もしも働く母親から「晩ごはんづくり」がなくなったら?
「仕事を持つ母親は、家事・育児と両立できるのか?」
自分が母親になって、本格的に仕事を始めて悩み続けている一番のテーマはこれ。家事を優先すれば、仕事はままならない。仕事を優先すれば、子どもとの距離ができる。
一体どうしたら家事と育児(=ケア)と仕事は両立するの? といつも叫び出したくなります。
ケアと仕事を両立させる手段
ケアと仕事の両立について考え続けた結果、どうやったら子どもを持つ女性は望むように働けるのか? に対する最初の答えは、「在宅で働くことかなぁ?」「フリーランスかなぁ?」でした。
ケアと仕事を両立させるには、「仕事の裁量を持ってコントロールできればいいんじゃないかな!」ということですね。実際に、自分も7年間はフリーランスとして仕事をしてきました。
フリーランスのシングルマザーが抱えるリスク
確かに、この働き方は時間の融通が効くので、物理的にケアのコントロールはしやすい。でもその一方でリスクも高い。
まず日本の社会では、まだまだフリーランスに対する社会的信頼度が低いですよね。例えば、家を借りる時がとっても大変です。毎回、四苦八苦して借りています(フリーランスでシングルマザーで男の子三人は賃貸を断られることが日常茶飯事)。
また、仕事に波があって、やっぱり子どもそっちのけで仕事をしなければいけない時や収入が安定しないこともあります。本業だけでなく、経営感覚も持たなければいけないので、ケアと仕事の両立にこの働き方がベスト! とは言い切れないというのが正直な思いです。
働く母親のケアは誰が担うのか
結果的に、社会的信頼や収入の安定という点では正社員として働いた方がいいのかな? と思うようになりました(今の時点では。社会の変化に合わせて考え方が変わる可能性も十分にあります)。
では、日本の社会で正社員として働き、給与も安定させ、やりたい仕事をやる時に、ケアはどうなるか。
おそらく満足いく形での両立は無理。常に時間に追われるし、そのバタバタの余波が子どもにいく。そのことに働く母親はやっぱり胸を痛めるだろう、と。
もしも働く母親から「晩ごはんづくり」がなくなったら?
「それなら、働く母親の『1日の中での最大のケア労働=晩ごはんづくり』を代わりにやろう!」と考え始めたのが去年の夏。
「1日の中での最大」はちょっと言い過ぎでしょうか? でも、仕事をした後に、ぐずる子どもを抱えて買い物をしたり、食事の支度をしたり、寝かしつけ後に食器の片付けをしたり……これがどれほど大変かは、身に沁みています。この夜の2~3時間を肩代わりしてあげることができれば、少しだけでも母親が働きやすくなるのでは? と思ったのです。
親子のための晩ごはん「ルー飯」ができるまで
最初は、みんなで晩ごはんを一緒に食べられる、シングルマザーやひとり親、子育てファミリー・フレンドリーなコレクティブハウスを作りたいと思っていました(コレクティブハウスの話はまた次回)。でも、まずその前に、実際に町の中に晩ごはんを食べたり、買ったりできる場所を開いてみようと思うようになったのが去年の暮れ。
そして、2023年2月13日に、「ルー飯(ルーハン)」という定食と惣菜を提供するサービスを世田谷区の梅ヶ丘駅前でスタートさせました。私たち「ルータス」がつくる「ご飯」だから「ルー飯」。
コンセプトはそのままズバリ「親子のための晩ごはん」です。
ルー飯の使い方
ルー飯は毎週月曜日・水曜日の14~20時に営業しています。仕事帰りに寄っていただければ、その場で定食を食べたり、惣菜を持って帰ったりすることができます。献立は日替わりで、定食は親子で食べられる「親子セット」というものもあります。
子どもが、仕事帰りのお母さんを待つ待ち合わせ場所として使っていただいてもいいし、先に子どもだけでご飯を食べてもらってもいい。働く母親がちょっと頼れる場所。そんな風に使っていただけたらいいな、と考えています。
国際女性デーに寄せて、思うこと
今日は3月8日。国際女性デーです。
私が思うのは、それぞれの考え方や生き方が尊重されて、「できないことや、苦しいこと」を個人の問題とせずに、社会の中に還元してみんなで考えて行けたらいいな、ということです。
「母親がご飯をつくって子どもに食べさせること」も、これまでは当たり前とされてきたけれど、それは本当に1人の女性が担わなければいけないことなのか? そういうことを、今日また皆さんと一緒に考えられればいいなと思っています。
まだまだ、課題はあるけれど、走り出した「ルー飯」が、少しでも多くの親子を応援する場所になれば嬉しいです!
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