おじいちゃん
おじいちゃんがおばあちゃんに暴言を吐くようになった。
だから、ずっと施設に入れれば良いと思うようになった。
今までなら絶対思わなかったのに。
でも稲垣が死んだ時に、なんでこんな若い人が死んでおじいちゃんはずっと生きてるんだろうって無意識に考えてしまった。そんな自分がひどく嫌な奴に思えた。高校は忙しくて会えなくて、大学に入ってからは、おじいちゃんの体調が良くなくて一緒に遊ぶことも減った。笑顔もあまり見なくなった。寝てばかりになった。いつからだろう、こんなに優しくできなくなったのは。今までは誰も死んで欲しくなくて、でも秋田のおばあちゃんが亡くなってから、いつかはそういう時が来るから後悔のないようにたくさん会いに行こうって思ってたのに。そんな時期があったからか、おばあちゃんの話を聞いて、おじいちゃんがすごく最低な人に見えた。孫の前では猫を被ってたのだと思った。元はこういう性格なのかとショックだった。
でもそれらは病気のせいだった。やっぱり小さい頃から見てた笑顔のおじいちゃんが愛のおじいちゃんなのだと再確認できた。
今までは、後悔しないようにたくさん遊んでて、でもいつからか、もういいやって大事にできなくなってたけど、今なら優しくできそうな気がする。