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獣医師が3Dプリントモデルを使って難しい手術をサポート
3Dプリントされたモデルは、難しい奇形を持つクォーターホース仔馬の複雑な関節置換術を行う外科医の手術前の準備に役立ちました。
この記事は PAULICK REPORT に許可を得てVeterinarians Use 3D Printed Model To Help Execute Difficult Surgeryの記事を翻訳して掲載しています。
Jessica Cox氏 2024年10月22日
ベビー・ジェーンは2歳のクォーターホース(牝馬)で、コロラド州立大学に入院する前、赤ん坊のときに趾節関節に感染症を起こし、数カ月間入院していました。感染症そのものは治ったものの、彼女の脚にはダメージが残り、関節が正常な並びを保てない角ばった脚の変形が生じました。彼女の獣医師は、ジョンソン・ファミリー・ウマ科病院の外科・跛行科に連絡し、奇形の修復を希望しました。
「馬の趾節関節は両脚に1つずつしかなく、関節炎や痛みによって運動が制限されることがあります。」とジョンソン・ファミリー・ウマ科病院の認定馬専門医であるブラッド・ネルソン博士は言いました。 「ベビー・ジェーンの足は本来まっすぐであるべきなのに、内側に曲がってしまっています。」
3Dプリンターと、医師たちの強固な連携により、ネルソンはベビー・ジェーンの奇形を正確に矯正することができました。
多くの場合、この種の重傷は関節固定術で治療されます。関節固定術は、関節を癒着させて安定性を高める外科手術ですが、根本的な変形を矯正するものではありません。CTスキャンで脚を見た後、ネルソンは脚の変形が当初考えていたよりも複雑であることに気づきました。馬の脚は内側に傾いているだけでなく、回転してしまっていました。そこで、骨の並びをより改善できる方法、ベイビー・ジェーンに可能な限り最良の結果をもたらす、より高度なソリューションを提供したいと考えたのです。「まっすぐな骨板を並べるのは難しいとわかっていたので、その方法ではなく、関節置換術を行う前に変形を矯正することにしました。」とネルソンは言いました。「手術による修復で強固に安定させるものが必要で、それが彼女がこれ以上痛みを感じないようにさせる重要な要素でした」
ネルソンは、足趾関節固定術を伴う矯正骨切り術を行ない、ベビー・ジェーンのずれた骨の形を整え、インプラントの埋入位置を改善し、痛みを和らげようと考えました。骨を固定するために金属プレートとスクリューを入れなければならないが、手術中にその場で骨を切り詰めてちょうどいい位置にするのは難しい。
精度の高い3Dプリント
過去にアルパカの患者の症例で3Dプリントした骨模型を使ったことがあるネルソンは、ベイビー・ジェーンの複雑な手術にも同様のプロセスが役立つのではないかと考えました。
「3Dプリントは、どのように施術するか計画し試してみて、それが満足のいくものであるかどうかを確認し、必要であれば修正を加えることができるので、とても便利です。」とネルソンは言いました。「外科手術の成功の角度を高めてくれました。」
3Dプリンティングの専門知識を整形外科用途に活用するため、ネルソン氏は、獣医教育病院の小動物整形外科サービスの友人であり同僚でもあるジェイソン・ブリードン博士を採用しました。犬の骨の変形を3Dプリンターで治療した経験を持つブリードンは、ベビー・ジェーンの骨の実物大の3Dモデルをプリントし、専用の切断モデルを設計することができました。そのモデルを使って、ネルソンとブリードンはシェブロン型のカットをデザインし、非常に安定した骨癒合を実現することができました。そしてそれは3Dプリントを使わなければ難しかったでしょう。
「3Dプリンターによって、インプラントの輪郭を事前に作成し、潜在的な課題を予測することで、リハーサルを行うことができました。」とブリードンは言いました。「あらかじめ、3Dプリントで作ったモデルの骨を使ってリハーサルをしていたので、どのサイズのプレートを使うか、どこに置くかは把握できていました。」
実際の手術のとき、ネルソンは馬の骨にどのような切り込みを入れれば、ベビー・ジェーンの脚の長さを維持したまま、変形を矯正するのに必要なだけの切り込みを入れることができるかを正確に把握していました。彼は金属プレートをあらかじめ曲げておき、整形した骨に沿わせることで、ベビー・ジェーンの麻酔時間を短縮することもできました。
ベビージェーンのオーナーの繁殖牝馬になるという目標を叶えるべく、手術は成功し、ベビージェーンは完全回復に向かっています。