『辞めてった人達が何をしたか』のアーカイブがあるかなと。そしたらJリーグも選手のセカンドキャリアを問題視してた。で、そんなこんなでヴォンフォーレに入団して、現役活動が再開して『プロ選手ってなんなんだ?』ってことをしこたま考えた。金稼ぎたいとか活躍したいとか、そういうことじゃなくて『本質』はなんだろうと。」
「『今の世界を広げる為にインターンって必要なんだな』と思った。サッカー選手って色々な人が試合や会場を用意してくれて、そのド真ん中でプレーさせてもらえる。自分からベクトルが出てない。で、外から見たらこういうこと出来るんじゃないかなってことを考えた。」
大久保
「今の外池さんのお話を学生に落とし込むとしたら、僕は『就活』なんじゃないかと思うんです。僕の応援部の先輩で、就活を早く決めた人がいるんです。で、やった時期の前後で言うことが全然違くて。」
「で、自分も就職とかする気が余りない中で就活やってみたら、応援部も神宮も早稲田スポーツも知らない人達に、『自分』を説明するって凄く難しいなってことに気づきました。それを応援の魅力を伝えるってところに落とし込んだ時、何も知らない人に『神宮来てくれ』『試合見に来てくれ』とか言っても意味ないなと。」
外池監督
「そうだね。実際部員にも『大学スポーツは4年生が1番人間として成長出来る』ってことは何回も言ってる。セカンドキャリアって観点からいくと、俺の現役の頃にインターン行ってるのを『現役中に別のことやってる人とプレーしたくない』と言われたこともある。それでも6年間自分の価値を高めるためにやってきたから。」
大久保
「就活って観点で物凄く後悔してることがあって。3年時代に就活を真剣にやってる奴がいたんですよ。彼は元々迫力派のリーダーだったんですけど、就活やってからその迫力が落ちたって周囲に思われる様になって。で、僕も彼のスタイルの変化の一因を『就活』と見なしてたんですが、本当は彼は『リーダーのスタイルが世の中に通用しない』と気づいただけなのかもしれない。そういうことを考えずに一面的な見方しか出来なかったのは凄く後悔してますね。」
外池監督
「なるほどね。」
「(大学サッカーは)俺らが学生の頃より遥かに厳しくなってるし、遥かにレベルも上がってる。その中で人生を変える場があるってのが大学スポーツの価値だと思う。サッカー自体を広く捉えることが出来れば、自分の活動の中で色々な学生だからこそのトライアンドエラーを出来るから。その機会は外に出ることで見つかるよね。」
「現役を引退した後にサッカーから離れたのもそこ。サッカー界で色々な経験をさせてもらって、その中だけにいるのは違う。長くやってる人こそ外に出ないと。その違和感があったから、辞める前に何かを決めることなく、やりきった先にしっかり空白の期間を付けて考えを整理して外に出てやろうと思ってたね。」
大久保
「外池さん見てると、イチローを思い出すんですよね。」
外池監督
「イチロー(笑)」
大久保
「イチローの引退会見で『外国に行って初めて自分が日本人だということに気付いた』と言ってたんです。外池さん程の経験はしてませんが、それを見た時に『応援部を出た時に初めて自分が応援部員だということが分かった』って腑に落ちたんです。」
「僕が応援部の中で嫌いな一面も、外に出て俯瞰してみると、そういう要素が求められていたり。僕らが当たり前の様にやってたことが、実は当たり前ではなかったってことも分かってきました。応援部全力でやる。外に出てそれを俯瞰する。応援部の活動に深みが出て、思考や行動、言葉が変わってくる。そして外に出ると、外部の方にも『君いいね〜』と言われたりする。そのスパイラルには乗ってきたなあと。自分の肩書きが何も通用しない世界に行くことで初めて見えることがあるなって確信しました。」
外池監督
「早慶戦が試合である以上当然勝ちは目指すけど、それ以上に早慶戦で『俺らは早稲田だ』ってことを教えてもらってる。慶應がいなかったら、早稲田ってなんぞやって話じゃん?だから相手をリスペクトするってのが大事だし、相手を蔑んでたら、早慶戦そのものの価値が上がらない。」
大久保
「なるほど…。慶應を知ることで早稲田が見えてくると。」
外池監督
「大学スポーツへ人を集めたいって話でも、そのマインドセットがないと『こうやって集めました』という手段の話になる。そこじゃなくて『なぜそこに集まる必要があるのか』『誰をそこに集めたいのか』ということを深めらるるかが大事。野球だとかサッカーだとか、競技の話はその後の話だね。4万5千人の学生がいるんだから、その人たちが来てくれれば超満員だし、そこで帰属意識を持てる場を提供出来れば、それが応援席のあるべき姿かなと。」
大久保
「確かに。僕らが呼ぶというよりは、向こうに『ここに、俺は行かなきゃいけないんだ』って思っていただく方が大事だってことですよね。」
外池監督
「そうそう。そこを深めて、その熱を応援部が伝染させることが出来る。この前の早慶サッカーで思ったけど、『音』があるだけで会場の空気や試合への入り方本当に違う。」
「だから、応援部は体育各部に対してへりくだらないで欲しい。体育会の想いを体現してその熱を繋いでいければ、それこそが活動の根幹だと思うし、それを担えることに誇りを持って欲しい。」
大久保
「2月に話した時、『ノウハウとしての応援しかしてなかったな』って反省したんですよ。そこに神宮があって、ただ呼ばれて勝手にワーワーして終了と。他の活動に同じ距離感で挑めてたかって聞かれたら本当に怪しい…。」
「早慶サッカーや早慶バレーでも世の中に興味を持っていただける様な企画を展開していますが、間違いなくあの時の(2月の)会談の影響は大きいです。闘ってるのは野球部だけじゃないから、その姿を発信し応援するのが僕らの存在意義だと思ったんで。」
外池監督
「それは良かった(笑)そこを深められると良いよね。」
大久保
「自身の存在意義を強く思ったのが、早稲田祭のエンディングに出演した時です。今年は早稲田祭と野球の早慶戦が被りました。で、本当はその出演はOBが派遣されるはずだったんです。」
「ただ、それ良いのかなって思ったんです。野球の早慶戦、早稲田祭がそれぞれ単独で盛り上がって、そこに繋がりがない。それを繋ぐのは自分だって思ったので、最後の早慶戦で神宮早抜けして早稲田祭に向かいました。で、その時に『優勝した!』と宣言して皆に拍手をしてもらって。僕自身も早稲田祭の成功へ想いを語らせてもらって。そうした『架け橋』としての役割は自分にしか出来ないと思ったし『あぁ、これが俺の存在意義か』と。」
④伝統こそ真の革新
外池監督
「自分達がその時代に生きてきたこと、今感じていることを深める。そうした革新していこうという気概が、伝統を創り上げる。だから俺は『伝統こそ革新』って言ってる。『このままでいい』と言うならそれは『伝統』じゃなくて『衰退』だよね。」
大久保
「応援部の創始者は周囲からの反対を押し切って、今の組織の原型を作ったわけじゃないですか。それを継ぐなら、『ここではこれをやる』みたいなノウハウ的な話じゃなくて、本当に継ぐべきは何もないところに応援部を創り上げた『魂』なんじゃないのかなと。」
外池監督
「今年に色々なことが変わっているけど、それは『偶然』じゃなくて『必然』だよね。急にウィルスが出てきた訳じゃなくて、色々なことの積み重ねと歪みが、コロナ禍で噴出しただけ。この代に生きる人は、当然それを気概を持って変えていかないと。」
大久保
「本当にその通りです。コロナ禍前にやってた事を『A』、コロナ禍でやってることを『B』とします。僕が怖いのがコロナ禍が終わった後に『A』に単純に戻ることなんです。コロナ禍で得た知見を活かして、『A』『B』掛け合わせて『C』を生み出さないといけない。」
外池監督
「出来ることは、そういった構造を変えていくことだよね。」
「『構造』の話で言うなら、ア式のOB会の構造でいうと、働きざかりの20代から40代が抜けた『谷間』の抜け落ちた構成になってしまっていた。仕方のないことかもしれないけど、本質的に強固なコミニティにしていくにも、OBのお金だけでない資産を活かした現役の成長機会を考えても、若手中堅OBと現役を関わらせる機会はとても重要。」
「一緒にサッカーもまだできるし、そのために数多くのOBが卒業後に所属する社会人リーグ(ブロではなく仕事をしながらサッカーをするカテゴリー)にも学生として参戦し、そんなピッチ上でコミュニケーションがあるだけで、現役も『OBってこんな感じなんだ』ってリアルに見える。またOBからも『むしろ僕らが刺激を貰いました』って言ってくる。上意下達だけじゃなくて、そうした下から上の突き上げは、昨今の社会環境を考えても大事だよね。」
大久保
「外池さんを見てると『下から学ぶ力』が凄く高いなって思います。僕と対談してくれてるのもそうですよね。記事で見たんですけど、『挨拶の話』とか正にそれだなと(笑)」
※ア式のキーパーである山田選手が外池さんに『監督が1番挨拶してない』と指摘し、外池さんがそれを受け入れ自身の行動を変えられた一件のこと※
大久保&外池監督
「(笑)」
大久保
「それを言える環境ってのがまたいいです。」
外池監督
「山田がそれを言った時、場が凍り付いたのよ(笑)『この時に必要なのは挨拶とか集合掛かって早く集まるみたいなベースの部分です。で、敢えて言うとこの中で1番挨拶してないのは外池さんです。』と(笑)」
大久保
「すげえ(笑)」
外池監督
「その夜に一対一で電話して『どういう意味だったの』って聞いたのね。俺結構挨拶してる方だと思ったからさ。そしたら山田は『外池さんは話しやすいし挨拶もしてくれます。でもそういうことじゃないんです。外池さんが来た時部員60人のメンバーがいてその人たちが挨拶するんだから、外池さんは挨拶を60回返さなきゃいけないんです』って言った。」
大久保
「うおぉ…。すげえ…。」
外池監督
「なるほど、そういうことかと。で、納得したよね。自分は挨拶してるつもりだったけど、そうは受け取られてなかった。」
大久保
「外池さんその後どうしたんですか?」
外池監督
「集合の時に『俺は今日から全員に挨拶する』『その意識を全員で持とう』って言ったよ。でも、それで空気変わったのよ。」
大久保
「外池さんも山田も凄いです…。」
外池監督
「『山田さんはああ言ってるけど』ってやらない奴も、他の奴に隠れてやらない奴も、その時はいなかった。本当にアレで空気が変わったね。そういうちょっとしたことに気付ける力も凄いし、ともすると『山田が監督批判をしている』って思われることもあるかもしれない。」
大久保
「そうですよね。出る杭は打たれるのが普通ですよ。」
外池監督
「だから、俺の場合は『下』じゃなくて『マイノリティ』を拾いたいって気持ちが強いんだよね。俺は自分が早稲田を卒業する時、早稲田を嫌いになってたからさ。」
大久保
「記事などで見かける『サッカーを嫌いになって辞めたくなかった』という言葉はとても印象的です。」
外池監督
「皆がやらない様なことをやってたり、皆が言わない様なことを言ってたりする人って、それなりの意味を持ってそういうことをしてる。そこに成長のヒントもあるのよ。皆が気付いてないことに気づいてるわけだから。選手の頃はそうしたマイノリティ側にいたけど、監督やるからにはそうした選手を殺さないようにしたいと思う。チームとして強くなると思うし。」
大久保
「大学で部活をする意味ってそこにあるのかもしれないですね。色々な角度から今自分がやってることを見れる。」
外池監督
「そうだね。プロは専門性も強度も上がるけど、人間としての基盤がないと立ち行かないからね。正にそれを大学で試行錯誤出来れば、人間としての幅も広がるだろうし。」
大久保
「応援の魅力とは何か、それを伝えるにはどうしたらいいか。んで、集客はその次。そういうアプローチをしたんですよね。その時に気付いたのが、現場に裁量がないから何するにしても上に許可を求める形になってしまう。裁量権がないと主体性もへったくれもない。」
「SNSで広報ビラを作る時に、試しに本来そうした権限を持たない2年生に『お前の作ったビラを公式アカウントに載せるから作ってみ!』って言ったんですよ。そしたら死ぬ程クオリティ高いものが出来まして(笑)結局、主体性もってやれとかやる気出せとか、そんなこと言っても響かない。大事なのは『裁量権』で、後輩には『ここまでやらせてくれるの!?』って思ってもらわないと、主体性も引き出せないなと。」
外池監督
「俺が1番大事にしてる『主体性』を説明するなら『責任とアイデア』だと思ってるのね。」
大久保
「うわぁ〜、本当にその通りです。」
外池監督
「フォーメーションとか戦術レベルの話でも、学生が作れるのよ。で、大学までサッカーやってるんだから『決めてください』ってのは違うよねと。でも、マネジメント側からするとダメだよって決めた方が楽。リスクがないから。でも、本当のリスクはそこじゃない。大人の生き方が問われていると思う。」
大久保
「僕もそんな大人になります。」
⑤大久保の“小ささ”
大久保
「外池さん見てて思うのですが、マネジメントする人の最終目標って『自分がいなくても回る環境を作る』ことなんじゃないかなと。」
外池監督
「そうだね。それはある。」
大久保
「最近あった事なんですけど、僕が提案した企画が反対喰らって出来なくなったんですよ。その翌日に反対してた後輩達は『今進んでる企画の進捗はこんな感じです。大久保さんどう思いますか?』って言ってくるんです。もう自分の頭で考えて動ける様になったんですよ。僕がいなくても何でも出来る。」
「で、これが僕の良くないところで、僕はその時に『寂しい』って思っちゃったんですよ。要は、僕は『子離れ』が出来てないんですよね(笑)僕はプレイヤーとしては優秀だったと思います。でも、『監督』にはなれなかったなあと。」
外池監督
「でも、それは、良いんだよ。4年間でトライアンドエラーしたものを社会という場でもやって、また戻ってくればいい。俺自身、現役やめて、サッカーとは関係ないフィールドに行って、それでもサッカーとの接点作って、こうしてまたア式に戻ってきたし。」
大久保
「仕事やって成果出して、そこに存在意義を見出してたから、後輩たちが成果を出せる様になってきたのを望んでいたはずなのに、いざそうなると自分のアイデンティティが脅かされる感覚になっちゃったんですよね。そんな自分に気付いた時、自分で自分が嫌になっちゃって(笑)」
外池監督
「それ、noteの記事に書きな(笑)」
大久保
「書いた方がいいですかね。出来ればカットしたいのですが(笑)」
外池監督
「選手ってみんな俺が1番になるんだって気持ちでプレーしてる。でも、トップを目指すだけじゃスポーツの本質には至らないよね。以前は大学日本一が全日本で日本一って時代だったかもしれない。でも、今は同じ年代でプロ行って代表になってる奴もいる。それで『選手として1番であれ』なんて言われても、現実感がない。」
「ア式のビジョンは『日本をリードする存在になる』だけど、それは今日本をリードするってことじゃなくて、未来においてサッカーじゃない所でもリード出来る存在になろうって想いがある。これから日本をリードする存在になるために、この4年間をどう過ごすかってこと。」
大久保
「真のビジョンですね。どっかから持ってきた借り物の言葉じゃなくて、自分で導き出した言葉。」
外池監督
「そうしたビジョンを掲げて、突っ走って、後輩が成長したら自分の『小ささ』を感じたってことは、凄い大事な視点だと思う。絶対に書くべき。それは本当に共感されると思う。人間って『GOOD LOSER』であるかって大事な指標だと思う。勝ち続けられればいいけど、そうもいかないから。でも、ここから先の人生って『どうやって良い負け方をするか』がとても大事になってくると思う。」
大久保
「うわ、刺さりますね…。」
外池監督
「ストーリーは続くから、そこに負けた経験がある方が絶対に深みが出る。」
大久保
「口では『おー、やれやれぃ!』って言いますけど、心の中では『俺が暴れる時代は終わったんだなあ』って気持ちでした。自分で自分が悲しかったです(笑)」
外池監督
「それは絶対記した方がいい。そこに最後に気づけたことはとても大切なこと。その切なさ、悲しさからスタートするって大事よ。」
大久保
「企画全部終わって引退した後に笑顔で終わりたいですね。今のままじゃ『お前ら後は任せたぞ!』って口だけでは言えても、心からの言葉ではないんです。」
外池監督
「そこに気付いた時点で1つ超えた部分もあるし、そこに気付けないと真の晴れやかさも見えてこないからさ。自分も現役を引退した時は晴れやかな気持ちだったし、だからこそ『次どうするか』『どう自分を成長させるか』ということに本質的に向き合えた。」
「そこを考えると、俺、色々生きてきたんだなって感じだわ(笑)」
大久保&外池監督
「(笑)」
外池監督
「あまり自分では実感ないんだけどね(笑)学生が眩しく見えるし、人生を謳歌して欲しいって思うよ。」
大久保
「学生アスリートの去就が語られる時に『プロに行くか一般就職か』って言われるじゃないですか。でも、今のア式ならどっちに行っても『プロ』なんだと思います。」
外池監督
「なるほどね。」
大久保
「昔のア式とかなら、プロに行けなくて会社に入ることを『負け』だと捉えると思うんです。でも今のア式なら『俺はここで日本をリードすればいいのね』って発想になるんだろうなと。」
外池監督
「そういう組織作りを目指してるし、『社会の中にサッカーがある』って考え方は絶対に必要。能力だけでサッカーを語るのはあってはならないと思う。」
「君らが社会を作るからね。十分やれると思う。大人が課題になるから、その大人をどう巻き込んで引っ張っていくかが大事。摩擦が生まれても、コミュニケーション取って結果残せば、変わっていく。そういう社会になってきてる。」
⑥更なる未来へ
大久保
「この対談通じて『マイナス面も発信しよう』って思いましたね(笑)」
外池監督
「マイナスってわけじゃないよ(笑)」
大久保
「そうですね。なんて言えばいいのかな…。悩みとか、葛藤とか、不安とか…。今までそういうのを発信するのをカッコ悪いって思う自分がいたんですよ。」
外池監督
「ただ生き恥を晒すのは違うけど、等身大な自分のリアルな姿を素直に俯瞰できるようなことが出来れば、初めて次のステージに行けるのかもしれない。そこの感覚は凄く大事。そこに皆も安心するかもね。『大久保はただただシャカリキにやってるんじゃなくて、深みが出たな』って。そこに人は成長を感じるんだと思う。後輩の子も付いてくるんじゃないかな。」
大久保
「先日『学ランを脱いだ自分に何が出来るか』というnoteを作ったのですが、『大久保もこんなこと考えてるんだね』って反響がありました。『俺はこんな辛いことしてる』って言うのは違いますけど、等身大の自分の姿は、出してもいいなと思いましたね。」
外池監督
「ア式の部員ブログはそういう姿が見える。『こんなことを考えてる』ってことをひたすら書いてるけど、そういった発信は共感を呼ぶよ。」
大久保
「まだまだここからですね。更なる飛翔を遂げます。」
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