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連載9 第二集 4~6月編 『かみさま きょうも おひさまを つけてくれてありがとう』あきとまさきのおはなしのアルバム '88 


【写真・第2集の表紙】

四・五・六月
あき 三才五か月~七か月
まさき 一才七か月~九か月

#93 シロツメクサ


あきとまさき、シロツメクサをたくさん摘んで、私の髪に飾る。
あき 「おかあさん、うんと うんと きれい。おとうさんにも みせたら どう?」
私 「おとうさん、おかあさん きれいだよって、言ってくれるかな?」
あき 「うんうん、いって くれるよ。いって くれるよ」

#94 通園第一日目


朝からあきは、緊張しきっていた。おんぶして昔話をしながら、なんとかバス停までは、たどりついたものの、あきは、私のセーターに頭をつっこんだまま。
バス、キー バターン
あき 「おかあさーん!おかあさーん!」
先生 「バス、面白いわよ。さあさ、乗ってみましょう」
やさしく抱きあげてくださったようす。
あき 「ウワーン!!」ただひとり、ありったけの声で泣き叫ぶ。
私は、心配で顔がクシャクシャ。下を向いたまま帰る。ところが、お昼には…
バス、キー バターン
あき 「かあさん かあさん、あき、おもしろかったよ!あき、ねんど やったの。ヘビ、つくったんだヨ。そいでね、おおきな つみきで おうちも つくったんだ。ああ、ほんとうに おもしろかった」
おかあさんや、おばあちゃんがた 「あき君、よかったねえ」
あき 「うん!」
そして夜。
あき 「あき、え かいたよ。これ、おかあさんに あげる」
私 「ありがとう。なんの絵かしら?」
あき 「エベレスト。あした、あきが ようちえんに いってる とき、おかあさん、これ もって まってろよ。そしたら かあさん、さびしく ないでしょ」

#95 はじめまして、陽気な仲間たち


祖父が、子供達のために、十二羽のチャボを飼ってくれることになった。そして、待ちに待った対面の日。
あき 「トーリちゃん、トーリちゃん」
まさき 「オー オー タン、オー オー タン」
かかとを上げ下げして、全身で調子をとりながら、呼ぶ。
チャボたち一斉に「オコココココ オコココココ…」
あき 「ヤア、みんな、わらってる わらってる。ワッハッハッハ…」
そう思って聞くと、ほんとうに朗らかに笑っているように聞こえるチャボたちの声。私も、まさきも笑いだす。
チャボたち 「オコココココ オコココココ…」
三人 「ギャハハハハ…」
つられて笑ううちに、なお愉快になって、三人と十二羽で、笑いころげてしまった。

#96 産みたて卵第一号


あき 「おじいちゃん、おかえりなさーい」
まさき 「ジータン ジータン」
おじいちゃん 「ほうらっ」 掌を開いて見せてくれたらしい。
あき 「ワア、タマゴだ!ヤッタ ヤッター!」
まさき 「マゴー マゴー!」
しばらくして、
私 「あきー、まさきー、かわいいゆで卵、できたわよ。ちっちゃいけど、ハンブンコね」
まさき 「ウンマー!」
あき 「ワアイ、あったかいなあ。まちじゅうが ホッカホカに なりそう。ンー、おいしい!」


【写真 あきとまさきとおかあさんの絵】
[写真の説明 おかあさんが前で後ろに2人。3人の顔です。おかあさんは口紅をつけているみたいです。右耳の側に髪がまとめてあります。あと1人は髪が短いです。
幼稚園であき君が制作したおかあさんへのプレゼント]

#97 和子先生へのお手紙


私 「はい、タイプの用意は、いいわよ。なんて書くの?」
あき 「あのね、あきは、かずこせんせいが すきです。ゆうたろうくんと はるきくんと りょうすけくんと みきちゃんと みなちゃんと かずひろくんと けんすけくんと あいちゃんと せいこちゃんと ゆきのりくんと みのるくんと ゆうたろうくんと かずこせんせいが すきです。あきは、おともだちが すきです。『あきは、ようちえんが、だいすきです』も かいといてネ」

#98 ふきながしは高所恐怖症


あき 「ふきながし、ぼうんとこ しがみっついてるヨ。いちばん たかい とこに いるから、おっかないんだよネ」

#99 お月様、つれしょんしましょ


あき 「あき、おしっこして くるー」
玄関のあく音。
私 「こら、あき、トイレでなさい」
あき 「やーだよーだ」
庭先でシャーッと気持ちよさそうな音。
あき 「かあさーん、まんまるの おつきさまだよー。ああ、うつくしい」

#100 せせらぎ


まさき、草の上に腹ばいになって、小川のせせらぎを見ている。黙って見ている。いつまでも見ている。
私 「マチャキ、もう帰ろうか?」
まさき 「もっとー もっとー」
だいぶたってから…
私 「ねえ、マチャキ、もういいでしょ?」
まさき 「もっとー もっとー」
私 「そうかあ…」
私も、草の上に腰をおろした。小石を積んだり、草の葉を水にひたしたりしながら、仕事を終えた父たちのトラックが、そろってこの道を通りかかるまで、ゆっくりと時が過ぎた。


【写真 まさき君がかいた絵】
なっとう
「ウマウマ モグモグモグ」
私「マサキ本当によく食べるね。エライエライ」
〔写真の説明 星のように2つ描かれています〕


#101 薫ちゃんのお家で


みんなで絵を描いた。薫ちゃんは、蝶々の絵。あきは、公園に子供達のいる絵。まさきは、クレヨンをたてて、トントンと、ひたすら点をうっている様子。
朝ちゃん 「まさき君は、何を描いたのかな?」
まさき、自信をもって 「ナットー」
朝ちゃん 「ナットー?あっ、ほんと。納豆だわ」
みんなで、まさきの傑作をのぞきこんで、ほほえみあう。
まさき 「ナットー ナットー」言いながら、何枚も、力一杯、納豆の絵を描いた。

#102 ドロンコまさき


あきと私、祖父が作っておいてくれた砂山の斜面に、スコップで、大きな川と、ダムとを作った。
私 「できたネ。みんなで水を流してみようか」
あき 「あき、ながすヨ。セーノー、ザザザザー」
水は、勢いよく川を下って、ダムにたまったらしい。
あき 「まさきー、まさきも みず ながして ごらん。おもしろいヨー」
まさき 「オー!エッチョ エッチョ」
まさき、砂山を登って来たかと思うと、ズズズーッと滑り落ちる音。
まさき 「キャッキャッ」
あき 「アーア、まさき、かわを すべりだいと まちがえちゃったヨ」
私 「ワア、たいへん」
私が走り降りてみると、まさきが水たまりに尻もちをついて、キョトンとしている。寝そべって気持ちよく滑ったらしく、髪の毛から、長靴の中まで、ドロンコのドロまみれ。

#103 点滴


私 「あき、風邪ひいて苦労しちゃったね。でも、注射したり、点滴したり、いっぱい我慢したから、治った時は、うんと強くなってるよ」
あき 「あき、がまんづよく なる?がまんしたら、やまんばの いる おやまに、きれいな はな、ひとっつ さくんだよネ」

#104 救助隊、出動ダ


まさき、坂の上から石をころがして、おいかけては遊んでいた。ところが、調子にのりすぎて、石と一緒に畑へころがり落ちてしまった。
まさき 「アーン!にいたーん、キテオー!」
あき 「おかあさんは、ここに まってろ。まさきー、いま いって やるからなー!」
あきは、庭から飛びだして行った。まさきを引きあげて、なぐさめてくれている様子。しばらくして…。
あき 「おかあさん、まさき つれて きたよ」
私 「ありがとう」
私は、まず、あきを褒めようと、あきの方へ手を伸ばした。するとあきは、その両手をとって、まさきの肩に載せながら
あき 「ホラッ、まさき けが なかったヨ。よかったネエ」

#105 神様、お日様をありがとう


あき、祈っている私の横に座って 「あきも かみさまと、おはなしするヨ」
あき、しばらく考えてから、静かに 「かみさま、きょうも オヒサマを つけて くれて、ありがとう」

#106 梅雨


あき 「あめ、ズーッと つづいてるねえ。どこまでも どこまでも つづいてるねえ」

#107 虹の橋


おばあちゃん、階段の上から大声で 「あきー、まさきー、おいでおいで!虹だよ。虹がたったよー!」
子供達、大喜びで祖父母のいる縁側へ。
あき 「ワーイ!ニジだーい ニジだーい」
まさき 「オー!ニージ ニージ!」
あき 「あき、あの ニジの そばへ、いって みたいヨ」
おじいちゃん 「それがなあ、そばへ行くと、虹は、メッタ向こうへ行っちまうだよ。そんだから、昔っから、虹の橋をくぐったもんは、幸せになるって言うんだけんども、だあれもくぐったもんはいねえんだ」
こどもたち、残念そうに 「フーン…」
おじいちゃん、ふたりを励ますように 「だけんど、外へ出てみるか」
こどもたち 「ウン!」
子供達ふたり、祖父の手を両側からひっぱって、喜び勇んで玄関へ。
おじいちゃん 「よしよし、わかった、わかった。アッハッハッハッ…」

#108 フランスの墜落事故


テレビ画面には、森で飛行機が炎上している場面が映っているらしい。
アナウンサー 「これまでの墜落事故と比べて怪我人が少なかったのは、飛行機が森の上に落ちたので、木がクッションの役割をしたためとみられます」
私 「落ちた下に森があって、よかったこと」
あき、心配そうに 「でも、もりの どうぶつたちは、どうしたんだろう?」

#109 タニシのおとうさん


あき、田んぼをのぞきこんで 「あきが、たんぼに もどして あげた タニシの あかちゃん、げんきかなあ?」
私 「あれから、もうずいぶんたったから、タニシの赤ちゃんも、大きくなったでしょうね」
あき 「おとうさんに なった?おみずんなかで おしごとしたり、おみずんなかで あかちゃんに ゴハン あげたり してるカナ?」


【写真 まさき君がかいた絵】ちょうちょ
〔写真説明 斜め後ろからの一筆書きのちょうちょです〕

#110 チュウタンのアッポ(キューちゃんの帽子)


公園まで、私たちを導いてくれたキュリー、この暑さで、息が苦しそう。
まさき 「チュウタン、ハーッハーッハーッて いった。チュウタン、あちゅい?チュウタン、あちゅい?」
まさきは、キュリーの前に屈んで、心配そうに話しかけていた。が、ふと、草の葉をちぎってキュリーの熱くなった頭に載せ、私の手をとって、それに重ねながら、ほっとしたように言った。
まさき 「チュウタンの アッポね。もう あちゅ ないヨ」

#111 トイレでできたヨ


兄がウンチをするのを、ジーッと見ていたまさき、兄が終ると、サッとパンツを脱いで、勇ましく便器にまたがった。ついに成功。
まさき 「アッ、レタ!ポッチャーンて ポッチャーンて」
私 「まあ、できたできた。とうさーん、まさき、トイレでできたのヨー。とうさーん!」
夫、奥の部屋から、見に来てくれた。
夫 「ヨオ、まさき、できたな。よかったなあ」
まさき 「トウターン、ンチ レタオー、ンチ レタオー」
以後、ウンチをするたびに、父を呼びつける。

(連載10へ続く)

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