倉庫の歴史 (誕生から現在まで)
倉庫の歴史は古く、日本においては稲作が始まった弥生時代に米を貯蔵するために高床式倉庫が作られるようになったと言われています。(最近では、縄文時代から高床式の倉庫があったという説もあります。)
奈良時代には、校倉造で知られる正倉院が建てられました。校木(あぜぎ)と呼ばれる木を井桁に組んだ外壁が特徴です。聖武天皇の遺品の品、書物や宝、仏具など、古代の美術工芸や文化財が保管されています。
平安時代には港で保管・販売をする「津屋」が誕生。「保管料」をとったことから、これが倉庫業のはじまりだといわれています。
江戸時代には、、年貢米や特産品を保管・販売する倉庫をもつ住居付きの「蔵屋敷」が設けられました。「蔵屋敷」(くらやしき)とは、年貢米や土地の特産品を保管・販売する「蔵」、住居である「屋敷」をかねた建物。土壁の上には漆喰などを塗って仕上げ、燃えにくくした耐火性のあるものと言われています。
明治になると、横浜の赤レンガ倉庫のようなものがつくられるようになりました。この赤レンガ倉庫は、日本最初の荷物用エレベーターや消火水栓(スクリンクラー)、防火扉などを備えたもの。耐震のために耐震のために定聯鉄構法(ていれんてつこうほう)というレンガの中に鉄材を埋め込む最新の手法も採られました。
さて、現代はどうでしょうか。
木造、鉄骨、テントなど建材に関わらず、たいていは現場で材料を加工せず、あらかじめ用意されたサイズの部材を組み立てていくという方法が取られています。
現在、注目されているシステム建築の工法は、建築物を構成する部材や納まりを徹底的に標準化することで、作業効率の向上を図り、建築生産プロセスをコンピュータでシステム化したものです。第二次大戦中にアメリカ軍が採用した「かまぼこ型兵舎」がそのはじまり。当時、大量生産性、組立・解体の容易性が要求されたので、複数の部材の標準化が進められ、システム建築という工法が誕生しました。
現在、この工法はソフト面(見積、設計、部材制作、現場施工を一貫してシステム化)とハード面(鉄骨・屋根・外壁の部材を標準化)をシステム化することで、現場施工を少なくし、短工期を実現しました。労働時間の短縮につなげ、人手不足という現代の問題に応えています。
歴史とともに変遷してきた倉庫。AI化が加速していく昨今、未来の倉庫の形はどのようになっていくのでしょうか?自由に想像するのも楽しいですね。
以上、時代とともに変化していった倉庫のお話でした。
【参考書籍】
⚫︎大坂蔵屋敷の建築史的研究(編著:植松清志 思文閣出版)
【参考サイト】
⚫︎正倉院
https://shosoin.kunaicho.go.jp/
⚫︎大阪歴史博物館
https://www.osakamushis.jp/index.html
⚫︎神奈川県立歴史博物館
https://ch.kanagawa-museum.jp/
⚫︎横浜赤レンガ倉庫
https://www.yokohama-akarenga.jp/about/history
⚫︎株式会社横河システム建築
https://www.yokogawa-yess.co.jp/