ロシアと北朝鮮の石油取引:制裁違反の裏側
ロシアが北朝鮮に大量の石油を供給している可能性が、イギリスの非営利団体「オープン・ソース・センター」の衛星画像分析から明らかになりました。
今年3月以降、北朝鮮のタンカーがロシア極東の石油ターミナルを頻繁に訪れ、石油を積み込んでいる様子が確認されています。
石油の背景と国連制裁
北朝鮮は国連制裁により、年間50万バレルまでしか精製済み石油を受け取れません。
この制裁は、北朝鮮の核兵器開発を抑える目的で設定されています。
しかし、分析によると、北朝鮮はこれを大きく超える100万バレル以上の石油をロシアから供給されていると推測されます。
武器との交換
イギリスの専門家や外相は、北朝鮮がロシアに武器や兵士を提供し、その対価として石油を受け取っていると考えています。
例えば、北朝鮮がロシアに送った武器が、ウクライナ戦争で使用されている可能性も指摘されています。
海上輸送の追跡
オープン・ソース・センターの調査では、北朝鮮のタンカーが追跡装置をオフにした状態でロシアの港を訪れ、石油を積み込んだ後に北朝鮮に戻る様子が衛星画像で確認されました。
これらの輸送は主に3月以降行われ、11月までに43回以上に及びます。
制裁への無視
こうした取引は国連制裁違反ですが、ロシアは制裁監視委員会を解散させるなど、違反を隠蔽する動きも見られます。
元国連委員会メンバーは、「ロシアは制裁を無視し、北朝鮮との協力を深めている」と警告しています。
北朝鮮にとっての石油の重要性
石炭が主流の北朝鮮でも、軍事運営やミサイルの輸送、エリート層の車両には石油が不可欠です。
これまで北朝鮮は、不正な手段で石油を確保してきましたが、ロシアから直接供給を受けることで、安定した石油確保が可能になっています。
結び
ロシアと北朝鮮の取引は、単なる石油供給にとどまらず、国際社会の安全保障に深刻な影響を及ぼしています。制裁違反を続ける両国の動きに、今後も注視が必要です。