![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/22235055/rectangle_large_type_2_28c345f44038ae19b3807747f35ac659.jpg?width=1200)
「文化は生きぬくための知恵、アートは未知を切り拓く手がかり」
〜「秋の種2019」記録冊子あとがきより。(一部改編先行公開)
昨年おこなった「秋の種2019」( https://www.facebook.com/akinotane/ )の記録冊子を作成中です。その「おわりに」として3月に書いたテキストを一部抜粋改編し、編集長 木下貴子さんの了解を得て先行リリースします。明日にでもわたしが陽性になりかねないから。
略したところは「秋の種2019」関連のテキストです。このページのものは出版されるテキストとは若干異なります。「秋の種2019」記録集pdfは4月13日ごろ発行予定。支援者のかたへお送りいたします。その後に紙の本としても出版します。
この冊子を作り始めた2ヶ月まえとは、日常が一変してしまっている。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で全国的なイベント中止、美術館や体育館もクローズ、全国の学校へも一斉に休校要請が出され、海外往来の制限が始まった。そして4月、福岡では感染者のクラスターが医療機関で発生しはじめた。
大半のひとの健康には変化がないのに、あれよあれよという間にほぼ日本中のひとびとの予定が変更され、いくつかの日用品は買えなくなり、収入の目処が立たなくなるケースすらある。
天災の被害は目に見える。それゆえにつらさも際立つが、目に見えなくともこんなふうに先が読めなくなる。そんなにも不安定な時代に立っているのかと愕然とする。
むかしから先祖たちが抱いた不安を想像してみる。天災、戦争、飢饉そして疫病。現代よりも遥かに大きな不安を、先祖たちはどうやって乗り越えてきたのだろう。悲嘆にくれるだけでなく、調べたり、考えたり、相談したり、試してみたり。無謀と思って挑戦し、間違ったり正しかったり。その歴史の先にわたしたちは立っている。どっちみち、この先はわたしたちが試行錯誤して、次の世代に託さねばならない、いまそういう前線にいるのだ。
ひとびとの安寧を維持するための知恵が「文化」というパッケージになっていて、日々こまかく修正が施されているように感じている。
(中略)
「秋の種」の企画を考え始めた昨年の時点で、次の展開は考えていなくもなかった。しかし、未曾有の感染症が終息するまえのいま、次の手を考えるには少し間を置きたい。この状況を組み込んだものを考えたい。アートは未知の場面を拓いていく手がかりとなるものだと思うから。わたしたちはこの期間をどうにか生き抜き、失敗したことを含め、未来に手がかりを残してゆかねばならない。
(後略)
宮本 初音
(「秋の種2019」企画委員代表, ART BASE 88 代表)
2020年4月5日、日本福岡の自宅にて
人類が新しい病を早く克服できることを祈って