工場・倉庫の顔はどの方向に向ける?
工場・倉庫の顔(シャッター入口や窓開口)はどの方角に向けて建設したらよいのでしょうか?
一般的には‥
一般的には、工場・倉庫の入口は南や西向きは避けることが多いです。日差しが強く、気温が上がる南や西向きにシャッター入口を設けると、建物前での作業が夏には暑すぎて大変なことになります。北側にシャッター入口がある場合なら建物や庇(ひさし)の日陰で作業が可能です。
また、南や西向きの窓開口からの強い日差しにも注意です。建物に強い日差しが入る場合、建物内の温度が上昇し、環境が悪化します。
東西南北だけでなく、建物がどの地域・地区に建てるかによって、その地域性を考慮する必要もあります。場所によって、自然の条件や地形の特性などがそれぞれ違うからです。
私の会社は千葉県北東部で倉庫・工場などの新築や既存の建物(当社で建てたもの、他社で建てたものを問わず)メンテナンスをしているのですが、海に近いエリアで私が経験した例を紹介します。
台風の風について
私たちが営業している地域(千葉県北東部)では、想定外の大きさの台風や突風にて工場・倉庫のシャッターが壊されることがあります。シャッターが壊されているのは海に近い地域で、東向きの海に向かって設けられたシャッターが台風時の海からの東風により壊されています。この地域は海からの風が非常に強くなるのです。
海に近い場合は出来る限り海側(東向き)にシャッターを配置することを避けています。海側にシャッターが設置されている場合はシャッター補強金物を設置します。
地形の特性により風が強くなりやすく突風が局地的に吹く場所がありますので、新築の時は、建築予定地の情報収集も大切になります。
西側の窓に注意!
工場でよく問題になるのが西側に設置された窓です。西からの日差は強く室内の気温を上昇させたり、工場作業を邪魔する強い日光が建物内奥まで入ってきます。特に西側の高窓は要注意です。ある工場で「強い西からの直射日光が製品の目視検査の邪魔になり、正しい検査ができなくなった」という話を聞いたことがあります。
工場の窓は設置する方位や面積を計画時に検討することが大切です。場合によっては窓のガラスの光を遮断するパネルにする必要がある場合もあります。
自然条件や気候に対応した建築の大切さ
私が学生の頃、大学の大先輩である宮川英二先生の著書「風土と建築」を読みました。その中で先生は建築と風土についての研究・考察を書かれています。日本の自然条件や気候などに対応した建築を建てることの必要性を説いています。工場・倉庫建築においても日本の自然条件や気候を考慮する必要があります。(社長 大日向順)