人見知り美大生、家で世界と繋がってみた。
英語の課題を終えるために、翻訳サイトを利用しながらひたすらアルファベットを打ち込んでゆく。
もはや作業。
受験生の時には、必死に勉強したのに今ではアルファベットの羅列を見ただけでも酔いそうになる。
本当は知っている。翻訳サイトに頼っても自分の身にはならないこと。
以前読んだ「20代にしておきたい17のこと」
(だいわ文庫 本田健著)
印象に残ったのは、[異文化に触れる旅に出る]という章だ。
「だから、それができねーんだよ!」
心の中でツッコミを入れる。
大学生になれば、必然的に何かが変わると思っていた。きらきらした恋愛に互いを高め合える仲間。
漠然と時間だけが過ぎていくことへの不安と焦りが募り、人とのつながりを求める一心でとりつかれたようにボランティアサイトへとんだ。
【世界中の人と交流できる!】日本と世界をつなげるプロジェクト新規メンバー募集!
このコロナ禍で日本人とも繋がれないのに世界とつながれるのか…?自分の頭の中に浮かんだ矛盾を解明すべくクリックをした。
そこには画面いっぱいに広がるピースをするひとたち。それぞれ肌の色は違う。でも彼らの表情は一様に楽しそうだった。
私が英語で話せる言葉は「ナイス トゥ ミーチュー!!!」しかない。
言葉に詰まって笑われてしまうだろうか
聞き取れなくて困らせてしまうだろうか
迷いと不安が行ったり来たり、頭の中に溢れてくる。
けれど、少しだけこの人たちのことを信じられるような気がしたのだ。
私のちっぽけな不安も一足飛びに超えてしまうような、そんな出逢いに心が躍ったから。
かいた人 だるま