食べものと記憶
ゲストハウスに、無人のお菓子屋さんコーナーができた。
そこで、いくつかお菓子を買ってくれたご婦人に、
「たくさんありがとうございます」と伝えたら
「孫が来るけん、お菓子買っておかなきゃいけないのよ〜」
はにかんだ、嬉しそうな横顔。
その横顔を見て記憶が浮かんできた。
ばあちゃん家の、食器棚の左下。
「ば〜ちゃん、お菓子ある〜〜???」
聞いたらなぜか嬉しそうに、
「ハイハイ」とお菓子を出してくれるおばあちゃん。
出て来るのは、明らかおばあちゃんの好きな、甘いおせんべい。笑
今日、とっても美味しいもろこしをかじりながら、
また浮かんできた、記憶。
夏のおやつは、かなちゃんが好きだから、と
ばあちゃん家の畑でとれたとうもろこしを、たくさん湯がいてくれた。
秋のおやつは、かなちゃんが好きだから、と
ばあちゃん家の畑でとれたさつまいもを、焼き芋にして持たせてくれた。
ちゃんとその時、私はありったけの気持ちでお礼を言えてただろうか。
その時の当たり前が、懐かしく、甘い甘い記憶になる前に。
この前両親に会った時に、出てきたのは、
やっぱり湯がいたとうもろこし、そしてすもも。
好きなものを覚えててくれる人がいる。
甘い甘い食べものの記憶。