【小説風食レポ】茜(醤油ラーメン)
カウンターの右端に座った私は、ゆっくりと文庫本のページを開いた。
程なく店員がやってきて注文の確認をしてきたので、一度文庫本を閉じる。
買ったばかりの食券を差し出し、自家製麺変更と太さを選んで伝えた。
今回買った食券は次の通り。
茜 790円
麺変更に+50円
手包み雲呑一個 90円
ここからはゆっくりと読書の時間。
読みかけのページを開き、本の世界へと意識を集中させる。
焼津市西小川にある麺創房LEOは、店主のラーメンへの飽くなき探究心と質の高いラーメンを出すことで評判の店だ。
探究心が旺盛なあまり、注文から着丼までに20分から30分ほどかかる。それを知っている常連客は時間に余裕を持って来店するほどだった。
20分ほど経ってから、注文したラーメンが着丼。
今日もいい感じスープが透き通り、光っているのを確認して口角が上がる。
スープをレンゲですくい、ひと口啜った。
あれ、スープがまたおいしくなった?
舌を火傷しそうになりながらももうひと口啜る。
ここのスープは一見濃いが、完汁しても舌が塩辛くならない。醤油の味と香り、動物系のスープの味の調和がとれている。
ちなみに醤油ラーメンは茜、塩ラーメンは黄金と呼ばれている。塩ラーメンの輝きはまさに黄金そのもの……と見まごう美しさがある。
スープを確かめてからいよいよ麺へ。
箸立てから箸を取り出して、麺をすくい上げる。国産小麦・春よ恋の全粒粉。しかも石臼挽きの自家製麺だ。
「自家製麺始めました」の初日が休日だったことは僥倖だった。
過去に仕事終わりに直行したら駐車場が満杯で入れなかった事もあるし、スープ切れで閉店していたこともあった。
せっかくの自家製麺、早く食べたいじゃないか!
熱さをものともせずに口に入れ、啜り上げる。
麺の弾力が明らかに違う。
正直なところ、小麦の味はよく分からない。
だが、噛みごたえが違うのはよく分かった。
同じ原料を使っているはずなのに……どうしてこうも違うのか?
店主の魔法でもかかっているのか?
とにかく美味しいのは間違いなかった。
ここからはひたすら麺を食べる。
時々思い出したかのようにトッピングを食べる。レアチャーシューに鶏チャーシュー、サービスの味玉とどんどん攻めていく。
そして追加した自家製雲呑へ箸を伸ばし、かぶりついた。
たっぷりと詰まった餡、溢れる肉汁、もっちりとした自家製の皮、どれをとっても美味しい。
本当、贅沢だよなー。
多少高くついてもこの美味しさには替えられない。スープとの相性もいいから浸して食べてもいけるよなー。さすがにひとりで3個は……ハードル高いけど(笑)
しっかりとスープまで堪能する。
今日も美味しかったなあ。
「ごちそうさまでした!」
【麺創房LEO】
住所 静岡県焼津市東小川8-11-13 前川ビル1F
電話 054-637-9775
営業時間 10:55〜14:30 17:30〜21:00
定休日 月曜、木曜
Twitter @LEO24532322