同性婚法制化問題に対するもやもや「悪法・AV新法再び」にならない?
同性婚法制化について相変わらずの自民クオリティ
2月1日の衆院予算委員会で、岸田首相が同性婚の法制化について「社会が変わってしまう」などと否定的な意見を述べた事を発端に、あっちゃこっちゃ大騒ぎになっている。
つい先日は、オフレコとして岸田の秘書官が「見るのも嫌だ」などと暴言を吐いた事が発覚し、光の速さで更迭されるという事態に発展した。
こうした言葉の軽さと思想の偏りは、「さすがは自民党」と言うよりないのだが、私はこの件に関して少々もやもやを抱えている。
普段の論調からすれば、すぐに「同性婚の法制化はして当たり前だ!」くらいの事を言ってしまいたいのだが、現状で果たしてそれを言っていいのかどうか判断がつかないのである。
論点が多岐にわたりすぎな法制化
同性婚を法で認めるか否か、これについてはシンプルに考えれば「同性婚をしたい人間がいるなら認めてあげればいいじゃないか」という結論になるのだが、賛成派にしても反対派にしても「シンプルじゃない思考のひとたち」が散見され、「その意見に乗りたくない」という感情が湧いてしまい判断が鈍る。
たとえば、同性婚法制化に反対する人々の中には「婚姻制度を悪用した詐欺やインチキの類いが横行する!」などと主張している方がおられるが、これなど典型的な「乗りたくない例」である。
原則として異性婚しか認められていない今でも、婚姻制度を悪用した詐欺・インチキなどは、現状ですでに横行しているではないか。なので、それを理由とするのは無理がある。
生活保護の受給にはシングル親である方が有利なので "偽装離婚" が横行しているし、国籍が絡む詐欺などについては昔から "偽装結婚" が横行している。
そういう状況なのだから、同性婚という選択肢が加わったところで、これまでに無かった新しい犯罪が爆発的に増えるという事にはならないはずだ。
婚姻が関係する詐欺の総数が100だったとして、その内訳が [70:30] から [40:35:25] といった数字に変化する可能性は高いけれども、総数自体が100から200に跳ね上がるとは考え難い。
同性婚が可能になったからと新しい詐欺を思い付くようなヤツは、現時点ですでに別の詐欺を動かしていると考えるべきである。
この理屈が理解できるだろうか?
そうである以上「同性婚によって詐欺が増えるから反対だ」と唱えるくらいならば、もっと根本的な話として「犯罪に悪用される事の多い婚姻という制度自体を根本から見直すべきだ」と訴える方が、意見としては矛盾がないのではないだろうか。
ところが、何故かそういう意見を目にする機会が少ないのが謎である。
なるべく丁寧に噛み砕いたつもりだが、お分かり頂けただろうか。詐欺などの犯罪の発生率・発生件数などは、異性婚は良くて同性婚がダメな理由にはならないのだ。
そうかと思うと、「法制化すべし!」という意見の中にも現実が見えていなさそうな意見があって頭が痛くなる。
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