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【吉祥寺米穀店騒動の先祖】 今こそ "東村山問題" を学んで欲しい 第1話

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【東村山問題 関連記事】


米屋しばき大失敗の巻

吉祥寺にある金井米穀店というお店が、Twitterでヘイト発言をしたとして、反レイシズムを掲げる活動家のターゲットになったという一件はご存知だろう……ご存知だよね?


いわゆる「しばき隊(笑)みたいなヤツら」が米屋に押しかけて、営業妨害すれすれの迷惑行為を繰り返しているのだが、そのあまりの醜悪さからかSNSを中心に話題になり、結果として多数の同情票を集めて米屋の売上が爆上がりしているそうだ。


なおこの件については、過去に私と何度もやり合っているネトウヨ仲間(?)の田山たかし氏のnoteがおそらく最も詳しい。

私はこの騒動を耳にして、今から十数年前に深く関わることになった、とある事件を思い出してしまった。

思い出す東村山問題

近頃はあまり触れる機会がないので、noteから読み出したという方はご存知ないかもしれないが、十数年前に私が深く関わっていた 『東村山問題』 というお話がある。

これについては話が複雑すぎるので、前ブログ時代になるべく簡潔に入門書的な記事を書いたのだが、それでも長い。
しかも説明しきれていない部分も多く、前情報ナシで読んでも何が何だか分からないと思う。

なので、ここで改めて「東村山問題とはなんぞや」という部分から語り直し、吉祥寺のお米屋さんのお話へと繋げたいと思う。

実はこの話、今SNSなどを中心に盛り上がっている色々なネタの元祖的な存在なので、夏休みの暇つぶしに、ぜひじっくりと腰を据えて読んでいただきたい。

先に言っておきますが長いです。


民主主義・選挙制度の敗北『議席譲渡事件』

1995年、東村山市でとある大問題が立て続けに発生した。

「私が十数年前に関わっていた」という前置きで始まった話なのに、なぜか話が30年前に飛んでしまう事をお詫びするが、どうしても95年から語っていかないといけないのでお付き合い願いたい。

さて、1995年4月に東村山市議会議員選挙があり、地元の名士的存在である朝木明代と、その娘の朝木直子が当選した。この2人は『草の根市民クラブ(以下草の根)』という会派として活動していたのだが、この会派からもうひとり出馬していた男がいる。それが次点で落選した矢野穂積だ。

この選挙結果が出たのが4月23日。その3日後の4月26日に、日本の選挙制度を揺るがす大事件が起きる。なんと当選した朝木直子が東村山市から千葉県の松戸市に転居届けを出し、その上で「私は東村山に生活実態がない。よって次点の矢野穂積を繰り上げ当選させて欲しい」と言い出したのだ。

これを受けて何度か選挙会が流会し、3度目になってやっと矢野穂積の繰り上げ当選が決定する。選挙から丸一ヶ月が経った5月21日のことだ。

これが世にいう『東村山・議席譲渡事件』である。

結論から申し上げるが、この矢野の繰り上げ当選については揉めに揉め、東村山を飛び出して全国区の大問題となり、1997年8月に最高裁で「矢野の当選は無効である」という判決がくだされた。

また同年9月には選挙会によって、「朝木直子の議席取得も認めず」という結論が出た。

※ この件については、少々問題のある人間(裁判所にも認定されたほどの濫訴魔)が関わっており、何十件と裁判が起きているため下手なことが言えないのだが、過去の判例から「ここまでなら言っても大丈夫」という線で話をさせていただく

どうして朝木直子はわざわざ選挙結果が明らかになった後に松戸に転居したのか。これには草の根としての野心が深く関わっていたと思う。

草の根は、結局のところ東村山の名士的存在であった朝木明代ひとりの人気でもっていた。それを何とか2議席3議席と拡大させたいという野心に取り憑かれた人間が、こんな絵を描いたのだろうと推測できる。

--以下荒井の妄想--
「人気者の明代の娘である直子ならば、今後も何度も政治家になるチャンスはあるだろう。しかし当時から不人気だった矢野穂積はここで落選してしまったら後がない。ならば直子に変わって矢野を当選させ、政治家として名前を売り、次の地方選で3議席取得を目指そう」

そして直子は慌てて松戸市に転居届を出し、自ら市議会議員の資格を失くすという強引な手法で、矢野穂積を東村山市議にすることに成功したのである(2年後に全否定されたけど)。


朝木明代、万引き発覚を苦に自殺

この議席譲渡事件が起きた1995年の9月。朝木明代が駅前ビルから飛び降りて自殺した。

4月に発生した議席譲渡事件は大騒動となり、朝木明代にも非難の声が浴びせられるようになった。当時を知る市民に取材したところ、議席譲渡事件が大きな騒ぎになった後あたりから、明代の言動がおかしいという声を頻繁に聞くようになったそうで、遂には6月19日に明代が駅前のブティックで万引きをし、逃走するという事件が発生する。

この "駅前ブティック" の話はよく覚えておいて欲しい。

ブティック店主は以前にも "市議の明代らしきどこかで見た人間" に万引き被害を受けていたようで、最初から怪しいと見張っていたそうなのだが、案の定再度商品に手を出したため、店外まで追いかけて声をかけたところ、明代はTシャツを落として逃げ去った。

ブティック店主は、その光景を目撃していた人間らと相談の末に、東村山署に被害届を提出。これによって朝木明代に対する捜査が始まった。

警察による事情聴取は95年6月30日から始まり、以降7月12日までに3回の取り調べが行われた。
通常は万引き未遂程度ならば大事にはならないはずなのだが、朝木明代や矢野穂積は取り調べで偽証を連発。あまりにも悪質と判断され、本気になった警察はファミレス(びっくりドンキー)のレジジャーナルを全確認するといった荒業に出て、アリバイ工作の殆ど全てを失敗させる。

その結果、明代は調書へのサインを拒絶し、東村山署は特に悪質と看做して「万引き未遂で書類送検」という結論に至る。

話が前後して申し訳ないが、私はこの捜査に責任者として関わった当時東村山署副署長だった千葉氏に取材をしているのだが、千葉氏は万引事件発生後の明代や矢野についてこう話していた。

「あいつらはとにかく悪質で、万引き事件の捜査が始まってからも何度もブティックを訪れて女性店主を脅しかけるような真似をしていた。それにアリバイ工作も全部デタラメと分かったし、こっちだって万引き未遂程度で大騒ぎしたくないけど、書類送検するしかなかった。検察でも明代が罪を認めたら不起訴、認めなかったら起訴しようと決めていたんだ。それくらい悪質だった」と。

そして検察庁八王子支部への出頭日が9月5日と決まったのだが、その直前の9月1日の夜、朝木明代は東村山駅前のビルから飛び降りて亡くなった。


参考リンク
※ 当時の詳しい話を知りたければこれらのサイトをご参照ください


草の根、捜査協力を拒否し創価陰謀説を流布

そろそろ「いつ吉祥寺の米屋が出てくるんだ?」と思う人が現れると思うが、先に言ったでしょうが「長くなる」って。

ただ、着実にゴールには進んでいるので、お付き合いくださる方のみ読み続けてください。3行にまとめるのは無理です。

さてさて、朝木明代の自殺という大きな事件が起きた直後の草の根の動きは非常におかしなものだった。前述の当時の東村山警察署副署長だった千葉氏いわく、矢野穂積や朝木直子らは捜査協力を拒否し、その代わり独自に記者会見を開くなどして、「明代は創価学会に殺された」と言い出した。

また、アンチ創価で知られるライターらと組み「東村山で女性市議が創価学会に殺された!」という陰謀論を様々なメディアを通じてばら撒いた。これが「東村山女性市議怪死事件」という陰謀論(=デマ)の誕生である。

なぜ創価学会の名前を持ち出したのかというと、理由は色々とあるだろうが、嫌われ者の創価学会の名前を出せば、アンチ創価の人間が味方してくれると考えたのであろう。まずこれがひとつ。

次に、草の根は生前に公明党系の地方議員と揉めており、それを理由に「創価と戦う草の根」をアピールしていた。推測だが、このような細切れのパーツをいくつか組み合わせれば、何となく真実味のありそうな絵が描けると踏んだのであろう。

事実、公明党の勢力拡大を防ぎたい政治家やメディアなどが草の根のデマに嬉々として飛びついた。その中には亀井静香までいたのだから笑えない。
草の根が描いたであろう「創価の名前を持ち出して話をグダグダにして誤魔化す」という作戦は、ある時期までは大成功だったのだ。

ところが、警察の捜査ではどう調べても明代が誰かと争った形跡が見付からず、また数々の裁判で矢野ら草の根が「これが他殺の証拠」とした物の殆どが否定された。当然、創価学会の関与の証拠など一切出て来なかった。
そうした判決の何件かは最高裁まで行った上での結論なので、いまさら何をどうしたって覆らない。

[数々の裁判の例]
・明代が万引きしたブティックを創価工作員認定し、万引事件をでっち上げたと訴えた → 完全敗訴
・逆にブティック店主に訴え返された → 当然草の根の完全敗訴
・たまたま矢野が居酒屋に居合わせた少年を「あいつは創価工作員だ」と訴えた → 最高裁まで突き合わせた末に完全敗訴
・逆に創価学会に名誉毀損で訴えられた → 言い訳ができる訳ないので当たり前のように完全敗訴
・明代が自殺した際に駆けつけた救急隊員を「創価の工作員だ、適切な処置をせず見殺しにした」と訴えた → 言うのもバカらしくなって来たけど完全敗訴

https://ameblo.jp/oharan/entry-10134923028.html
※草の根に絡む主要な裁判の概要と結果はこちらにまとめてあります

このように、草の根は創価学会をはじめとして、多くの裁判で色々な立場の人間を相手に完敗し続けたため、当初使っていた「創価学会による暗殺」という文言を二度と使えなくなった。

なぜこうまでして訴えるかと言えば、そこまですると普通の感覚を持った人間は「もしかしたら本当かも」と考えるからであろう。また問い詰められても「訴えている間は事実か否か分からない」いわゆる「係争中である」と逃げられるということも考えられる。

いわゆる「ウソを上塗りする」というのはこういうことである。

先程私は「この件は訴えて来るヤツがいるので書き方が難しい」と書いたが、草の根は「朝木明代は議席譲渡事件や万引事件を苦に自殺した」とライターが何かに書きでもすれば、即座に訴えて来るような連中だった。

ところが、これも数々の判例で「朝木明代が議席譲渡事件や万引き事件を苦に自殺したと考えるのは仕方がない。そう思うに足りる相当な理由がある」と認めているので、草の根はこれを理由に訴えるということも出来なくなった。

だからこそ、ヤツらは今となっては「朝木明代は他殺である」としか言えなくなっている。そこまでならば裁判所も「遺族(朝木直子ら)の心情を考えれば、そう思いたい気持ちは分かる」と言ってくれたからだ。

ただし「明代は他殺だ」と言おうものなら、何十ページという判決文のコピーを突きつけられて否定されることは言うまでもない。あくまで「遺族が自殺を信じたくない気持ちは分かるよ」という程度の話である。

このような長い時間と数々の判例が積み重なったことにより、一昔前は陰謀論・都市伝説系ムック本のレギュラー選手だった「東村山女性市議暗殺事件」というネタは、よほどマヌケな出版社(もしくは素人ブロガー)でもない限り、手を出さない地雷物件と化した。


私はそもそも、とある事情で知人を助けるために東村山問題にクビを突っ込んだのだが、結果としてそれが草の根による陰謀論へのトドメになったようだ。

当時の私のブログには、モンスターサイト(二階堂ドットコムや探偵ファイルなど)からの読者の流入があり、日のPV数が数万件という規模だった。
ついでに言えば "ネトウヨ第1世代" と呼ばれるような立場で、大の創価嫌い。

そんな私が「反草の根」として参戦したことで、検索エンジンで「東村山 市議 怪死」などと調べると、まず私の記事がズラっと引っ掛かるという状況になってしまったのだ。

さすがにこれでは陰謀論に興味を持っても引っ掛かってくれるひとは少ない。だってネットで調べようと思ったら、いきなり私が書いた否定的な答えばかり出て来るんだもの。

ようは光が当たらなければ幽霊も存在できるが、いちど強く光が当たって暗がりがなくなってしまえば、幽霊はそこには存在できなくなる。
「東村山女性市議 創価暗殺事件」というデマに対してそれが起き、ひとつの都市伝説(陰謀論)がこの世からキレイに消え去ったのである。

ところがどっこい、全てが解決したかに見えた2008年の夏に、維新政党・新風という極右政党(議席獲得経験ナシ)の副代表だった瀬戸弘幸が、反創価というワンイシュー(?)で東村山問題に参戦。

これによって、今回の吉祥寺米屋騒動とそっくりな、直系の先祖とも呼べる大事件が発生してしまったのである。

(続)

※ 本文ここまで
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