ハンバートハンバート 君の味方

年末、一年ぶりに実家に帰った。
母と妹とその旦那が、台所であれやこれやとすき焼きを仕込んでいる。
肩身の狭い気持ちでソファに座ってスマホゲームをしていると祖母が帰ってきた。

祖母は私が東京に一人でいることも、仕事のことも気に入らない。しつこくしつこくしつこく恋愛事情を問い詰めてくる。きっと可哀想な女と思っているだろう。実家の近くで公務員として家庭を築くことが何よりの幸せと思っている。
母は私を自慢の娘にするために躍起になっている。痛々しいほどの自己犠牲精神を、お土産をお金を時間を私にも強いてくるのだ。
第一子を身籠った妹は無邪気にお年玉や出産祝いをせがんでくる。姉妹という繋がりが全くの免罪符のように傍若無人である。

実家では孤独が際立つ。

肉を数枚つついてイソイソと出てきた。
ハンバートハンバート「君の味方」を再生しながら、タクシーでホテルに向かう。

泣いてばかりいても
誰も助けちゃくれない
我慢して笑ったら
誰も気づいちゃくれない
大きな声をあげたらうるさいって怒られて
いやになってやめたら
何ひとつ残らない

貸切の大浴場で大きめの声で口ずさむ。というか熱唱する。
自分のこと認めて、愛して、褒めてあげることを忘れないようにしたい。

みんなが君をきらっても
ぼくは君が好き
どうか気を取り直して
雨は上がってるよ

幸せになるためにはまず愛する人・モノが必要だ。愛する人・モノが幸せだったら自分も幸せになれる。独りよがりにはならないように気をつけよう。

でも自分のことを愛するかぎり、私は私を幸せにできる。

コーヒー牛乳が冷たくて自分が筒状の物体であることを強調してくる。
ベッドが柔らかめで助かった。

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