紅いお花。(ショートショート)
昔々あるところに。
昔じゃなくて
未来かもね、
未来じゃなくて
今かもね。
- ○ - 。 - ○ - 。
紅いお花。(ショートショート)
昔々あるところに。いじわるさんと、やさしいさんがいました。私のあたまの中に。
私がむしゃくしゃしていたとき、歩いていると、紅いお花が咲いていました。
いじわるさんは言いました。
「ふみつぶしちゃおう」
やさしいさんは言いました。
「そっと咲かせておこう」
結局、お花をよけて通りました。
次の日、同じ道を歩いていると、同じお花がかわいく笑っていました。あんまりにかわいいので、踏まなくてよかったなと思いました。
また次の日、同じ道を歩いていると、同じお花がありませんでした。摘み取られたのか、草むしりされたのか。不思議でしたが、ささいなことだと思うことにしました。
夕方、あっとわかりました。
お空の夕焼けの色が、あのお花とそっくりだったのです。
夕焼けの色をみたとき、私にはわかりました。
私は、あの紅いお花が大好きだったのだと。
私はポロッと涙をこぼしました。
夕焼け空では一番星が、ポロッと涙のように光りました。
さようなら、紅いお花さん。
ありがとう、紅いお花さん。
- ○ - 。 - ○ - 。
昔々あるところに。
昔じゃなくて
未来かもね、
未来じゃなくて
今かもね。
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