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組織を「両利き」にするために

◆ はじめに

ユースフルは成功する。僕は自信があるけれども、課題は必ずある。特に、成長するにしたがって組織に綻びが出てくると途端に雲行きが怪しくなる。ユースフルは「組織が先、数字は後」でやってきたが、それでも組織がうまくいかない時期はやがてくるだろうと思う。

このとき、自分が組織ビジョンとして役員になった頃から参考にしているのが、ジョン・コッター(経営学者)のデュアル・システムという発想だ。以下では、デュアル・システムについて詳述している『CHANGE』(ダイヤモンド社、2022)から引用しながらユースフルの組織の未来地図を軽く構想してみたい。

◆ デュアル・システムとは?

まず、『CHANGE』から引用してデュアル・システムについての理解を深めていきたい。

成功する新興企業

歴史の浅い会社は、硬直的なピラミッド型組織というより、ゆるやかなネットワーク型組織の性格が強く、マネジメントはあまりおこなわれない。成功を収めている新興企業では、一人か二人のリーダーが強力なリーダーシップを振るい、周囲の人たちがそれを補っている。一方、公式な方針やシステム、指揮命令系統の類いはほぼ存在しない。

こうした企業では、機敏に行動し、さまざまな活動に次々と乗り出す。社内の人的ネットワークの在り方と人々の担う役割が絶えず変わり、ほぼ全員がエンゲージメントを抱いている。

新しい状況に適応し、素早く動き、イノベーションを実行し、知識とニーズの変化に応じて変身する。そうした能力が強みになっているのだ。

デュアル・システムとは何か

ところが、新興企業が成長して規模が大きくなると、マネジメントとコントロールの必要性が高まる。ピラミッド型の組織構造とマネジメント重視のプロセスが生まれて、システムと方針が少しずつ形づくられていくのだ。

こうして、成功している企業では例外なくネットワーク型組織とピラミッド型組織の2つのシステムが併存し、それぞれのシステムが別々の目標を追求する。

当初からあるネットワーク型組織のシステムはリーダーシップ重視の新興企業的なシステムのままイノベーションとスピードと適応と変化を加速させる。新しいピラミッド型組織は効率性、問題解決力、安定性を高める。

デュアル・システムの成功条件

著者たちが研究したなかでとくに目覚ましい成功を収めている会社では、二つのシステムの間に生じる摩擦を緩和するさまざまなメカニズムをもっている。たとえば、同じ人物が非公式なネットワークとピラミッドの両方で役割を担うようにすれば、摩擦を抑える上で効果的だろう。「我々対彼ら」という発想に陥りにくく、お馴染みの縦割りの弊害も避けやすいからだ。

また、幹部たちがみずからの役割として、とくにネットワークで生まれた活動の「後援者」となり、その活動を行うチームが自力で対処できない障害を取り除き、そのあとは邪魔にならないように一歩引くことを肝に銘じれば、その恩恵は大きい。

◆ ユースフルの未来地図

上記のデュアル・システム論を前提にすると、ユースフルはいま「ネットワーク型組織」を強固に構築している段階だと言える。そのための打ち手の一例が、コミュニケーション強化としての「ユースフル会(夕方に全員でざっくばらんに話す会議)」であり、Teamsチャットやチャネルを変に分散せず集約するスタイルだ。

このネットワーク型組織を意識せずにただ規模が大きくなると、ピラミッド型組織を構築する段階になったときに、ネットワーク型組織が消失してしまう。そうすると、息苦しさに押しつぶされて「あの頃のユースフルはどこかへいっちゃった」と創業期メンバーが喪失感を覚えるようになるだろう。

これを回避するためには、つまりネットワーク型組織の強靭化するためには、たとえばToB事業のメンバーがバックオフィスの上司の指示の下で経理をやっているというような「なんだかゴチャゴチャ」が当たり前になっているほうがよい。

これ(≒ みんな、いろいろやってます)をユースフルの「当たり前スタンダード」として基盤に据えることで、仮にピラミッド型組織が構築されたとしても、ホイホイと新規プロジェクトを立ち上げたり、縦割りでも垣根を越えて協力しやすい体制ができるはずだ。

◆ おわりに

ユースフルは成長する。このとき、組織に綻びが起きないようにするためには、たとえばジョン・コッターのデュアル・システム論が参考になる。このフレームワークを参照するならば、まずやるべきことはネットワーク型組織を意識的に強化することで、そのための仕組みを暗黙裡に埋め込むことだ。

やがて構築することになるであろう「ピラミッド型組織」に押しつぶされず、その良さ(効率、安定)を活かしながらユースフルの組織文化を守る。少なくとも3年以内には必ず起こるであろう未来に備えるために、今全員で創り上げた組織を、全員で引き続き強化していきたい。


最後に

僕が働いているユースフルについては以下記事をご参照ください!社会人教育に興味のある人はぜひ!

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