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「自分らしい生き方」は魔法の言葉ではない

“仕事ばかりしていたらキャリアは順調だけどいつの間にか年をとっていたの”

アラフォーになって婚活をし始めたけど想像以上に上手くいかず、何かのせいにしないと耐えられない状況になった人たちが口をそろえて言うセリフだ。

なぜこんなことになったのだろうか。

“自分らしい生き方”というフレーズに注目したい。響きは心地良いが、気を付けたいフレーズだ。
これ自体は全く悪いものではなく、むしろ誰もが自分らしい生き方をしたいと思っているだろう。自分に合った場所で自分に合った分野を学び、自分に合った仕事を見つけて自分に合った人と恋をする。

すごく素敵なことだ。だけどこのフレーズは、まるで魔法の言葉かのように使われていることもあるのではないか。

例えば、自分が恋人にフラれたりして結婚したいけどできない状態だったとする。

“私は結婚なんて向いていないし他人に合わせるのは疲れる。自分らしい生き方をしたい”

そう思い始めるのだ。一見、“それっぽい” ように思えるし、なんならかっこいいとさえ思えてくる。一度こう思い始めると、どんどん自分自身を納得させる方向に考え始める。

『SEX AND THE CITY』に感化された人も多いのではないだろうか。独身でも友達がいたら幸せそうだという気持ちに頭が支配される。
各種メディアでも、“自分らしく自由に生きるキャリア女子”のような特集がやたらと目に入る。まるで自分のことかのように誇らしげに思うのだろう。

でもよく考えたらそもそも“自分らしい生き方”ってなに?って話。

自分の中で目指すべき姿が確立していて、納得感を持ってそこに向かうのであれば何も問題ないが、ただの現実逃避や今の楽しさしか考えていなくて、シングルライフを謳歌することが素晴らしい!
と自分に言い聞かせているだけなのであれば “自分らしい生き方” とは大きくかけ離れている。

本当は好きな人と結婚して子供を育てたかったけど上手くいかなくて“自分らしい生き方”という心地良い言葉を利用して自分の生き方が間違っていなかったのだと肯定したいだけなのではないだろうか。
現実はこんなところだろう。

・恋愛はできるけど結婚できない
・まだ自分の時間を楽しみたいから子供はもう少し後でいいかな
・自分自身が未熟なのに子供を育てられるの?

30歳を過ぎて、自分が20代の頃にぼんやり思い描いていたような人生を歩んでいないことに対してだんだん不安になってくる。そこで焦って婚活をするわけだが、その焦りが余計に婚活を難航させるのだ。

それでなんとなく悔しくて、良いものを身に着けて豪華な食事を楽しみ旅行も自由気ままに楽しむ。周りから羨ましがられることに快感を覚えて自分のネガティブな感情を一生懸命抑え込む。
これが本当に自分が望む暮らしなのであればきっと幸せだろう。
だけど、ふと家に帰って一人になった時に急に虚しさを感じて、つらくてたまらなくなる。

「頑張って勉強して、プライベートの時間も犠牲にするほど働いて欲しいものを手に入れてきたのに」

こんな風に思うのも仕方がない。人間誰だって孤独を感じるものだ。だからこそ “自分らしい生き方” というものに真剣に向き合って考えなければ、一生孤独感に襲われることになる。

本来、仕事と恋愛・結婚はどちらかを選ぶという類のものではない。どちらかを犠牲にするという考え方は危険だ。

1日に与えられた時間はみんな平等に24時間しかないが、自分の人生において本当に大切なものは何か?それに気づいたらプライドを守るための言い訳は捨てて、いくつになっても仕事と恋愛、両方満足できる結果を全力で掴みとりにいきたいところだ。

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