ひとり親がコロナに罹ると子どもたちはどうなるのか?
ついに我が家にも新型コロナウイルス(以下、コロナ)がやってきました。子どもが連れてきて、あっという間に家族全員で罹患。幸い重症化はしませんでしたが、ひとり親家庭として感じたことがいくつかありました。
子どもから始まった家庭内感染
我が家の場合は、ある朝、次男が頭痛を訴えたことからスタートしました。次男はどちらかと言えばインドア派で、日ごろから家族の中で一番外出をしません。そんな彼と春休みの外出をしたのが、症状が始まる3日前。その日に感染したのは間違いないようです。そこから、2日後に三男が発熱。さらにその3日後に長男と私が喉の痛みと微熱を発症という流れで家庭内感染しました。
宿泊療養施設に入れるのは感染者だけ
我が家には頼れる身内がいないので、一番心配になったのは、「もしこのまま私が重症化したら、子どもたちはどうなるのか」ということでした。
確認をしたところ、東京都ではその場合、子どもも陽性であれば母親と一緒に宿泊療養施設に入ることができるそうです。しかし、陰性の場合は入ることができません。「お母さんだけが陽性の場合は、お子さんたちはどなたかに預けて来てください」とのことでした。
預ける先がないから聞いているわけですが、決まっていることなのでどうにもならないとのこと。
我が家のケースでいえば、子どもから感染しているので、全員で宿泊療養施設に入ることができますが、私の具合の程度に関わらず、常に子どもが一緒であることに変わりはありません。また、これが小さな子どもであった場合の親の負担は計り知れないものがあります。
ひとり親世帯の現実的な選択肢は自宅療養のみ
そうなると、ひとり親世帯の現実的な選択肢は、自宅療養です(実際私自身も宿泊療養については全く検討しませんでした)。あとは、家庭内感染をできるだけ防ぐ、ということしかないようです。
私の場合はかかりつけ医が毎日電話を下さり、何かあれば相談できる状態ではありました。しかし、万が一のことがあっても子どもたちの行方は宙ぶらりんです。
児童相談所による保護
更に調べてみると、令和2年時点の厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課による通達では、子どもたちの行方は児童相談所に委ねられるようです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000624907.pdf
ここでも最初に上がってくるキーワードは、「自宅」や「親族」であり、日本の根強い家族主義を見てとることができます。
多くの友人に助けられたけれど
私は、仕事や子どもの習い事などの調整が必要だったので、それぞれ利用しているSNSで、率直に我が家の状況を伝えました。SOSを発信したことで、色々な方の気に留めていただくことができました。結果として食材をいただいたり、お隣の部屋の方にはすぐ必要なものをお願いできるようになったりと、多くの方に助けていただくことができ、とても助かりました。
この受援力(支援を受ける力)も、今の時代には重要なスキルであると思います。しかし一方で、私のように声を上げることが苦手であったり、地縁の薄いひとり親家庭もあります。そうした方こそ、今この時も困っているのではないかと布団の中で考えていました。
一つには、行政で受けられる支援を確認し、必要に応じて確実に利用することが挙げられます。一例ですが、東京都には下記のような支援があります。
他には、さまざまなひとり親支援をされている団体も多くあり、こうした場所にSOSを出すこともできます。
また、周囲がそうした家庭の存在に気づいていれば、折を見て声をかけることも大切だと思います。
もちろん、私自身もどこからのSOSでも、できる限り対応をします。
私たちは、助けたり助けられたりしあう関係
今回、痛感したことは私たちは、助けたり助けられたりしあう関係だということです。うまくいっている時や、少し余裕のある時に、ほんの少しかけていた相手への思いが、ピンチの時には返ってくるのだなあ、と。この感謝をまた次の機会に相手の方へ返したり、違う方へ渡したりという「思いやり=共助」に非常に助けられました。皆さんが本当に優しかった。
自助・共助を支える公助のあり方
もう一つ感じたことは、コロナの当初から懸念されていたひとり親家庭の子どもたちの行方については、知る限り明確な対応が未だになされていないようです。福祉があまりにも家族主義に寄りすぎていると、DVによる離別であっても元配偶者に連絡がいってしまう、リスクの高い高齢の祖父母が孫の面倒を見る、頼れる先が一切ないので完全に孤立するなど、コロナとは違う意味で、それぞれの命に関わる事態に陥るのではないかと懸念しています。
ひとり親家庭に限らず、コロナによって一時的に子どもの養育が難しくなる親は多く存在するはずです。地域の方や友人たちとの自助・共助の力は偉大で尊いものでが、長引くコロナ禍の中で、どのように公助として子どもを守るのかという点についても引き続き議論を深めてほしいと、今回の経験を通じて改めて考えました。
私自身もひとり親として、研究者として、今回の気づきを整理して、自治体や国、社会に伝えていきたいと思います。
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