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トレードオフではなくトレードオン
はじめに
ビジネスマンは「トレードオフ」という言葉が好きだ。アチラを立てればコチラが立たぬ。したがって、どちらを優先するのか、それを「決める」ことがリーダーの仕事であって、そのときには「泣いて馬謖を斬る」ような事態も発生する。
・・・そういう美談もよいのだが、現実の意思決定というのはもうちょっと「クールなのではないか。以下では、ファッション業界の事例を参照して現場における意思決定は「トレードオフ」ではなく「トレードオン」だという話をした上で、ユースフルのビジネスへの示唆を得ることとしたい。
ユニクロとZARAのちがい
よく品質と価格は「トレードオフ」だと言われる。たとえば、ファッション業界でいえば、高級ブランドは生地の材質が素晴らしいし、接客も素晴らしいが、価格は高い。一方で、ZARAをはじめとするブランドは価格は安いが、品質は大して高くない。
しかし、本当にそうだろうか。現実には企業というのはトレードオフではなく、往々にして「三つ巴」の問題に直面している。たとえば、ファッション業界では「品質 VS 価格」ではなく「品質 OR 価格 OR 品数」という3つの変数のうちどれを優先するかという意思決定を迫れていると言える。
具体的には、ZARAについては「価格 & 品数」というトレードオンを選択している。だから、ファッションのトレンドに応じて迅速に商品を投下して大量に販売する(品数)。スケールメリットを享受して低価格を実現する(価格)。一方で、生地の質などは他のブランドより劣る(品質)。
これに対して、ユニクロは「品質 & 価格」というトレードオンの戦いで市場に挑んでいる。ヒートテックをはじめとする流行に左右されない服を取り扱う(品数)。品数を減らす一方で生地の質は高い(品質)。それでいて大量発注ができるので価格は安い(価格)。
こうしてみると、ZARAとユニクロは同じく「低価格」というところでグルーピングはできるけれども、それぞれ「トレードオン」の構成が異なる。この構成の「ちがい」が、市場におけるポジションを形成していく。「トレードオフ」だけが選択肢だと考えると、視野が狭くなってしまう。
品質 OR 価格 OR 品数
翻って、ユースフルの戦い方を考えてみよう。ユースフルはMicrosoft領域に特化してDX教育サービスを提供している。これに対して、たとえばリスキルという会社は幅広いラインナップの研修を1時間25万円という価格帯で提供している。
両者は「低価格路線」ということで同じように見える。
しかし、現実には「トレードオン」の作り方が異なる。
ユースフルは研修ラインナップを絞り込む一方で(品数)、絞り込んだ研修サービスの品質を正社員で高める(品質)。今後案件が増えていくが、これを少数精鋭の正社員が高稼働で回すオペレーションを構築できるならば固定費は一定なので利益体質になり低価格が実現できる(価格)。
一方で、リスキルは講座ラインナップが充実している(品数)。豊富なラインナップで低価格にすれば受注件数が増えて売上があがる(価格)。一方で、豊富なラインナップを実現するために業務委託でオペレーションを回すので品質については平均点がとれればよい(品質)。
こうして、ユースフルは「品質 × 価格」というトレードオンを志向しているのに対して、リスキルは「品数 × 価格」というトレードオンを志向する。両者の市場は似ているようで異なる。したがって、利用するユーザーも似ているようでちがうという帰結になるはずだ。
なお、ユースフルがMicrosoft領域に特化するのは、同領域が多くのビジネスパーソンが当たり前のように使う「ビジネス・ベーシック」だからだ。これは、ユニクロが「カジュアル・ベーシック」を志向したのと構造は類似する。ユースフルが目指すのはこの路線なのかもしれない。
おわりに
ビジネスパーソンは「トレードオフ」という言葉が好きだが、実務の意思決定はそんなに単純な論理では読み解けない。表面的には「トレードオフ」に見えても、現実には「三つ巴」の中でどの「トレードオン」を選ぶのかが戦略的な意思決定の要諦と言えるのではないか。
この点、ユースフルは「品数 VS 品質」という一見トレードオフに見える問いに対して「品質」を選択している。でも、品質を選択したら「高価格」になるとは限らない。品数を限定するから「高品質 × 低価格」が実現できるという論理は存在する。ユニクロを見れば明らかだ。
ユースフルは、きっとこの路線だ。
最後に
僕が働いているユースフルについては以下記事をご参照ください!社会人教育に興味のある人はぜひ!
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