『あなたの事が気になっています。』第10回「さようならの君へ。」

主旨説明：先日、携帯電話（iPhone6 8年間使用）の機種変更&契約会社のキャリア変更をしたので、雰囲気入れてお別れの手紙を書いてみました。

さようならの君へ。

君にとっては突然のお別れと思わせてしまったかもしれません。いえ、内心、その予感は君の方にもあったのかもと思います。必然といえば必然。目移りしやすい私の事。時の移ろいに逆らえず、きっとどこかしらで同じ結末は辿っていたのかもしれません。

気がつけばあなたと私も長い付き合い、単なる「付き合い」というには深すぎた関係だったかもしれません。気づけばもう８年も一緒、ポケットに入れた手にあなたの感触を感じると安心し、「寒いから」と言い訳しながらポケットにいるあなたに触れる事が自然の癖になっていた時もありました。

改めて。お別れする事にはなったけれど嫌いになったわけではありません。

それでも本音を言うと、最近、君がしてくれる全てを重く感じていました。
僕たちの間にひかりを感じられなかったんです。

僕が君に甘えすぎていたのかもしれません。君に求めることもいつの間にか多くなっていました。元々は自分でしていたお買い物の会計も最近は任せきりにしてしまっていましたし、電車で切符を買うのも毎回、君。いつしか何気無いちょっとした、そう、天気を聞いたり電車の時刻の話をするのにも、第三者を介してしかしなくなってしまっていましたよね。

挙句、毎月のように月末には関係が重くなり君の親にも関係を制限されて。君の気持ちも考えず、君の事を限界を超えて利用していました。素直に謝りたいです。

別れを決めた理由？それはもういいじゃないか。聞かないでおくれよ。すぐに新しい相手に乗り換えたのが不服かい？あくまで２股ではないよ。切り替えは10日締めで以降は日割りさ。

ところで最近の君は疲れやすいみたいで気になっていたんだけれど、その後、具合はどうだい？夕方頃にあっという間に赤くなって、その後すぐに黒くなって動けなくなってる事がよくあったね。こんな事を言うと君を傷つけてしまうけれど、やっぱり僕は緑色の君が１番好きだった。

関係修復に向けて僕も長めに話をしようとしたんだけれど、君はその度に物理的にすごく熱くなってしまってそれも難しかった。

改善する方法はないかと僕なりに君の実家にも何度か電話で相談して見た事はあったんだ。けれどいつも留守電のテープに録音した声で「混み合っているから時間を置いて掛け直してくれ」と何度も言われた挙句、繋がったら繋がったで該当しない時にミスって＃を押してしまったりが続いて心が折れてしまったよ。すまない。

お金の事でも迷惑をかけた。これは本当に良くなかったと反省している。

一度、僕が他の事にお金を使い過ぎてしまって君のご両親への約束の仕送りを期日に渡せなかった時。君のご両親から最初に青いハガキでその旨を伝えられて、少し待ってほしいと思っていた僕に対して続け様に黄色い手紙、そして迫力ある赤い文字で「警告」と書いた手紙を送ってきたよね。法的措置も辞さない感じを隠さず匂わせて。あの時かな、君の家族との付き合いが少し怖くなったのは。わかってる。君は悪くない。ダラしない僕へあえて連絡を遮断し厳しくするという優しさの裏返しだったことはわかっているさ。君も苦しかったろう。すまない。

お金の件の話ついでに最後だから聞きたいのだけれど、僕だって気になっていた事はあるんだ。君のご両親の言う「ユニバーサルサービス料」あれ、一体何に使っていたんだい？「必要なお金」「有意義なお金」と言っていたけれど、要するになんだい？わからないよ。

毎月の感謝のお返しだと言ってペイペイボーナスを350円分送ってくれるし、発作みたいに急に牛丼やアイスを奢ってくれて、その時は嬉しかったんだけれど、よくよく考えて割りに合わないよ。

実際に別れる時の君の反応も正直ショックだった。
僕はこれでも別れを切り出すのをちょうど２年待ったんだ。

確かに僕らは最初からお金を介した契約関係から始まった、普通じゃない、まるでTBSドラマ『逃げ恥』みたいな関係かもしれない。でも「今、別れたいならお金を払え」だなんてひどいじゃあないか。

もちろん何もなしにとは思わない。だけどあんまりじゃないか。手切れ金9500円（※2022/2月現在）を要求されたのには驚いた。「500円」という端数は何だい。１万円でよくないかい？ちょっとでも安くした感じ、出さないでおくれよ。別れる男に情けは無用さ。

別れの時、あんなにも質問責めにしてくる姿もこれまで見たことがなくて正直、面食らったよ。「料金プランを見直す事で解決できませんか？」「こんな様々なサービスが使えなくなりますが本当にいいんですか？」「本当に解約となりますがよろしいのですか？」などなどと、解約を告げてから８クリックしないと次の手続きにいけない事には驚いた。本当に驚いた。君もそれだけパニックに陥っていたという事なんだろうね。責める気にはならないよ。僕のせいなのだから。今回のお別れは日本の携帯料金は高すぎると思ってしまった私の至らなさが招いた事なのだから。

此の期に及んで相手に対する愚痴を披露するなんてフェアじゃなかったね。すまない。本当に君には謝りたい事ばかりさ。

２人の約束の暗号、よく忘れて迷惑かけてごめんよ。これは本来、忘れっぽい僕がちゃんとメモをしとくべきなんだけど、メモしてもどこにメモしたのかわからなくなって結局「パスワードを忘れた方はこちら」に何度行ったかわからない。本当に手間をかけさせた。すまない。

秘密の質問もよく聞かれたね。答えられなくてごめんよ。でもね、「初めて飼った犬の名前」なんてわからないよ。犬、飼った事ないんだから。

そしてあの時は怖くて聞けなかったけれど僕に写し書きさせた「にももへしし」という４次元空間からやって来たみたいな気味悪い文字、あれは何だったんだい？

あと「消火栓が写ってる写真を選んで？」という、あれはなんだい？趣味かい？

「あなたはロボットじゃないですか？」と急に不安がって四角にチェックを入れさせた、あれ、なんだい？君は知ってるはずじゃないか。僕は人だよ。

前は年に何回か通っていた君の実家との交流も、最近は直接顔を出さないで済ませることが増えてしまったね。行くのが嫌というわけではないけれど、行っても僕の知らない近所のおじいさんおばあさんと話し込んでいて２時間待たされたりするから嫌われてるのかと思ってしまってね。でもね、不思議なのはおじいさんおばあさんと和やかに会話してるというわけでもなくて、たまにおじいさんはキレてる。あれはなんだい？あのおじいさんは何にそんなに怒ってるんだい？

でもね、別れた後も君のご両親との関係は良好さ。未だに毎日のようにお誘いのメールももらってるんだ。クレカのリボ払い登録ってやつ。無視しててごめんね。

長くなってしまったけれど最後に。今から伝える事は別れる僕からのちょっとした忠告さ、聞き流してくれていい。君が新しい相手との関係に向けて参考になったなら嬉しいのだけれど。

君は少し、純正という割にコードが短いんだ。コンセントからこたつにいる僕の所に絶妙に届かない。まあそんなのも可愛い所なのかもとも思うけれどね。

僕は新しい相手ともかつて君とそうしたように、それ以上に大切に長く付き合うつもりさ。

願わくは君もSIMロック解除の上、新規、または乗り換え相手と幸せに。くれぐれも2022年3月以降は僕の時の様にMNP手数料は取っちゃあいけないよ。

またいつか、君のことを思い出すこともあるのかも。でもね、今は縁を戻すことなんて考えないよ。これは自分への宣言さ。お互い前を向いて、進もう。

そして見つけよう、僕と君とのそれぞれの新しい形。きっとそれこそが僕と君とのメリハリプランであり、超バカの言い方をすればウルトラギガモンスター+なのさ。

それではこの手紙を終わります。

君との思い出が未来へ繋がり続ける事を信じて。（※1）（※2）（※3）（※4）

（※1 +８００円/月で国内は５分無料）（※2 家族４人で加入の場合）（※3 14ヵ月目以降は「5G基本料」＋1,000円／月がかかります。）（※4 価格は税抜き）

※この文章は2010年3月号〜11月号に掲載用に
自主的に書いたものに大幅に加筆修正したものです。