TMDX,FDA専門家パネルで学んだこと
はじめに
このnoteの目的は、2021.4.6.に行われたFDA 専門家パネルにおける株の動きを確認し、今後同様の医薬品認可絡みの銘柄に投資する際の参考にしようというものです。
FDA医薬医療機器審査の手順について
以下はFDA医薬医療機器審査の手順です。
①認可を得ようとする会社がFDAへ書類を提出する。
②a 提出されたデータだけでFDAが審査できると判断した場合 ー>FDAが本審査を行う
②b 提出されたデータだけでFDAが判断することができない場合 -> 専門家パネルを開き、専門家によってより深いデータの提供を促す。
今回は, 「②b 提出されたデータだけでFDAが判断することができない場合 」となったわけです。
FDA 専門家パネルで審査された医療機器について
TMDXは心臓臓器移植医療機器(OCS Heart: Organ Care System Heart)を開発しようとしています(下の写真)。
心臓臓器移植では「①移植元から心臓を取り出す」-> 「②移植先へ運ぶ」->「③移植先の体へ埋め込む」という移植プロセスをたどります。TMDXはこの「②移植先へ運ぶ」時の保管機器(OCS Heart )を開発しようとしています。
下は現在使用されている臓器を運ぶための機器です(Organ Boxと呼ばれています)。基本的には低温で運ぶことが優先されます。しかし最大4時間が限度とされています。
現在使用中のOrgan Boxの問題点
下は、移植の意思表示をした臓器提供者が亡くなられた時にその心臓がどのくらい臓器移植に使用されたのかを示した図です。
全体の30%しか使用されていません。TMDXは、この使用割合が低いのは、Organ Boxで長時間保存ができないからだと主張しているのです。
TMDX心臓臓器移植医療機器の提案する基準
下は、TMDXの提案する心臓移植のための基準です。
細かいことは各自TMDXの資料を読んでいただきたいのですが、大きなポイントは、取り出してから移植まで4時間(西海岸から中西部に運ぶなど)の猶予を見込んでいることです。TMDXはこれにより、いままで「提供者とドナーの地理的距離が離れている」や「時間内に医者の確保ができない」などの理由でより移植を諦めていた心臓を利用可能にできる、と主張しています。
安全性:(専門家パネルで指摘、質問された事項)
気になるのはTMDX心臓移植装置(OCSと記述します)の安全性です。今まで使用されてきたOrgan Boxと比較して問題はないのでしょうか?
下は、Organ BoxとOCSを使用し心臓移植を終了した患者の生存率を示した図です。青色: Organ Box(既存の装置)、赤色: OCS(TMDXの装置)です。横軸は時間です。
OCS(赤線)の方がOrgan Box(TMDX)より生存率が常に低くなっています。
これは、OCSを使うと生存できる確率が下がることを意味しています。大きな問題というわけです。TMDX側はこれは大きな差(有意)ではない、患者数を増やしてみないとわからないと主張しています。
下は、ドナーから心臓を取り出し、OCSを使用し運搬し4時間経過後、移植先患者への手術が行われたケースの生存率を示しています。
移植数が少なく4名死亡となっています。その四人は、交通事故、肝臓疾患(あとの2例については専門用語でわかりませんでした)など、心臓に関係なさそうな原因で亡くなったとTMDXは主張しています。
つまり、4時間、時間ががあいてもリスクは高まりませんよ、とTMDXの主張したいのです。
(上では、専門家パネルで行われた私が重要と考えるものを取り上げています。)
FDA専門家メンバーの意見
リスク(Risk)、効果(Effective)、合理性(Reasonable assurance)の3点について投票結果が発表されています。
Risk: positive 15, negative 5, abstaining 1
Effective: positive 10, negative 6, abstaining 2
Reasonable assurance: positive 9, negative 7, abstaining 2
総じてポジティブな意見となりました。
株価
下は株価チャートです。
4月1日から急落し、審査結果が出たあとにも落ちています。
私の投資判断
ぽーさんという方が下の様なtweetをしています。まあこの通りなのかなあと思っています。私は半分ポジションを落としました。しかし製品は前向きな良いものであると思っています。上昇傾向を確認したら再度購入します。