お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!
“Trick or treat, trick or treat,
please give me something good to eat!”
子どもの頃と比べるとハロウィンが縁遠くなった今でも、耳に残って離れないフレーズがある。
———わたしは、幼稚園の頃から中学を卒業するまで英語教室に通っていた。
先生のお宅でこじんまりと開かれる学び舎に、赤ちゃんの頃から母親同士仲良くしていた幼なじみと2人で。
英語の世界を教えてくれた先生は、わたしのその後の人生や価値観を大きく左右した、いわばお師匠様と呼ぶべき方だ。
そんなお師匠様こと先生は、ハロウィンが近づくとちょっとしたパーティーを開いてくれた。
ハロウィンにちなんだゲームをしたり、絵本を読んでくれたり。
先生が読んでくれた絵本の中で印象に残っているものは他にもあるけど、思い出すと特にわくわくするのが冒頭のフレーズだ。
そして、ハロウィン仕様の特別な1時間が終わると、先生は必ずお菓子をくれた。
ジャック・オ・ランタンやコウモリが描かれた小さな袋に、海外のグミやチョコレート。
小さい頃は甘いものを今ほど食べなかったわたしは、お菓子はさほど興味はなかったけど、それでも、もらえると単純に嬉しかった。
———ハロウィンが近づくと決まって思い出す、魔法にかけられたような先生や幼なじみとの思い出だ。