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エッセイ:27日目 - 日曜日のオフィス


今日は日曜日だけど、仕事がある。朝からいつものように家を出る準備をしていると、リビングで遊んでいる子どもが「お父さん、今日は休みじゃないの?」と聞いてきた。その一言が胸に少し刺さる。「今日はちょっとお仕事なんだよ」と答えると、子どもは少し寂しそうな顔をしたけれど、「帰ったら遊ぼうね!」と言ってくれて、なんとか笑顔で家を出ることができた。

日曜の朝はいつもより街が静かで、車を走らせる道もガラガラだ。普段なら混雑している海沿いの道も、この時間は自分だけが走っているような感覚になる。窓を少し開けると、潮風がひんやりとしていて、少しだけ目が覚めた。

オフィスに着くと、いつもは賑やかな空間が嘘のように静まり返っている。日曜出勤は気が重いけれど、この静けさは悪くない。デスクに座り、温かいコーヒーを淹れてから仕事を始めた。普段より集中しやすい環境のおかげで、思っていた以上にスムーズにタスクが進む。

それでも、ふと気が抜ける瞬間がある。窓の外を眺めると、どこかの家の庭で子どもたちが遊んでいるのが見えた。笑い声が微かに聞こえてきて、「今頃うちの子もこんなふうに遊んでいるのかな」と考えると、少しだけ胸がざわついた。

昼休み、同じく日曜出勤している同僚と話す機会があった。「日曜出勤、どうですか?」と聞くと、「まあ、慣れましたけど、やっぱり家族に申し訳ない気持ちはありますよね」と言われた。その言葉に深く共感しつつも、「でも、これが終わればまた普通の日常に戻れる」と思い直した。

午後の仕事も順調に進み、予定より早めに終えることができた。オフィスを出ると、すっかり夕方になっていて、空がオレンジ色に染まっていた。帰り道、子どもと約束したことを思い出し、「今日は何して遊ぼうか」と考えながら車を走らせた。

家に着くと、子どもが玄関まで迎えに来て「お父さん、おかえり! 早かったね!」と嬉しそうに言ってくれた。その声を聞いた瞬間、日曜出勤の疲れが一気に吹き飛ぶ気がした。「何して遊ぶ?」と聞くと、「お絵かきしよう!」と元気な返事が返ってきた。

夕食の後、家族みんなでリビングに集まり、子どもと一緒にお絵かきを楽しんだ。「お父さん、これ何描いたの?」と聞かれ、「うーん、これは…仕事を早く終わらせたお父さんかな」と冗談めかして答えると、子どもが「じゃあ、これは帰ってきたお父さん!」と描いてくれた。その絵がなんとも味があって、家族みんなで笑い合った。

日曜出勤は確かに大変だけれど、こうして家族と過ごせる時間があるだけで救われる。次の休日は、もっと家族とたっぷり過ごしたい。そんなことを思いながら、布団に入った。

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