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【ZINE感想文】そばぼうろのように堅実な人生を、あなたと。

「新婚旅行に行く飛行機の中で読むために選んだ小説が、不倫がテーマのものだった」。

もしもわたしが陥ったら、気づいた瞬間にさあっと青ざめて読書どころじゃなくなるし、旅先に着いてからもしばらく引きずってしまいそうな状況。

そんな状況でも小説を読み進め、こんな風に状況を転換させてしまえるお方———。

とはいえ、さすがの江國ワールド。
ハワイに着いたときには私はすっかり江國さんの文章に酔っ払っていて、完全に薄幸な女モードだった。

「そばぼうろの夫婦」より

それが、「そばぼうろの夫婦」の作者、つる・るるるさんだ。

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⚠️ここから先はネタバレを含みます。
避けたい方は、ここで記事を閉じていただくことをおすすめいたします。
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わたしがZINEフェスにて購入したこのエッセイ集には、つる・るるるさんご夫妻がご入籍されてから新婚1〜2年目を迎えられるまでの出来事が収録されている。

夫婦であっても、やはり価値観などが違う部分もあるのはきっと誰しもそうで、ぶつかってしまうこともありつつもとても仲が良いお二人であることが伝わってくるお話が詰まった一冊。
わたしが特に楽しく拝読させていただいたのは、「みみっちい私と、ミッチーになり損ねた夫」だ。

タイトルの“ミッチーになり損ねた”というフレーズに拝読前から引き込まれたこのエピソード。
事の始まりは、ご夫婦で資生堂を訪れ、つる・るるるさんがブライダルエステを、旦那さまが散髪をされたことだった。

つる・るるるさんと彼女の弟さんが旦那さまをミッチーこと及川光博さんに似ていると褒めたことから、旦那さまは自らをミッチーさんに寄せるようになり、髪型もミッチーさんのようにしてもらうべく、写真を用意して意気揚々と散髪に臨まれた。

———ところが。
写真も用意したにも関わらず、旦那さまは予想外の髪型になって帰ってくることとなる。
髪を切った旦那さまを見たつる・るるるさんのご感想を読んだ瞬間、わたしは思わず吹き出してしまった。

全然ミッチーじゃなかったのである。
どう見ても、はちわれ猫だった。
(中略)
夫の髪の毛もはちわれ猫のごとく、頭のてっぺんから左右に真っ二つに分かれ、おまけに切りたてだからか猫の耳のようにやや左右に盛り上がっていた。

「みみっちい私と、ミッチーになり損ねた夫」より

奥さまであるつる・るるるさんが「笑ってはいけない」と必死にこらえておられたのだから、他人であるわたしなどもっと笑ってはいけないのだけれど、それでも笑わずにいられなかった。

ミッチーさんをイメージしたはずがハチワレ猫。
なぜそうなったのかと突っ込みたくなってしまうし、最終結果がハチワレ猫というのもなんだか可愛らしい(決して悪い意味ではありません)。

このような面白いエピソードのほか、ご夫妻の仲の良さとつる・るるるさんのユーモアに富んだ文章を満喫できることができる「そばぼうろの夫婦」。
この記事を読んでくださった方も、ぜひ手に取ってみていただきたい。

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遅くなってしまいましたが、つる・るるるさんのエッセイ集、「そばぼうろの夫婦」の感想文を書かせていただきました🙇🏻‍♂️

実際にお会いしてエッセイを購入することができ、とても嬉しかったです✨
つる・るるるさん、ありがとうございました😊

*つる・るるるさんのアカウントはこちら↓

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