【沢木和也の終活ボツ原稿】ナンパAV撮影に絡む各種トラブルのお話
はじめに
この記事は、私が手掛けたAV男優・沢木和也氏の自伝(実質的には遺書)に文字数の都合で収録されなかったボツ原稿を一部抜粋した物です。
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今も "AV新法" で揺れるAV業界ですが、元々はどのような業界だったのか。どのような人間達が作って来たのか。そしてその業界がどのような努力によって適正AV業界へと変貌して行ったのか。正しい歴史を学びたい方にとっては貴重な資料となる述懐です。
ただし、沢木氏が死に臨んで発した言葉なので極端にウソがなく、その分ハードな内容も含まれておりますので、「事実だから仕方ない」と納得してくださる方のみお読みください(有料マガジン/月額¥500をご購入いただくと全て読み放題になります)。
なお、このシリーズ記事は沢木氏の自伝をお読みいただくと、より楽しめる内容になっております(というか読まないと何のこっちゃわかりません)。
本の印税は沢木氏のご遺族にお渡ししておりますので、興味を持っていただけましたら購入をご検討ください。
ホテルバレで賠償金……審査団体の意味は?
その他に実際に裁判になったケースだと、沖縄の日航アリビラホテルから内容証明が来たって話があったな。それは「撮影に使われた場所がウチだと分かってしまう」と訴えられて、負けて200万円くらい取られたんだ。
それを俺とメーカーとで100万円ずつ折半したんだけど、それに加えてその作品も自主回収したから大損だったよ。
でもそれって話がおかしくてさ、俺はその作品をビデ倫に審査に出して、その審査を通過したから売ったんだよ。
ホテルの女性スタッフの制服や、あちこちに書いてあるアリビラのロゴをそのまま映しちゃってて、モザイクも掛けていなかったのはこちらの落ち度かもしれないけど、でもその状態のテープをビデ倫の審査員に見せてるんだよ。問題があるならそこで指摘してくれよって思うんだよね。
ビデ倫って、審査に出すだけで審査料が数万円掛かるし、それを通ったら今度は1枚5~6円する審査済である事を証明するシールを、ビデオ1本につき1枚買ってパッケージに貼らないといけない。それをしないと大きな流通には流せないんだ。
家にAVがあったら裏を見て欲しいんだけど、小さなキラキラするシールが貼ってあるでしょう。それが審査シールなんだけど、1枚5円で計算したとして、1万本刷ったらシール代は5万円になる。ようはその作品が売れようと売れまいと、作った分だけ1本につき5円ずつ永遠にビデ倫に取られ続けるってスキームなの。
年間どれだけのAVが出ていたか分からないけど、1タイトルにつき5万円のシール代が掛かるとして、単純計算すると1,000タイトル出ればシール代だけで5,000万円にもなるんだ。
実際には1万本も売れる商品は限られるけど、その代わり発売されるタイトル数はもっと多いだろうから、下手をするとシール代だけでも億に到達していたかもしれないね。そこに審査料が加わったら、ビデ倫の収益は年間2~3億円あっておかしくない。
これって警察OBの天下りもいたビデ倫の最大の利権なんだけど、そういう団体がOKを出したから世に出した物なのに、問題が起きた時は俺個人が賠償金を被るっておかしな話だよね。じゃあ何のための審査団体で、何のための審査済シールなんだよって。
ビデ倫は後に色々とヤラかして、最終的に警察OBが全員逃げて、その後で逮捕者が出て潰れたけど、あの時はざまあみろと思ったね(笑)。
AV強要問題に通じる火種は実は大昔からあった!?
逮捕や裁判までには発展しなくても、ナンパAVの撮影をしてたら警察を呼ばれたなんて話は数え切れないくらいあったな。
世の中にはそういう撮影をしているってだけで嫌がる人がいるから、適当な理由ですぐに通報されてさ。それがいくらどうでもいい内容でも、警察からしたら市民から通報があったら現場に向かわないといけないでしょう。
そういう事情で、我々がカメラを抱えてウロチョロしているところに警察がやって来て、「話を聞かせろ」なんて事はしょっちゅうだったよ。
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