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エドワード・ゴーリーを巡る旅
エドワード・ゴーリーを巡る旅
@奈良県立美術館 2024.9.14 – 2024.11.10
不思議な世界観と、モノトーンの緻密な線描で世界中に熱狂的なファンをもつ絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey, 1925-2000)。
近年、日本でも『うろんな客』『不幸な子供』などの絵本が次々と紹介されてきました。ゴーリーは、自身がテキストとイラストの両方を手がけた主著(Primary Books)以外にも、挿絵、舞台と衣装のデザイン、演劇やバレエのポスターなどに多彩な才能を発揮しました。
本展は、そんな作家の終の棲家に作られた記念館・ゴーリーハウスで開催されてきた企画展から、「子供」「不思議な生き物」「舞台芸術」などのテーマを軸に約250点の作品・資料で再構成するものです。米国東海岸の半島に残る古い邸宅へと旅をするように、達観したクールな死生観を持つ謎めいた作品との邂逅をお楽しみください。
本展は、昨年度から渋谷区立松涛美術館を皮切りに始まった日本全国巡回展であり、関西初開催になります。また、当館オリジナルで、関連展示「エドワード・ゴーリーと日本文化-20世紀アメリカの眼-」を同時開催いたします。
関東の方を回ってきたエドワード・ゴーリー展。
巡回の最後は、なんと奈良県立美術館。
初めて足を踏み入れる美術館です。
近鉄の奈良駅を降りて、奈良県庁方面に5分程歩くと
県庁の裏に見えます。
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![](https://assets.st-note.com/img/1730792749-1KrS6fnWQidMbaA2mplgskBX.jpg?width=1200)
原画が多く展示されていて、
エドワード・ゴーリーの特徴である
緻密な線画をじっくり鑑賞することができます。
展示構成は
第1章 ゴーリーと子供
第2章 ゴーリーが描く不思議な生き物
第3章 ゴーリーと舞台芸術
第4章 ゴーリーの本作り
第5章 ケープコッドのコミュニティと象
となっており、
ゴーリーといえばの
『不幸な子供』の展示から始まります。
子供がことごとく悲惨な目・不条理な扱いを受ける
ゴーリーの絵本。
よくあるハッピーエンドや楽しい世界からは
かけ離れています。
私が初めてゴーリーの絵本を手にしたのは
親戚のおばさんが小学校2年生の頃に贈ってくれた
ミヒャエル・エンデの『モモ』
シルヴァスタインの『ぼくを探しに』
アーノルド・ローベルの『ふたりはともだち』などの中に
エドワード・ゴーリーの
『ギャシュリークラムのちびっ子たち』が
入っていました。
母と一緒に行く図書館で借りる本とは
全く違うラインナップに心躍りながら、
1番ワクワクした本が
エドワードゴーリーの一冊だったことを覚えています。
(母は私がこの本を読むのを嫌がっていたので
こっそりと読んでいたことまで覚えています笑)
私を含め、いろんな人の心を離さない
ゴーリーの絵本は独自の世界観と、
他では見ることが出来ないと言えるような
子どもの描き方にもあるでしょう。
「今ここに絵本があればいいのに」
その気持ちを読むかのように
展示の間に絵本を読むコーナーが設けられていていました。
使用していたカリグラフィーペンや
心から愛していたバレエに携わった仕事の作品
(衣装・チケット・タオルなど)が展示されていました。
どれも状態が良く驚きました。
今回は写真撮影OK場所が分かりづらく、
その部分は少し残念でした。
同時開催の
エドワード・ゴーリーと日本文化-20世紀アメリカの眼-
流石奈良のコレクションで、とても良かったです。
ゴーリーは「大人向けの絵本だ」と
言われることが多いイメージですが、
実際子どもの頃に読んだ私はそう感じていませんでした。
本展の図録から、
ゴーリー・ハウスのキュレーター
(エドワード・ゴーリーの記念館の学芸員)
Q&Aより一部を抜粋します。
Q:ゴーリーの子供時代の複雑な家族関係は、
絵本の中で子供たちが不幸に襲われることに
どのように影響していると思いますか?
A:ゴーリー・ハウスのキュレーター
ゴーリーは不安定な家庭環境の中で子供時代を過ごしました。
それはおそらく消えることにない深い傷を彼に与えたと思います。
しかしながら、エドワードはとても順応性のある子に育ちました。
彼は自分が子供として無力であり、傷つきやすい存在であることに
間違いなく気づいていました。
彼の本を見れば明らかです。
子供たちは、大人または運命、
あるいは両者の囚われの身だということを語っています。
本当に全ての子どもたちに必要なのは、
優しいタッチで描かれたハッピーエンドの絵本だけなのでしょうか。
エドワード・ゴーリーの絵本は子どもに適切ではない
書店で、子どもの目に触れる場所に置くべきでない
そう言った声こそが
大人の囚われの身だということを物語っているのではないでしょうか。
ゴーリーは生涯独身を貫いたとの事ですが
心から子どもが好きで、童心を忘れず
傷ついた子どもに寄り添う絵本を描いていたのではないか、
そう思える展示でした。
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古都 奈良で、ゆったりとした雰囲気の中
鑑賞出来たのも良かったように思います。