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連載15 第三集 4~6月編 『キューちゃんのおかお わんわんみたい』あきとまさきのおはなしのアルバム '89


四・五・六月

あき 四才五か月~七か月

まさき 二才七か月~九か月


【写真・第三集の表紙】

#167 大きくなったら


あき 「おじいちゃんて スゴイなあ。やねに のぼって、テレビ なおしちゃったんだよ。あきも おおきくなったら、なんでも なおす ひとに なるよ。テレビだって くるまだって なおしちゃうんだ」
まさき 「マサチも オオチク なるよ。オオチク なったら、トンポに なる!」

#168 春いっぱい


あき 「まさき、ささだよ。いっぱい ポケットに いれるんだぞ。ばあちゃんに ささぶね つくって もらうんだからな」
まさき 「ばあちゃん、つくって くれる?いっぱい いっぱい」
あき 「あっ、こっちは タンポポだ。まさき、くきを ながーく とるんだぞ。コップに いれるんだから」
まさき 「はーい。タンポポ いっぱい いっぱい」
あき、笹藪を進みながら 「まさきー、しろい おはなが いっぱい さいてるぞー。こいよー、おはなみしよう!」
まさき 「おはなみー?いっぱい いっぱーい」

#169 オネチョできたヨ


まさきに、夜だけさせていたオムツをやめてみた。さて、翌朝…
まさき 「あれ?これ オネチョ?」
私、シーツにさわって 「あーあ、ほんと」
まさき 「ワーイ!まさき、オネチョ できたヨー!おにいちゃんと おんなじ おんなじ。ヤッター!」

#170 お米


まさきが、玄関一面にお米をまき散らすいたずらをした。
あき 「ああ、もう とれないよ。こう なったら、いえを さかさまに して とるしか ないね」

#171 花の好きな子


私 「あきは、お花が好きね」
あき 「そうだよ。でも、どうしてかな?」
私 「あきが赤ちゃんの頃は、まだキューちゃんがいなくて、どこへも行けなかったの。でも、おじいちゃんたちが、あきとおかあさんのために、お庭にいっぱい草花を植えてくれたから、おかあさんは、いつもあきをだっこして、お花を見て過ごしていたの」
あき 「そういうの、クセって いうんでしょ?あきの ユウタロウくんも、おはなが すきだヨ。きれいな おはな みると、おかあさんに もってって あげたく なる クセが あるんだって。あきと おんなじだネ」

#172 長野国際博


広い込みあった会場で、帰りがけにあきがいなくなり、車椅子の友人達が、手分けして捜してくださった。
私 「あきは、こんなこと一度もなかったのに」
由美子さん(車椅子のおかあさん) 「自立への第一歩かもよ」
それでも、なかなか見つからないので、心配になって来た。その時、
由美子さん 「あっ、あきが来た来た!ニッコニッコしてるよ。やっぱり」
あき、頭から私にぶつかって 「お か あ さーん!しんぱいした?」
私 「あったりまえでしょ!」
あき 「あき、アンパンマン みに いったの。ひとりで いって これたヨ。あき、ちゃーんと かえりかた しってたんだもん。ああ、おもしろかった。エヘヘ…」

#173 母親参観日


幼稚園で参観日に、親子でペーパーフラワーのカーネーションを作ることになった。ところが、親が手伝うはずのところが、私にはなかなかできない。
あき 「あっ、そうそう。おかあさん、じょうずだね。あと あきが やる」
その頃、すでに他の皆さんは、できあがっておられた様子。
由美子先生 「あきちゃん、どう?先生、お手伝いしましょうか?」
あきは、首を横に振ったらしい。
由美子先生 「そうなの。あきちゃん、頑張ってね」
それからあきは、皆さんに待って頂いて、最後まで自分で作ることができた。手作りの花瓶に、開きかけたつぼみのようなカーネーションをさして、私の掌に載せてくれた。
あき 「できた!おかあさんに プレゼント」

#174 ジグソーパズル


あき 「あさちゃん、ずっと いれば いいのにさ。おかあさん、できないんだもん。ゼーンゼン つまんなく なっちゃった。ウワーン!」
私は、放っておけない気がして、夫とふたり、夜中までかかって、ジグソーパズルの100ピース全部に点字をつけて、練習した。数日後…
あき 「できた!おかあさん、あき、こんど ひとりで できたヨ。さわって。おかあさんみたいに できたでしょ?あき、じまんして いい?」

#175 おとうさんの仕事


まさき 「トータン、おもたーい おしごとだねぇ。ヨーッコラチョ ドーッコイチョって、おもたーい おしごとだねえ」

#176 サバ缶


まさき 「オタカナ でて くる?おおきな オタカナ でて くる?スーッスーッて およぐ?」

#177 戦争ごっこ


まさき 「ニイターン、こうえん いこうヨオ」
あき 「まさき、また スナとか ミズとか、いっぱい かけられるゾ」
そう言えば、昨日はふたりとも、頭からみごとにずぶ濡れになって帰って来た。
まさき、ちょっと考えてから 「こんどアネー、ぼうし もってー、かさ もってー、てっぽう もってく」
まさきは、言うが早いか、すっかり防具を身につけた。
まさき 「オーイ あきー、いくドー!」

#178 父親参観日


私 「あき、何してるの?ごきげんじゃない」
あき 「あったりまえじゃん。ちちのひだヨ。ちちおやさんかんびだヨ。あきね、おとうさんの くるま、あらってんの。くるまも おめでとうって」

#179 キューちゃんの おかお


まさきが、「ねっ、キューちゃん」と呼びかける度、キュリーがゆったりとしっぽを振る音がする。
まさき、キュリーに鼻をくっつけるようにして 「キューちゃんの おかお、なんで くろいの?キューちゃんの おかお ワンワンみたい。ウフフ…」

#180 中耳炎


耳の治療は痛むらしい。まさきが悲鳴をあげる度、私も胸が痛む。
お医者さん 「はい、おしまい。耳は、すっかり良くなりましたよ」
私 「えっ、本当ですか?」
お医者さん 「はい、本当です」
私 「ああ、よかったー。ありがとうございました」
薬局でも、
薬剤師さん 「坊や、治ってよかったなあ。えらい泣いた甲斐があったじゃないか。そうだ、おじさんがお祝いに、風船をふくらましてやろうか」
まさき 「ああ、よかった!ああ、よかった!ああ、よかった!…」
まさきは歌うように言いながら、両手に風船を持って、舗道をピョンピョン跳ねて行く。私も、思わずスキップ。キュリーの足どりも軽い。

(連載16へ続く)

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