【音楽×小説】Be my last
私の「生涯最後の恋人」がこの人だったらと、どれほど願っただろう。
「私たち、別れよう」
「………え、何で急にそんなこと……」
「私が“悪魔”で、君が“天使”だから」
「っ、そんなこと、今に始まったことじゃ……!」
「私、知ってるんだからね?
私と君の関係が続いてることが周りにバレ始めてて、君が天界で後ろ指さされてることも、下手したら大天使たちに申告されそうなことも」
「………だって、君だって元はと言えば天使だった身じゃないか!
濡れ衣着せられて天界から追放されて、悪魔になっただけで……」
「天界から堕ちた時点で私はもう天使じゃないし、今はれっきとした悪魔なの。
……昔天使だったからってどうこうなる訳じゃないのよ」
「………っ」
「それに私も、君と付き合ってることがバレようものなら、魔界にさえ居場所がなくなるの。つまりはこの身を消されることになる。
……私に消えてほしくなかったら、今日で会うのは最後にしてよね」
“いつか結ばれるより、今夜一時間会いたい”。
いずれバレることは簡単に予想できたし、私たちが結ばれて幸せになるなんて、天と地がひっくり返ったってありえない。
それならばと、天界と魔界の狭間にある場所で、夜の闇に紛れて逢瀬を重ねて繋いできた、脆くて儚い関係だった。
だけど、それも今日でおしまい。
「今なら、悪魔になった私に唆されてただけでもう目が覚めたって言えば間に合うから。
……じゃなきゃ、君も天界を追放されるんだよ?」
「………わかった。
僕も全力で隠し通すから、君も消されるなんて無しだからね?」
「私は大丈夫、君と違って器用だから」
「………そっか、君には敵わないな」
———ごめんね、嘘ばかりついて。
君はある意味、私の「生涯最後の恋人」だ。
「今まで本当にありがとう。
僕はいつまでも君の幸せを願ってるから」
「君こそ、天界で幸せにね。
………ありがとう、さよなら」
***
宇多田ヒカルさんの「Be my last」を基に小説を書いてみました……!
そろそろ幸せな小説が書きたい……(そのうちショートショート辺りから挑戦します)
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