ワンズファクトリー&マルクス兄弟の経営者が無修正動画の製造・販売の容疑で逮捕
表AVの人間が無修正で逮捕
AVメーカー『ワンズファクトリー』および『マルクス兄弟』の社長である柴原光(アキラ)容疑者が、FC2のコンテンツマーケットで2020年までの間に約350本の無修正動画を販売したとして逮捕された。
https://news.ntv.co.jp/category/society/695d13148bce4fe7bae00cb242f494ba
柴原容疑者はピンク映画の出身で、ゲイ作品でピンク映画の新人賞を受賞するなど特に才能が期待されていた人物。その後、90年代後半にAV業界に活動の場を移し、ビデ倫所属のレンタル系メーカーとしてマルクス兄弟を設立。03年にはビデ倫を脱退し、セルビデオメーカーとして北都(DMM/CA/WILL……名前が一杯あって何と呼んでいいかわからん)グループに属していた。
この柴原氏は、ある意味でセルAV業界の申し子のような人物で、妊婦・母乳・フィストファックといったニッチなジャンルから、ワンズファクトリーでは単体女優作品も制作しており、自ら男優として出演する事もあった。
今回逮捕された理由は「FC2のコンテンツマーケットで無修正動画を販売したから」とされている……のだが、深掘りを始める前に記事に対するツッコミから入れさせて欲しい。
メディアがまた見出し詐欺してないか?
現在Twitterなどで最も拡散されているのは、このabemaの記事(yahooにも転載)ではないかと思われるのだが、これは典型的な見出し詐欺であると言っていい。
記事と見出しをよく読んでみて欲しいのだが、今回柴原容疑者が逮捕されたのは「無修正動画を制作・販売したから」であって、「SNSでAV女優の募集をかけた」事ではない。
であるならば、見出しは「無修正動画で逮捕」といった、事実に沿った内容にすべきではないだろうか。
ついでに言うと「女優への報酬が10~20万円」という数字についてだが、これについてはおおよその売上本数と売上金額があるので、そこから妥当な数字かどうか判断ができる。
警察発表には、「350本以上、1億7000万円以上」という数字が出ているので、ここから1本あたりの売上金額を出してみる。すると、170,000,000÷350で、単純計算で1本あたり約48万円の売上があった事になる。
通常のAVであれば、ここからスタジオ代や男優・スタッフへの報酬が引かれ、現場経費などが引かれ、販管費などが引かれ、残りが利益となるのだが、それを考えると出演女性に支払われる10~20万円という数字は、かなり良心的であると言える。
いくら社長の柴原容疑者自らが出演し、何だったらハメ撮りでカメラも回したとしても、1本あたりの売上が50万円にも満たないのだから、女優に20万も払ってしまってはたいして利益が出せない。
こうした点から考えると、abemaが見出しに選んだ文言の殆どが「それ悪い事じゃないだろ?」という結論になる。現状で罪とされているのは「無修正動画」という一点なのだから、何よりもそれを強く押し出さねばならないと思うのだが。
これで例えば柴原容疑者が「無修正だ」と明かさずにAVを撮っていたなんて話になったら、それはそれで叩かれて当たり前だとは思うが、現時点では「騙しがあったかどうか」は明らかになっていない。
柴原容疑者とFC2の摘発祭り
では次に、柴原容疑者が表AVの流通ではなく、ネット販売の動画でどんな作品を作っていたかに関して書いておきたいのだが、これが非常に闇が深い。
まず、報道ではFC2の名前だけが出ているけれども、実際には売り場はそこだけではなく、いくつかのサークル名で同人AV的な物も売っていた。
またFC2作品について言えば、柴原容疑者の "オハコ" は無修正の妊婦物だった。この時点で倫理面でかなりギリギリを攻めていたと分かるはず。
柴原容疑者は "吉本紳助" という名義で表AVを何本も撮っているので、どういう内容が多いか知りたい方は検索してみるといい。
そしてこの無修正妊婦物のレーベルは、とある事件がキッカケで閉じる事になってしまったと言われているのだが、それについては「ほぼそうだろう」というレベルで、100%の確証がある訳ではないので詳しくは書かない。
だが、このようなギリギリの作品が目立つ柴原容疑者ではあるが、今回の逮捕劇に作品の内容は関係ない。去年の冬頃からまたFC2を舞台とした摘発劇が激化しており、その捜査でたまたま柴原容疑者の無修正作品が引っ掛かったと考えるべきだろう。
例えばこの海自隊員が逮捕された事件は、Twitterでも拡散されていたので、覚えている方もいるだろう。この時期に、実は他に何件も「無修正動画を配信した」という容疑で逮捕者が出ているのだ。
柴原容疑者の場合は "プロ・業者" なので、他の逮捕者と同様に警察にしっぽを掴まれたものの、本数が多かったため、捜査に時間がかかったのかもしれない。
警察は「AVだから」を理由に柴原容疑者を追い回していた訳ではなく、「FC2の無修正動画で日本人が荒稼ぎしているから」捜査を続けているのである。そこを間違えてはいけない。
ちなみに「刑法175条自体がどうか」という点については、話がこじれるのでここでは触れないのであしからず。
伊藤和子らがいかに的外れだったかご理解いただけただろうか?
この事件を受けて、伊藤和子弁護士や立民塩村議員のような「AVを締め上げたくて仕方ない人々」は「ほら見たことか!」と声を挙げるかもしれないが、ちょっと待って欲しい。
キミらにそれを言う資格はない。
まず、あいつらのAV叩きに対する私の反論を読んでみて欲しい。
はじめにこの立民塩村のいい加減な認識を批判する記事をアップした。
そこから伊藤和子も参戦して来て、結果として私は「内容証明を送るから住所を教えろ」と脅迫されるに至った。
この中で私は彼女らの主張がいかに大嘘か、いかに現場の声を聞いていないか、いかに現実から剥離しているかを指摘したのだが、同時に「病巣はそこではない」と、表AVより遥かに危ない存在として、FC2系や同人AVなどの "マーケット系AV" を挙げておいた。
同時に「業界ルールが他業種ではあり得ないほど厳しい表AVを締め上げ過ぎると、よりリスクの高いアングラに人が流れてしまう」とも。
上のまとめを読めば一目瞭然だが、伊藤和子などは人権倫理機構があり、プロダクション協会などもある、表AVの業界を叩くのにムキになっていたのであり、私が指摘するネット上のマーケット(個人・同人含む)に対する言及は殆ど無いに等しかった。
そうである以上、あいつらには今回の柴原容疑者の逮捕で、鬼の首を獲ったかのように騒ぐ資格は無い。むしろ私の指摘通りになったのだから、私こそ「より現実が見えていたのはワタクシです」と誇らせていただく。
だから何度も言っただろ、ひとの話を聞けって。
表AVは業界ルールを厳しくし過ぎて食えなくなった
柴原容疑者だけではなく、表AVの業界に属しておきながら無修正作品の制作・販売もしているという人間は、実は大勢いる。昔っから何人もいる。かく言う私自身も、大昔に無修正作品を扱うサイトの運営に携わった事がある。
昔は法律も判例も間に合っておらず、「どこからどこまで」という線引があやふやだったので、気付いたら "どブラックな場所" にいたなんて事がよくあったのだ。
その後、警察の指導が度々入り、無修正は見逃してもらえないという事が分かり、そっち方面の商売に手を染める人間は少なくなったのだが、それでもゼロになった訳ではない。柴原容疑者の事件は、たまたまそのひとつがめくれてしまったという事なのだ。
ではどうしてリスクを背負ってまで無修正に手を出すのかと言えば、それは単に表AVより金になるからである。これは出演するAV女優にとっても同様で、無修正に出る方が表AVに出るよりギャラが良いのだ。
中には無修正だと教えて貰えずに出演させられた不幸な子もいるが、ギャラの良さや仕事の量につられて、自らすすんで無修正の仕事を漁っていたAV女優も大勢いる事は覚えておくべきだろう。
上の伊藤和子らとの騒動の中で口を酸っぱくして説明したが、今の表AVは業界ルールが非常に厳しく、経済的な体力のある会社じゃないとAV制作なんか出来ないような仕組みになってしまっている。
なんせAV女優を過保護にするあまり、現場の当日の朝にAV女優が「やっぱり出ません」と言い出しても、それを認めなければならなくなった。
当然その現場はバラシ(解散)になるが、出演者やスタッフへのギャラは発生する。それを誰が呑むかと言えば、実は殆どの場合メーカーが損害を背負うのだ。
プロダクションにペナルティを課してしまうと、赤字を出したくない余りにAV女優を怒ったり、強く管理しようとしてしまう。今のご時世、それをやってしまうといつ警察に垂れ込まれるか分からないので、業界としてプロダクションが暴走するような選択肢は選べないのだ。
よって、メーカー側が損害を被って、ドタキャンしたAV女優には何のお咎めもないという話になる。
またギャラの面でも数年前までは「メーカーがプロダクションにいくら払い、その内の何割がAV女優に支払われるか」は絶対の秘密とされていた。これをバラすと、拉致られてボコられるなんて事も当たり前のようにあった。
それが今や誰がいくら持って行くという数字の殆どがガラス張りにされているため、どこも酷い中抜きなどの悪さが出来ない。
このような状況なので、表AVの業界では何かあった時の資本がなければ制作など出来ないし、ブラックやグレーな手法で金をちょろまかすなんて事も非常に難しくなっているため、ただただ食えなくなってしまっているのだ。
AV女優にしたって、メーカーが大きなリスクを背負っている以上、これという子以外には中々仕事が回って来ない。もはや「カメラの前でセックスすれば誰でもお金が貰える」という業界ではない。
表AVの業界がそうなってしまった結果、誰が何をやっているのか見えづらい、無修正動画やマーケット系動画に人が流れ、隆盛を迎えているのである。
伊藤和子らは、この状況からさらに「表AVを締め上げろ」と言っているのだが、そんな事をしたらどうなるか想像できないのだろうか。
今やエロは世紀の悪法・禁酒法と全く同じ道を歩もうとしている
現状の表AVが置かれた状況を、人類史に残る悪法として名高い 『禁酒法』と照らし合わせる声が大きい。
禁酒法はアメリカの大失敗のひとつに数え上げられる法律で、簡単に言えばアルコール飲料の製造・販売などを禁じたもの。
当初は国民の健康のためだとか、労働の効率を良くするためといった目的がヨシとされ、多くの州で採用されたのだが、どのような結果になったかご存知だろうか。
ギャグ・マフィアの類が密造酒に手を染め、売りさばき、荒稼ぎをし、莫大な資金力を手に入れてしまったのである。また密造酒といってもピンキリで、粗悪な酒を飲んで命を落とす人間も続出した。
これと表AVとを比較してみると、必要以上の締め上げがなぜダメなのか理解できるはずだ。というか、禁酒法の話をされて、なお表AVの締め上げが正義だと言い張るようなヤツは、禁酒法を正しいと言い張るカルト主義者かのようである。
私が思うに、エロ業界を安全にしたいのであれば、まずやるべきは「表AVでも充分に食っていけるようにする」事だ。伊藤和子らのように「もっと締め上げろ」というのでは、警察も手に負えないほど地下に潜って、大勢の犠牲者が出るだけである。
今回の柴原容疑者は、実はまだ良心的な方で、今以上に締め上げが強化されれば、より悪質な、より凶悪な悪者が生まれてしまうと予言しておく。
本当に女性の安全を願っているならば、禁酒法の後追いだけはしてはならない。それでは無駄に被害者・犠牲者が増え続ける事にしかならない。
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