『商店街とコンビニ』コンビニ24時間営業問題 #2
[連載] 『商店街とコンビニ』コンビニ24時間営業問題の源流を探る
#1 https://note.mu/oharan/n/n8b35be59ca56
#2 https://note.mu/oharan/n/nb88d17723585
前回は簡単に商店街の歴史を解説した。
スーパーマーケットやデパートなどの大型店と、その出店を規制する大店法、そして大店法の規制を掻い潜れる新業態・コンビニエンスストア。
これらの関係性については何となく理解して頂けたと思う。
今回は前回の続きとして、コンビニ運営会社がどのようにして商店街の中の好物件を手に入れ、商店街の客を横取りする形で栄えて行ったか、そこにポイントを絞って述べたいと思う。
と、その前に、この『商店街とコンビニ』というテーマについては、私の著作の中でより詳しく述べているので、もし興味のある方は下記の本を読んでみてください。
『魚屋がない商店街は危ない 東京23区の商店街と地域格差』
MM新書・マイクロマガジン社
定価994円(本体価格+税)
https://amzn.to/2S2gqbB
「商店街の衰退は街の格差を生む。繁盛している商店街は住民の教養が高い。では、商店街が廃れた地域の住民は…?」
板橋区の旧宿場町の商店街出身の私が、東京23区の主だった殆どすべての商店街と、商店街を中心とした生活動線を歩いて回り、その結果を1冊の本にまとめました。
滅びゆく存在となってしまっている商店街こそ、「誰もが豊かに」という日本の文化レベルの高さを底支えしている存在だったのです。
街の酒屋がコンビニに狙われた理由
前回の記事の最後で「コンビニを商店街の内部に招き入れる手助けをする格好になってしまったのが、いわゆる街の酒屋さんである」と述べたが、まずはこれについて詳しく解説する。
イトーヨーカドーやダイエーといった大型店を経営する企業は、資本の大きさでは個人店など相手にもならないが、「街の中心地に入り込めない」という弱点を抱えていた。
6~70年代の商店街が元気だった時代には、街の中心には商店街があったが、大店法によりそうした中心部への大型店の出店は禁じられてしまった。
そのせいで、大型店は商店街から離れた街はずれに建てるよりなかったのである。
後に地方都市では、これがロードサイドが活気づいて駅チカの古くからの商店街が死ぬという結果に繋がるのだが、それはまた別の話なので今回は割愛する。
話をコンビニに戻すが、コンビニエンスストアという業態は、面積的にはごく一般的な個人商店と同サイズであり、大店法の出店規制には引っ掛からず、「テナントさえあればどこでも建てられる」という状態だった。
その「テナントさえあれば」の部分でターゲットにされたのが、街の酒屋さんである。
私と同世代か、それより少し上の世代の方なら覚えているはずだが、ある時期あちこちの酒屋が、次々とコンビニに鞍替えしたのを覚えていないだろうか。あれがコンビニ運営会社による、街の中心地への侵攻作戦、言ってみれば ”酒屋狩り” の成果である。
では、なぜ酒屋が狙われたのだろう。
考えられる理由はいくつかあるが、特に重要と思われるのは次の3点だ。
(1)酒類の販売免許がある
(2)好立地を押さえているケースが多い
(3)坪数がベスト
順番に見ていこう。
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