連載19 第四集 はじめに編 『お月さまー そこから海が見えるかー!』あきとまさきのおはなしのアルバム '90
【写真・表紙と裏表紙】
〔説明 鮮やかな黄色の背景の中に、あき君の描く6匹のカニが元気いっぱいに遊んでいます。目もハサミもひときわ大きなカニはお父さんガニでしょうか?全面に小さい砂が散らしてあります。タイトルの文字は、月を模した黄色無地の丸い窓の中に書かれています〕
はじめに ひろさわ りえこ
こんかいの 「おはなしの アルバム だい4しゅう」は、1ねん かかって つくりました。はしがきを かくには、すこし じかんが たちすぎて しまった きも しますが、わたしに とっては、ひつような じかんだったのかも しれません。
さくねん、だい3しゅうを およみ くださった ある かたが ― あなたも これから、いつも こどもたちに むかって いようと する こと いじょうに、おやこが ふれあえる みぢかい じかんを とらえて、どんな かかわりを もつかが だいじに なって くると おもう―と アドバイスして くださいました。じっさいに、わたしたち おやこも、そう いう だんかいを むかえたような きが します。
ことしは、ちょうなんの あきが にゅうがくし、こころを いっぱいに して、かけだして いく こどもたちを いのりながら みおくる ひびでした。わたし じしんも、あきの にゅうがくと どうじに、ラジオの しごとを いただき、かだいを のりこえる たび、ときはなたれて いくような よろこびを かんじて います。
ただ、ことしは、 まだ べんきょうや じゅんびに じかんが かかって しまい、うちに いても、きもちの きりかえが うまく できず、ははおやと して、この ほうこうで いいのだろうかと、ゆきつ もどりつする まよいも たえず ありました。けれど、もう、もどる ことよりは、こころ はずませて、きりひらいて いく ことを かんがえようと おもいます。
そして、やっと わたしたちの あたらしい アルバムが できあがりました。あきと まさきは、これを よんで、きっと おもいきり わらって くれる ことでしょう。
この としは、ふたり いっしょに ようちえんへ かよえるように なり、その うれしそうな ようすと いったら、そばに いる わたしまで、しあわせな きもちに なるほどでした。ふつうに あるけば、10ぷん たらずの バスていまでの みちのりも、3にんと 1ぴきで、くさを つんだり、うたったり しながら、まいにち にぎやかに かよいました。
にゅういんや りょこう、はじめての ことへの ちょうせんも、まわりの ひとびとが あたたかく みまもって くださった おかげで、とても さわやかな おもいでです。ひとつ のりこえるごとに、おたがいが しんらい できる、ほんとうの みちづれに なって いった きが します。
【写真・あき君の絵 カニ】
また、こんかい ひょうだいと した 「おつきさまー、そこから うみが みえるかー!」は、あさこ さん おやことの かなざわりょこうで、はじめて うみを みた まさきが、しんしゅうに かえってから、つきを みあげて、むしんに さけんだ ことばでした。
こどもたちが このまま のびやかに、きょうだい なかよく そだって くれるよう、こころから ねがわずに おれません。
こんかいも、この かいわしゅうを およみ くださろうと する かたがたに、かんしゃと ゆうじょうの きもちを おくります。この ほんを とおして むすばれた であいに、わたしたち おやこは、どのくらい ささえられて きた ことでしょう。
そして、4ねんかんに わたって、わたしと いっしょに、この アルバムを つくって くださったのは、かみやま あさこ さんと、うの たかこ さんでした。おふたりとは、はなれて いても、これからも ずっと いっしょに いきて いけると しんじて います。
また、こころよく ささえてに なって くださったのが、「でんでんむしの かい」の みなさん、みやした しずえさん。あらい まりこ さん、こみやま いんさつさん、リボン オフィースのなかまたち、そして、おっとです。ほんとうに ありがとう ございました。
(一九九一年十二月 点字原稿から)
連載20へ続く