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「低価格ライター問題」 十数年前に経験したある出来事 #2


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「低価格ライター問題」 十数年前に経験したある出来事
#1  https://note.mu/oharan/n/n2f783cd9b952
#2 https://note.mu/oharan/n/ne4e03c870812



前回までのあらすじ

さて、前回は私の古巣の探偵ファイルについて、WEBの広告業界に金字塔を打ち立てた ”手法” という面から再評価でもしてみようかと思ったのだが、気付けば個人的な揉め事の話に全力を出してしまった。

という訳で、簡単に前回の内容を振り返っておくと、探偵ファイルが編み出した「素人記者をタレント化する」という手法は、広告慣れしていない00年代前半のネットユーザーに対して、絶大な効果を発揮した。
自分のお気に入りの顔出し名前出しで活躍している記者が薦める物だからと、どんなに胡散臭い健康食品だろうとギャンブル攻略法だろうと、信じてバカスカ買ってくれたのだ。買ってくれてしまったのだ。
いやまさか02年だ03年だなんて時期に、いまさら梁山泊の広告なんか買うヤツがいるなんて思わないじゃん。むしろ、なんで買うんだよ。めちゃめちゃ気まずいよ。

このウブな探偵ファイル読者のお陰で、かのサイトは他に比べて圧倒的な広告効果を誇るようになり、広告料は跳ね上がる一方。そして月に広告料だけで4千万円という驚異的なボロ儲けサイトに成長したのである。

だが、この探偵ファイルの広告バブルは様々な弊害をもたらした。そのひとつは、いかがわしい商材でもやりようによっては金に替わると証明してしまったこと。これを超悪い言葉で手短にまとめるとこうなる。

「ネットでバカをかき集めれば金になる」

もうひとつは、探偵ファイルの 「コストをかけずにボロ儲けする手法」 を真似た、劣化版探偵ファイルが雨後の筍のように誕生したことである。
少し前に大手企業まで巻き込んで大問題になったキュレーションサイトのインチキ情報問題なども、元をただすとここに行き着く。

00年代中頃から後半に差し掛かったある時、私はそんな ”劣化探偵ファイル” のお陰で、未だに忘れられない面白体験をさせていただくことになった。

探偵ファイル、不倶戴天の敵である私に土下座謝罪

なんやかんやありまして、探偵ファイルのBOSSこと、自称日本一の探偵を名乗る詐欺師・渡邉文男とガチ揉めする事になった私は、持ち前の性格の悪さで毎日毎日渡邉をからかい続けた。
数多くのTV番組に出演していた腕利きの有名探偵のはずの渡邉が、どこの馬の骨とも知れぬ私から必死こいて逃げ回る姿は実に滑稽だった。

そんな間柄になってしまったため、必然的に私は探偵ファイルやガルエージェンシーの事務所には近寄れない……というか、中の人達から「BOSSが発狂して面倒臭いから近寄らないでください」と言われる立場になっていたのだが、ある時そうも言っていられない状況に陥った。

ブログの読者さんから「荒井の記事が探偵ファイルに載ってるけど、仲直りしたの?」と教えられたのだ。全く身に覚えのなかった私は頭の中が「???」で埋め尽くされ、教えられたURLをクリックしてみて再び「!?!?!?!?!?」
なんと探偵ファイルが新しく立ち上げたらしいコラムページに、私のブログ記事がいくつもコピペされていたのである。

流石に意味が分からなかったが、探偵ファイルがボクにプレゼントをくれたんだと納得し、さっそく行動開始。いやらしくinfoアカウントに問い合わせメールを投げ、電話で「渡邉に直接話を聞かせろ」とアポを取り、通い慣れた神宮前の事務所に堂々と突撃したのである。
私の予想では探偵ファイルの編集部の方に通されるのかなと思いきや、なぜかガルエージェンシーの会議室へ通され、当然のごとく渡邉は顔も見せず。代わりに、組織図的に渡邉の下のナンバー2的ポジションにいたスタッフに平謝りされた。
「荒井さんとウチの関係性は百も承知です、申し訳ありません、代表も来ません、何卒今回ばかりはご勘弁を!」ってな具合で。

まあそんな事になるだろうなと思っていたので、それはそれで構わないのだが、問題なのが私ごときの記事をコピペした経緯である。
その内容はあまりに稚拙で、後のキュレーションサイト騒動の際に見られたグダグダなお話と瓜二つだったのだ。

悪いインターネッツの元凶はだいたい探偵ファイル

私に平謝りを続けるスタッフいわく、探偵ファイルが新サイトを立ち上げたことに伴って、記事の本数を大幅に増やさねばならなくなり、編集部の人員では回し切れなくなったそうな。
じゃあ新しくスタッフを雇えばいいじゃないかとも思うのだが、それはもう生粋のインチキ野郎が運営するサイトでございますから、困った時はインチキで片付けようとする訳で。

なるべく人件費(原稿料)をかけず、安定して記事をアップし続けるにはどうすればいいか。試行錯誤の末に編み出した方法が、ひとり取りまとめを用意し、そいつにライター志望の暇な学生達を抱え込ませ、1記事300円なんて冗談みたいな金額で月に何十本もコラムを書かせるという手法だった。

そう、後にキュレーションサイト騒動が起きた際に、これと殆ど同じ仕組みで運営しているサイトがいくつもやり玉にあがり、片っ端から閉鎖してトンズラしたのを覚えている方も多いだろう。

この時の探偵ファイルはこんなやり方をしていた。

・探偵ファイル
→コラム枠をまるごと広告代理店に売る

・広告代理店
→コラム枠に適当な記事を突っ込み、そこに広告を載せる

・取りまとめ
→ライター志望の学生らを何人も抱えてノルマを課して記事を書かせ、彼らが上げて来た原稿を広告代理店に納品する

なんと、この時の探偵ファイルは自サイトの名称を使わせ、広告代理店にサイト運営を殆ど丸投げしていたそうなのだ。何年もかけて育てたブランドを、目先の金の為に売り飛ばしたも同然である。
そんな背景があったため、探偵ファイル本体はこのサイトには一切かかわっておらず、広告代理店が何らかの手法で記事をかき集め、それを校閲も何も無く、ただただ枠に突っ込んでいるだけだったのだ。

また、広告代理店は取りまとめに対しそれなりのギャラ(と言っても1本1~2,000円程度)を支払っているそうなのだが、ガッツリ中抜きしてしまうため、末端ライターには1記事200円なんて原稿料しか落ちなかった。
そんな小銭でこき使われれば、そりゃその辺に転がってる他人の記事をコピペしてノルマを達成しようと考えるバカが現われても不思議ではない。
私のブログ記事は、こんなバカどもによって盗用されたのである。

探偵ファイルは素人を社員記者として雇い、彼ら彼女らを即席タレントとして活動させ、芸能人を使うよりも遥かに安い金額でPR記事を量産させた。
この手法を何段階も劣化させ、さらに順法精神もマナーもへったくれも無くした恥知らずな方法論が、この超低価格ライターによる大量生産システムである。

DeNAなどが関わっていたキュレーションサイト騒動が社会問題化したのが2017年頃だったはずだが、この探偵ファイルの低価格ライター問題が起こったのは06年頃であり、なんと10年以上も前の話だ。

探偵ファイルなんてサイトは何から何までインチキで構成されていたようなものだが、同時に「しょせんアングラである」と看做されていたという大前提があった。どうしたってダーティなイメージが拭えなかったし、まともな頭を持っている人間からしたらインチキとデマばかり垂れ流す悪徳サイトにしか見えなかっただろう。
だからこそ、恥も外聞もなく金だけを追い求めて、こうした手法をいくつも編み出して来られたのである。

ところが、それから10年経ってみると、株式上場しているような大企業でさえ、探偵ファイル流のインチキで金を稼ごうと企むようになってしまった。
それが煮詰まって煮詰まって極限まで行き着いたのが、キュレーションサイト騒動だと思う。
PVが稼げればいい、より多くの広告料が入ればいい、より多くの広告成果が上がればいい、そんなマトモな人間に相手にされないアングラだからこそ見逃して貰っていた手法を、真っ当な業界(のはずの)企業が劣化コピーしてどうする。

ライターに払う金が惜しいと思うなら、ライターを使うような事業をやらなければいい。ライターの原稿料というのは、その情報に対する責任を表すものである。そこをケチるというのは「情報精度を度外視する」という結論にしかならない。

今やライターはおろか「校閲が機能してないだろ?」と思えるメディアも数多くある。そうしたインチキメディアがこの先も「情報に金をかけない」というやり方を改めないのであれば、いずれ近い内にまた大きな事件が起きるだろう。原稿料とは、ある意味で命綱のようなものだったのだ。



※ 本文は以上です
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