書籍紹介|『ワークマン式「しない経営」』から学ぶ!ブルーオーシャン戦略
『ワークマン式「しない経営」』から学ぶ!ブルーオーシャン戦略
おはようございます。
税理士の大橋弘明です。
作業服専門店から、
アウトドアブランドとして
急成長を遂げたワークマン。
4000億円という新市場を開拓し、
10期連続で最高益を更新しています。
その成功の裏には
「やらないことを決める」という、
一見シンプルながら
革新的な経営手法がありました。
今回は、ワークマンの
専務取締役土屋哲雄氏の
著書『ワークマン式「しない経営」』から、
新市場開拓のエッセンスをご紹介します。
■ そもそも「しない経営」って何?
ワークマンが実践する「しない経営」とは、
あえて「やらないこと」を決めることで、
本質的な価値創造に集中する経営手法です。
具体的には、
・残業をしない
・ノルマを設定しない
・値引きをしない
・過剰な接客をしない
・法人向け市場に参入しない
これらの「しないこと」を明確にすることで、
独自の市場ポジションを確立しました。
■ やらないことの決め方
ワークマンは、
「やらないこと」を
以下の3つの視点で決定しています。
顧客価値の視点:
顧客が本当に求めている価値に集中する
(例:過剰な接客をやめ、必要な情報提供に注力)経営資源の集中:
本質的な活動にリソースを絞り込む
(例:法人市場への参入をやめ、個人市場に集中)独自性の追求:
競合と異なる強みを活かし、差別化を図る
(例:高級路線を追求せず、高機能・適正価格を提供)
■ 「しない経営」がブルーオーシャンを生む理由
この「やらないことの決めること」は、
そのままブルーオーシャン(競争のない新市場)を
見つけるヒントになります。
従来のアウトドア市場では、
・高級ブランド:高機能だが高価格
・量販店:安価だが機能性は低め
という二択が「当たり前」でした。
しかし、ワークマンは、
「やらないこと」を明確にすることで、
新しい選択肢を生み出しました。
● やらないこと
・高級路線を追求しない
・過剰な宣伝をしない
・華美な店舗装飾をしない
● 新しい選択肢
・作業服の技術を活かした高機能性
・効率的な運営による適正価格
・実用性重視の店舗作り
このように、誰も手をつけていない
「高機能なのに手頃な価格」という新市場を
作り出すことができたのです。
「やらないこと」を決めることは、
自社の強みを活かした新市場を
発見する重要なステップとなります。
では、具体的にどのようにブルーオーシャンを
作っていけばよいのでしょうか?
■ ブルーオーシャン戦略の3つの核心
1.新しい価値を創造する
既存市場にない新しい価値を生み出す。
ワークマンの例:
・作業服の「高機能」(耐久性、動きやすさ)
+
・アウトドアウェアの「適正価格」(3,000〜5,000円)
↓
新価値「高機能なのに手頃な価格」
2.非競争を実現する
競合とは同じ土俵で戦わない。
ワークマンの例:
・法人市場には参入せず、個人市場に特化
・高級ブランドとも量販店とも競合しない価格帯
・実用性重視の商品開発で独自路線を確立
3.独自ポジションを確立する
競合に模倣されにくい強みを作る。
ワークマンの例:
・作業服で培った高機能な素材開発力
・効率的な生産
・物流システム
・40年以上の取引実績がある協力工場網
このように、
新しい価値を生み出し、
競争を避け、独自の強みを築くことで、
持続可能な新市場を作ることができます。
■ 新市場を見つけるためのヒント
では、
「どの市場を狙えばいいのか?」
これは多くの経営者が
抱える最大の悩みではないでしょうか。
本書から学べる
新市場発見の3つのポイントを
ご紹介します。
業界の「当たり前」を疑う
・アウトドアウェアは高価である必要があるのか
・豪華な店舗作りは本当に必要なのか
・接客に多くの人手は必須なのか自社の強みを活かせる市場を探す
・作業服で培った機能性を活かせないか
・効率的な生産
・物流の仕組みを活かせないか
・長年の取引先との関係を活かせないかお客様の不満から機会を見つける
・「良い商品だけど高すぎる」
・「もっと気軽に使いたい」
大切なのは、
「どの市場に参入するか」ではなく、
「自社の強みを活かせる市場はどこか」
という視点です。
■ ブルーオーシャンを作る4ステップ
【Step1:市場分析する】
・既存市場の構造を理解する
・競合が見落としている領域を探す
・顧客の未充足ニーズを発見する
●実践のコツ
・業界の常識を疑ってみる
・顧客の不満や要望をヒアリング
・競合が苦手な領域を探す
【Step2:自社の強みを活かす】
・既存の技術やノウハウを棚卸する
・新市場での活用方法を考える
・独自の価値提案を作る
●実践のコツ
・社内の経験やスキルを見直す
・異なる市場での応用を考える
・顧客目線で価値を考える
【Step3:新市場でテストする】
・小規模で試験的に展開
・顧客の反応を細かく分析
・改善点を見つけ出す
●実践のコツ
・完璧を求めすぎない
・データで判断する
・失敗を恐れない
【Step4:本格的に展開する】
・成功モデルを確立
・段階的に規模を拡大
・継続的な改善を行う
●実践のコツ
・急激な拡大を避ける
・品質管理を徹底する
・顧客の声を聞き続ける
■ おわりに
土屋氏は著書の中で
「やらないことを決める」ことの
重要性を強調しています。
「あれもこれも」と手を広げるのではなく、
本質的な価値創造に集中することで、
新しい市場が見えてくるのです。
「しない経営」と
ブルーオーシャン戦略は、
表裏一体の関係にあります。
やらないことを決めることで、
自社の強みが明確になり、
新しい市場機会も見えてくるのです。
では、明日から何をすればよいのでしょうか?
まずは、こんな質問から始めてみましょう。
・うちの会社が今やっていることは、
本当に必要なことだろうか?
・お客様が本当に求めているのは何だろうか?
・自社の強みを最大限に活かせているだろうか?
「やらないこと」を決めることは、
新しい可能性への第一歩です。
皆さんも、自社ならではの
ブルーオーシャンを探してみませんか?
それでは、また!