面倒な食べ物

引っ越してから、納豆が食べられなくなった。同居人が納豆のにおいが受け付けないらしく、納豆禁止令が出されてしまった。私は多い時は1日3食納豆を食べていたので、禁止令が出された時大きな不安に襲われた。納豆は栄養もあるし安いし美味しい。そして調理が必要ない。日々の廃れた食生活で、納豆さえ食べれば大丈夫、という安心感を与えてくれる存在だったのに。
幸い、彼が家を空ける時は食べてもいいと許可が出たので、彼氏が泊まりがけの出張の日、帰ってくる前日の夜だけは納豆を食べられることになった。
まず、納豆を冷蔵庫に入れることもいい顔をされないので、納豆は食べる直前に買い、1食で完食する必要がある。3食納豆を食べていた私でも1食で3パック食べるほどではないので、2パックのちょっといい納豆を買うことになる。帰宅後、換気扇を回す。換気扇の下で納豆を混ぜる。ご飯の上に乗せ、できるだけ換気扇の真下で食べる。時間をおかず納豆のパックはぬるつきが取れるまで洗って、ビニール袋に入れ、口を縛る。
ここまでやる必要がある。
私にとって納豆は早い安い美味いが揃った完全食材であったのに、今や納豆は面倒な食べ物に成り下がってしまった。
納豆の地位向上のため、私の家の近くのスーパーでにおわ納豆を取り扱ってほしい。お客様からの声を投稿しようかな。

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