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エッセイ:53日目 - 雨音の静寂、そして心のざわめき
1月16日。
朝から雨が降っている。
しとしとと降る雨は、街の喧騒を静めてくれる。
窓の外を眺めると、
いつもは賑やかな通りも、
今日は人通りが少ない。
車の音も、
人の話し声も、
雨音に吸い込まれていく。
静かな朝だ。
しかし、僕の心は、なぜかざわめいている。
昨日までの穏やかな気持ちが、
どこかに消えてしまったようだ。
理由もなく、不安な気持ちに襲われる。
将来のこと。
仕事ののこと。
家族のこと。
様々な不安が、頭の中を駆け巡る。
雨の日は、気分が落ち込みやすい。
太陽の光を浴びることができないからだろうか。
それとも、雨音が、心の奥底に潜む不安を呼び覚ますからだろうか。
いずれにしても、僕は、雨の日に弱い。
こんな日は、何もしたくない。
ただ、家でゆっくり過ごしたい。
でも、そうもいかない。
仕事に行かなければならない。
子どもたちを保育園に送って行かなければならない。
家事をこなさなければならない。
重い体を引きずって、僕は、家を出た。
傘を差しながら、雨の中を歩く。
雨粒が、傘に当たる音が、
僕の心をさらにざわめかせる。
「大丈夫かな…」
そう呟いてしまった。
でも、きっと大丈夫だ。
雨は、いつか止む。
そして、太陽が顔を出す。
そう信じて、僕は、前を向いて歩いた。
雨音の静寂の中に、
僕は、かすかな希望を見出していた。
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