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ダンスダンス!教育実習

教頭「いいですか。いくら実習生といえど、前髪の長さについては我が校の校則に則っていただきます。」

実習生一同「…」

教頭「アッ、今なにか論理的な反論を考えましたね。論理的なことは禁止です。学校は情緒的なとこなんですから。」

実習生一同「…」

教頭「君たちは特別エラい大学に通っているわけでもないんだから論理的でないのは慣れっこでしょう。ハハハ。」

実習生一同「…」

教頭「とにかくそういうことだからね。そっちの男二人。明日までに前髪を切ってくるように。わかったら解散。」

実習生一同「…」



〜控室にて〜



沼田「ちぇ。教頭のヤツ、黙って聞いてりゃ言いやがる。」

森田崎「仕方ないよ、あたしたち学生だから。きっと舐められてるんだよ。」

沼田「えっ、お前教頭にどこか舐められたのかよ。」

森田崎「えっ、なんで知ってるの?」

沼田「やめろ聞きたくない!!第一オレはお前の彼氏なんだぞ。第二に彼氏にそんなこと聞かせるやつがあるか。」

森田崎「え?あたしまだ処女よ。それに舐めたのはあたしの方なんだけど。」

沼田「そうか、バージンは守ったんだな。どこを舐められようとそれだけ残っていれば安心だ。」

森田崎「もう沼田くんったら。」

畜川「いい加減にしろよー!!!!」


沼田「あーびっくりした。どうしたんだよ畜川お前バカなのか。」

森田崎「本当にバカね畜川氏は。」

畜川「バカはお前らだろ?もう一度言おうか?バカはお前らだろ?特にそっちのお前、沼田!」

沼田「ハイ?」

畜川「俺たち明日までに前髪切らなきゃなんねーんだぞ、ことの重大さはわかってるんだろうな。」

沼田「…」

畜川「俺もお前も教師になりたいわけじゃないけど文系の大学しか入れなかったから仕方なく教育大に来たけど、それに就活もしたくなくて止むを得ず教育大に来たけど。」

沼田「…」

畜川「でも、二人とも高校時代の厳しい校則に辟易してたから大学ではバンドマンみたいに前髪を伸ばそうぜってそう約束…、あっ特に口に出して言ったりとかはなかったけど、お互いそういう志でいたじゃない?」

沼田「…」

畜川「それなのに…やっと前髪を伸ばせると思ったらこれだぜ。高校、大学、そして社会に出てからも延々…。(自問)どうして毛根が一番ピンピンしている時期に好きな髪型をしちゃいけないんだ!(自答)そうかわかった!ハゲが決めたルールだ!ハゲの社長と株主が嫉妬して結託して若者がチャラチャラ繁殖しないように抑え込もうとしてるんだ!抑圧だ!謀略だ!性的搾取だ!有生思想だ!」

森田崎「沼田くん、畜川氏に何か言ってあげて。」

畜川「そうだぞお前、俺に何か言ってあげろよ。」

沼田「…」

(畜川、沼田の手元を覗き込む)

畜川「あっエロゲーやってる!」

森田崎「ギャーッ!!」

沼田「…」

畜川「しかも中学生の妹を犯してる!!」

森田崎「ぬ、沼田くん!ここがどこだかわかってるの!?」

沼田「え、栄三中。俺の母校だけど。」

畜川「母校だったのかよ!」

森田崎「問題はそこじゃないわ畜川氏。今論じるべき議題は沼田くんが実習先の中学校で中学生女児を強姦している点よ。しかもあんなにたのしそうに!!」

沼田「ああたのしい。」

畜川「狂ってやがる!」

森田崎「沼田くん一体どうしちゃったの?今まで一度も強姦なんてしたことなかったじゃない。」

畜川「聞け森田崎、人間は最初の性体験を一生引き摺るという。きっと沼田のソレは想像するにもおぞましい悲惨なものだったに違いない。ある意味で沼田は被害者なんだよ。」

森田崎「そんな沼田くん!ぼく達はじめて同士だねって言ったのはウソだったの!それとも沼田くんにとってアレはレイプだったとでも言うの!答えて!これは女にとって少しナイーヴな問題よ!」

畜川「落ち着け森田崎。今のアイツには何を言っても無駄だよ。」

森田崎「えっどうして?畜川氏。」

畜川「沼田をよく見ろ。何を言っても無駄だと言いたげじゃないか。」

沼田「何を言っても無駄だよ。」

畜川「ほら言った!言わんこっちゃない!」

森田崎「すごいわ畜川氏。あたしの寿命も占ってよ。」

畜川「あのさあ森田崎。さっきから気になってたんだけど、その畜川氏って呼び方…」

沼田「おい畜川!それ以上森田崎を傷付けるつもりなら、俺はお前の実家に行って卒業アルバムを全部燃やさなきゃなんねえ。白紙の寄せ書きページだけ残してな。」

畜川「なに?お前俺の実家がどこだか知ってんのかよ。呼んでも一度も来たことないくせに。」

沼田「そりゃお前の実家があるところから北に50キロ進んだ地点から南に50キロ進んだ地点だろ。なんで行かなかったかって?お前の制服が毎日おりもの臭かったからだよ。そんな服が沢山干してある家になんて行けるかよきったねー。今度母ちゃんに会ったら洗濯ものは分けてもらうよう言っとけや。」

森田崎「イヤ!なんて汚い言葉!口と肛門が入れ替わってるの!?」

畜川「ケッ!おりものが山おりか谷おりかもわかんねえようなヤツがよく言うぜ。お前だって弁当に障がい者が作ったパンばっか持ってきやがってよ。アレいじりにくいんだよ。皆んなで弁当いじり合うのが楽しかったのによ、おめえだけ鋭過ぎんだよ!」

沼田「うるせえ安いんだよ!格安だからだよ。ウケ狙いじゃねえんだよ。あ、じゃあこの際だから言うけどさあ、お前のスマホだせーんだよ。なんでその色にしたんだよ。」

畜川「は?ピンクゴールドかっこいいじゃん。」

沼田「かっこよくねーよ。一番意味わかんねえ色だわピンクゴールド。長年疑問だったわ。なんでシルバーとかブラックとかのラインナップにピンクゴールド入ってんだよ。上層部に色弱いんのかよ。なんだよ”ピンクゴールド”って。ゴールドじゃダメなの?それ選ぶやつの気がしれない。」

畜川「は?ゴールドじゃちょっとギラつきすぎるからピンクで中和してんだろ。そんなこともわかんねえのかよ。あっ、そっか〜、繊細な女性的感覚の持ち主がターゲット層の色なんだなあ、きっと。だからお前は一生わからなくていいよオスゴリラ。お前ってゴリラの父さんとレスラーの父さんの間に生まれただろ?だからわかんねえんだろうなこの男根一家。な、森田崎。」

森田崎「もうやめて!!!!二人とも知らないっ!あたし先生からテストの丸つけ頼まれてるから」

畜川「…チッ、一時休戦か。俺らも森田崎を手伝おうぜ。」

沼田「ああ、蕎麦(手打ち)にしようや。」







沼田「なあ。」

森田崎「…」

沼田「なあって。」

森田崎「…なに?」

沼田「20世紀少年の小池栄子ってさあ、あれ髪切ってたっけ?」

森田崎「……しらない。」

沼田「いや、小池栄子の役って漫画だと髪が短いキャラだったからさあ、そこんとこどうしたんだろうと思って。」

森田崎「…しらないよ。カツラでも被ってたんじゃない?」

沼田「いやでもさあ、髪を長くするカツラはあるけど、髪を短くするカツラはねえだろう流石に(笑)」

畜川「あるよ、髪短くするカツラ。」

沼田「えっマジで?マジそんなのあんの?」

畜川「あるある。カツラの中に地毛を全部しまいこむんだよ。」

沼田「え〜じゃあ小池栄子もそれかなあ?」

森田崎「二人ともうるさい。丸つけに集中して。」

畜川「すまん森田崎。」

沼田「…」

畜川「…」

沼田「え、切ってなかったわ。そのままの小池栄子だった。」

畜川「マジ?見して。」

沼田「ホラこれ。」

森田崎「ねえ実習中はスマホ禁止だよ。」

畜川「うわマジじゃん!やっぱクソ映画だから?これの為には切れないと思ったんだろうな。うわ〜。」

沼田「小池栄子は浦沢直樹を舐めてるってことでいい?」

畜川「どっちかって言うと監督の堤幸彦を舐めてるんだろ。」

沼田「なるほどね〜(笑)」

森田崎「うるさい!!!」

沼田「…」

畜川「…」

沼田「え?ってかさあ。」

森田崎「ねえ〜本当うるさい。」

沼田「いや、俺らもそのカツラ買えばよくねって思って?」

畜川「そのカツラって?」

沼田「だからさっきお前の言ってた、髪を短くするカツラ。それかぶってけば、前髪切らなくて済むじゃんな。」

畜川「たしかにじゃん。」

森田崎「やめなよ、絶対バレるよ。」

沼田「いやいけんだろ〜。だって映画で使われるようなやつだぜ。多分一般人には見抜けねえよ。」

畜川「いやでも、どうやって映画で使われるようなやつを用意するんだよ。」

沼田「あ、そっか。」

畜川「はあ…。お前ってほんとばかだよな。いつも白菜の一枚目までしか考えてない。」

沼田「オイそれどういう意味だよ畜川。」

森田崎「ねえ二人ともやめようって、あたしイラつき過ぎて生理になりそう。」

沼田「え、お前の生理って帰納法なの?」

畜川「言葉通りの意味だよ沼田。お前は白菜の一枚目みてーな男だ。」

沼田「はあ?だって白菜の一枚目って捨てるだろ?俺たち捨てるもののことまで考えなきゃなんねえのかよ。」

畜川「そういうことを言ってるからいつまで経っても環境問題は解決しないんだよ。お前が捨てたゴミを片付ける人のことはどうでもいいのか?」

沼田「おい畜川、俺と環境の話をしようってのか?俺は小鳥やお花が大好きで月に一度は山に入って写真を撮る無類の環境好きだぞ。この俺に環境の話なんてするな。」

畜川「写真?それ撮ってどうすんだよ。」

沼田「どうもこうもねえよ。写真は撮ったらおしまいだろうが。」

畜川「呆れた。お前ほど白菜という野菜が似合う男はいないよ。もういい帰ろうぜ。」

森田崎「えっ丸つけは?まだ半分以上残ってるけど。」

畜川「森田崎。お前は少し疑問を持つことを練習しろ。」

森田崎「え?」

畜川「お前が今丸を付けてるそのプリント用紙、それは木の死体だ。その死体の上で人間が勝手に作った問題を人間が勝手に作った子供たちに解かせて、俺たち一体何がしたいんだ?今も木が生きていれば、問題なんて生まれようがなかったのに。死して尚、体の上を弄ばれ、勝手に一喜一憂され、最後は丸めて捨てられる。これは死体処理と一緒だ。屠殺と精肉の関係だ。わかるか森田崎。お前はその一端を担いかけてるんだよ。」

森田崎「でも仕事だし…。」

畜川「仕事?こんなことやって一銭でも貰えて嬉しいかよ。お前には何を言ってもわからないだろうな。だが俺はわかったぞ。自分のやるべきことが。じゃ、あばよ低脳ども。」

沼田「待てよ畜川、急にわけわかんねーぞ。」

森田崎「そうだよ畜川氏!三人で頑張って実習乗り越えようねって白木屋で飲み会もしたじゃない。忘れたの?帰りにラーメンも食べて、あのときの餃子代まだ貰ってないよ?」

沼田「そうだぞ畜川。その分は森田崎が立て替えてるんだけど、それはまあ俺は別にいいんだけどさ、でも一緒にやってきたじゃねえか。三人で森田崎んちで宅飲みしたりさあ。」

森田崎「そうそう。あの日からあたしたちが付き合い出したから怒ってるの?ねえそうなんでしょ?あたしと沼田くんが近付いて、畜川氏だけ置いて行かれたと思ってるんでしょう、ねえ!餃子とライスのお金返してよ!」

沼田「あの日、お前もいる前でテーブルの下で何が繰り広げられてたか、お前まだ知らねーだろ!それでいいのかよ畜川!酔い潰れたお前の上で何が繰り広げられてたか!寝起きのお前に森田崎が渡したペットボトルの中で何が繰り広げられてたか!お前知らないまま帰っていいのかよ!」

森田崎「たった500円だよ!なんで今払えないのよ!!なんならあたしの分も奢ってよ!!」

沼田・森田崎「畜川(氏)!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



畜川「…………ごめ〜ん(笑)」

森田崎「も〜〜〜畜川氏ったら〜(笑)」

沼田「おどかすなって〜〜(笑)」

森田崎「も〜、畜川氏のせいで丸つけ間に合わないようっ。」

畜川「ごめんナリ〜(笑)ちゃんと手伝うから、これからもよろしくだナリ。」

沼田「おまっ(笑)ほんと気持ちわるいなあ〜(笑)」

実習生一同「(爆笑)」

畜川「さっ!そうと決まれば、じゃんじゃんやるぞ〜!」

沼田「お前には負けないかんな〜!」

森田崎「もう、ふたりともっ。なんだかんだ仲良しさんなんだから。」

こうしてあたし達は無事実習を乗り越え、勉強に恋にバイトに、充実した大学生活を過ごしましたとさ。そんでそんで来年の4月、あたし達は新たなスタートラインに立ちますっ。勿論!3人一緒に、ね?ドジで未熟者のあたし達ですが精一杯頑張りますので、(せーのっ)今後ともどうぞヨロシク〜☆ってコラー!!2人も一緒に言いなさいよ!あっちょっと!まちなさーーーーーーい!!!!!!!!!!


~fin~


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